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ご質問にお答えします!『専門知識が必要なジャンルの作品について』

脚本家志望の方からこちらのご質問をいただきました。

質問者さんが挙げられている3つのジャンルに限らず、特定の専門知識が必要な作品の場合、監修が付くことが一般的です。
私の過去作品のなかにも専門家に監修をしてもらったものがあるので、その経験をもとにお答えしたいと思います。

プロの脚本家が原稿に対して監修を受ける場合であっても、執筆の過程では自力でのリサーチが必要です。
例えば「医療モノの企画提案をしよう」と脚本家が考えたとすれば、その時点では監修者は存在しないので、可能な限りのリサーチを自ら行います。
また「既に企画が成立している状態で、法廷モノの脚本執筆を引き受けた」といった場合だとしても、「基本的な事項から専門家が脚本家にレクチャーをしてくれる」ということまでは期待できないと思います。
まずは、脚本家が自分なりのリサーチにもとづいて執筆を行い、その後、原稿のリアリティに問題がないか、プロデューサーが手配してくれた監修者が確認・助言してくれるという流れが一般的だと思います。

次に私自身がリサーチをどのように行っているかというと、概ねこちらの投稿の通りです。

リンク先の投稿の通り、「書籍によるリサーチ」、「ネットによるリサーチ」、「対面取材」、「現地取材」が主なリサーチ方法です。
何か”プロならではのリサーチの秘策”のようなものがあるわけではなく、普通に、地道に調べている、ということです。

私の場合、たいていは「書籍によるリサーチ」を中心に置いています。

例えば刑事モノを書く際の資料として作られた、このような本があったりもしますし、様々な職業の基礎知識を得るために、「その職業を目指す人のために書かれた本」や、入門書的なものを読む場合もあります。

リサーチをする上で、「プロだから有利な点」を挙げるならば、四つのリサーチ方法のうち「対面取材」、「現地取材」の手配を(企画成立後であれば)プロデューサーがしてくれることですね。
ですがこの二つも、「アマチュアには絶対不可能」とは言えないと思います。
知り合いの伝手をたどる等して、何とか専門家にコンタクトが取れれば、可能な範囲のお礼をして、知識を借りることが出来るかもしれません。
「刑事ドラマを書くための事件現場の現地取材」は(プロであっても)現実的でないでしょうが、「法廷ドラマを書く際の参考にするために、裁判傍聴に行くこと」ならば、すぐにでもできますよね。


ご質問の最初にある「アマチュアの立場でも、医療・法廷・刑事ドラマは書けるものでしょうか?」という点については、お答えするのが難しいなと思っています。
「書ける」という言葉がどのレベルを指すかは人それぞれですし、一定以上のレベルのものを書けるかどうかには、どうしても、監修の有無やリサーチ能力とは別の、「本質的な筆力」の問題も関わってくるからです。
「不可能」と思っているわけではないんですが、この場で軽率に「頑張ったら書けるから、頑張って!」のようなお返事をするのはどうなんだろう……というのが今の率直な気持ちです。

歯切れの悪いお返事になってしまい、申し訳ないのですが、なんとか話をまとめるならば、
・リアリティのある医療・法廷・刑事ドラマを書くには、本質的な筆力にプラスして、専門知識も必要で、難易度が高い。
・それでも、「どうしてもこのジャンルの作品を書くのだ!」という強いモチベーションがあれば、地道なリサーチや、取材のための創意工夫はできるはず。
・とはいえ、このジャンルにチャンレンジするのは、「基本的な筆力」にある程度の自信が持てるようになってからが良いのではないかと思う。
……というところです。

これからもお互いがんばりましょう!


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中川千英子(脚本家)
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