【短編小説5月号】24時に消える記憶と一生消えない恋
「おはよう、花陽」
その一声で彼女の1日が始まる。
彼女と付き合って7年。この会話で1日が始まることが始まったのは5年前。流石にこれだけの期間いると慣れてくる。
彼女の1日を始めさせることに成功した俺、大瀬良勇気はキッチンに戻る。熱を浴びる塩鮭を横目に見ながら黄色の層を作り上げる。黄色の層を作るタネは甘め。これが彼女の好み。弁当箱にできた黄色の層を入れる。余った部分は冷食にお任せする。いい感じに焼けた塩鮭をお皿の真ん中にのせ、わきに今日の余ったやつとレタス、プチトマト、昨日の