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何農家?苔農家です。

今日は私のメインのお仕事についてお伝えします。タイトル読めましたか?コケ農家です。時々海苔(のり)農家と間違えられますが、海は遠いので違います。あの小さな植物、苔を専門に育てる農家です。



なぜ苔農家?

私が苔農家を始めたのは2年前、忘れられたような山間の村里に引っ越して8年目のことでした。苔農家を始めた理由は2つあります。まずはあまりにも裏山が苔で覆われていたから。こんな場所、初めて見ました。この美しい苔が資源にならないかと考えたのがきっかけです。もう一つの理由は、私にしかできない仕事で世の中に貢献したいと思ったからです。ここで暮らす以上、苔には困りません。与えられた環境を最大限に活かしたいと思いました。

盆栽教室を辞めてみた

苔農家は東北や北陸地方にぽつぽつとおられますが、広島では聞きません。苔の販売先に伝手があるわけでもなく、育て方も、販売の仕方も試行錯誤です。そんな中、オンラインで学べる盆栽教室を見つけました。「彩花盆栽教室」です。盆栽の世界において、苔は鉢の中の風景を創り出すためにも、水分調整のためにも、昔から重宝されてきました。苔を使う人の立場を勉強するという目的もあり、この教室で1年間学びました。

昨日が、その教室の最後のzoomレッスンでした。退会をすることを知りながらも、先生は最後まで親身に盆栽のことを丁寧に教えてくれました。退会の理由を説明するときに、私は自分の口から出た言葉に改めてハッとしました。「ちびっこが3人いる中で、金銭的にも時間的にも制限があります。盆栽はとても勉強になりましたが、苔の栽培業を軌道に乗せたいと思っている私にとって、盆栽は『今』ではないと思いました。」
きっぱりと「苔」で行きたいということが言えたこと。そして先生がその私の想いを心から応援してくださるのが画面越しに伝わって、少しうるうるしてしまいました。本当に最初から最後まで、気持ちのいい教室でした。

苔栽培と子育て

苔栽培は子育てに似ています。マニュアルがないこと、膝まづいて向き合わないと分からないこと。待つということ。期待しすぎてがっかりしてしまうこと。そしていつの間にか成長していること。苔農家は子育てを並行する私には向いているのかもしれません。苔農家として2年目、親として9年目を迎えました。年数が長ければ上手いとも限りませんが、どちらも初心者ではなくなりました。漠然とした不安はぬぐえませんが、私にできるのは今日もそれぞれに向き合うことです。

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