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憧れの食エッセイ

生まれ育った実家は本が沢山あった。
両親共に本を読むのが好きだった。

小学5年生の頃、東海林さだおさんの『丸かじり』シリーズを読んだ。
行き場を失った父の本は客間の本棚に並んでいた。純文学から古い雑誌、アングラ系の漫画…幅広いラインナップの中から見つけた丸かじりは当時の自分のお気に入りだった。

今手元にないので買い直したい。
でも、あの時あの年齢で読んだ記憶を上書き保存しない方が良い気もして悩む。

梅干しひとつで茶碗一杯の白飯を食べる話。
蕎麦屋で酒を飲むのが粋な話。
私も記憶があやふやで、確かこんな感じ?と、自信がない説明しかできないのだけど
面白くて本棚にあった丸かじりは全部読んでしまった。

これが私の食エッセイとの出会い。

今はさほど活字を読まなくなってしまったけどエッセイ全般好きなのは変わらない。
人様の日常に、思考に、人生に興味がある。
誰かの昨日食べたものが知りたい。

エッセイの挿絵がやりたいと思った。
絵でやりたいことは色々あるのだけど
仕事として考えた時エッセイの挿絵がここ数年の目標になっている。
食べるのが好きなのでジャンルを絞るなら食エッセイ。

ひとり祈っていてもなかなか実現しない。
私は積極的に人に伝えるようにしている。周りの人に話したり、SNSに書いたり。
私なんかが…と思うのは時間の無駄。
宣言するとそういう仕事が訪れることも時々ある。ひょこっと顔を出したら全力で捕まえたい。

言い続けて2年ほどだろうか。
全く食エッセイが歩み寄ってくる気配がしない。
こんなに騒いでるのだから周りの誰か、やってみようかなとか思わないのかしらね!
と何様目線で考える日もあった。

私は文章を書くのは下手くそで
(あぁ、自分でエッセイ書けたらこんな悩まんのにねぇ)
とため息つく日もあった。

これはできない。あれは向いてない。
私にできることを選んでいったら何もできないまま人生は終わりそうだ。
なんだ、それなら練習すればいいじゃん。
ふと思いつくまでずっと他人の力でなんとかしようとしていた。恥ずかしい。

私が好きなエッセイはなんでもない毎日のことだ。書き続ければきっと慣れてくる。慣れることがいいかは別問題かもしれない。
だけど。
私なんかが書いてもなぁ…と一線引いていた気持ちは後ろ向きだなと思った。下手でも楽しそうにやってみるのが私じゃないのかい?

今までぼんやりと思った日常のことや食べ物にまつわる話。
納得がいくまで集まったらZINEにしようと思う。
挿絵はもちろん自分だ。
ZINEは決まりのない個人出版の本のこと。

なんとなくnoteを初めてみたことでこんな気持ちになれた。
今は目標が定まったのでやりがいがある。

『絵と文』を楽しめる形を自分なりに見つけていきたい。
梅干いっこと白飯の食べ方をドラマチックに書き上げる能力はないけれど、誰かに私の欠片は届けられるかもしれない。

等身大の日々のごはん。お気に入りのお店。ふと思い浮かんだこと。毎日のメモ。

つらつらと。

◆今回のイラストは某海外キャラが猫をサンドイッチにしてるところです。
小学生の頃夕方テレビでやっていて好きだったなぁと思い出し…懐かしいなぁ。

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ことりイラストレーション
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