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大谷翔平選手とマイケル・ジョーダンの意外な共通点

こちらの記事がとても面白かったです。

花巻東高校を卒業後、2013年に日ハム入団、2018年よりロサンゼルス・エンゼルス、という経歴の大谷選手。
ですが当初は、高校卒業後すぐにメジャーリーグに行こうと考えており、日ハム側は、彼をドラフトで1位指名しようと決めた際、その決意が固さに衝撃を受けたと言います。

《こっちが何を言っても表情が動かないんです。ものすごい意志を感じました。表面的なものでなく、心底から本気なんだとわかりました》

目の前にいる学生服の青年がとても18歳とは思えなかった。大渕は花巻から北海道へ戻る途中、上司である山田の携帯電話を鳴らした。

「予想以上に手強い。まずいです」

こんな状況下で、スカウトディレクター・大渕隆氏が見つけた微かな糸口は、大谷選手のご両親だったと言います。

《お父さんとお母さんに会って、できれば国内と考えていることが伝わってきた。だからまず両親に、こちらについてもらおうと考えました》

大渕はそのために資料をつくろうと考えた。感情ではなく、頭に訴える論理を示したかった。朝からファミレスのテーブルにパソコンを広げていたのは、そのためだった。

《本人を説得しようとしたら、そこで交渉が終わってしまうと思ったんです。僕らは彼にとって敵ですから。だから、最大の理解者である両親から、こんな資料をもらったよと、リビングのテーブルにでも置いてもらえば、本人が見てくれる可能性もあると考えました》

有料記事なので、無料で読めるのはこの辺りまでなのですが、1度目の正式交渉をご両親に任せ、顔を見せることもなかったという大谷選手が、その後、日ハム入団に至ったのですから、大渕氏の作戦が功を奏したということなのでしょう。
(これ以降の有料部分も面白いのです。)

さて、この記事を読んだ数日後に、偶然こちらの本を読みました。

「作家のエージェント(代理人)」として書籍をプロデュースしている鬼塚忠氏の著作です。
最初の章では、エージェントという仕事の解説のために、スポーツ選手のエージェントの例が挙げられ、マイケル・ジョーダンのエージェント、デビッド・フォークが紹介されています。

1990年代に大ブームを巻き起こしたナイキのバスケシューズ「エア・ジョーダン」は、フォークのアイデアで生まれたものだと言います。
フォークは「選手の名前入りのシューズを売り出す」というアイデアを長年温めており、ナイキの企業精神を高く評価していたため、企画を持ちかけました。
しかし、当時のナイキは弱小メーカー。
ジョーダンは他社のシューズを使っていたこともあり、ナイキとの契約には難色を示したそうです。

ジョーダンは、一度心に決めたことは絶対に曲げない強い信念の持ち主だ。野茂もそうだが、偉大なアスリートは頑固者が多い。ジョーダンは「ナイキ」との契約にどうしても首を縦に振らなかった。スポーツエージェントがいくら戦略を練っても、肝心の選手がその気にならなければ机上の空論に終わってしまう。これは大問題だ。

そこでフォークが思いついたのは、ジョーダンの両親への協力依頼。
大谷選手を口説き落としたスカウトの大渕氏と同じ発想です。

フォークは一計を案じた。頑固なジョーダンを変えることができるのは、両親しかいない。そこで、交渉の場にジョーダンの両親を連れだしたのだ。ジョーダンの両親は、「ナイキ」の提案に満足し、フォークの思惑通り、ジョーダンの説得を買って出た。

こちらも無事に契約が成立。
大谷翔平とマイケル・ジョーダン。
二人の頑固一徹な一流アスリートを口説き落とすカギは、共にご両親だったというわけですね。

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中川千英子(脚本家)
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