「ノーカンかな」
生まれて二十一年間、一度も彼氏ができたことがなかった。
女の子というものは恋ばなが大好きで、口を開けるたびに話し出す。
「何人と付き合ったことあるの?」
この質問が一番厄介であった。
聞かれるたびに、苦しくなった。
そんな時、私は逆質問をする。
「○○ちゃんはどうなの~?」
「あ~、一人かな。」
私は、最近まで友達に彼氏がいたことを知っている。
もちろんその前にも、何人かの男の人の名前を聞いたことがある。
胸がちくっとする。けど、笑ってもう一度聞く。
「この前の彼氏は?」
彼女は、鼻で笑って
「あんなのノーカンだよ」
心の中で、性格の悪い私が
ノーカンってなんだよ。付き合ってたじゃん。幸せそうだったじゃん。
なんでそれを無かったことにするの。ずるいよ。分けてよ。
神様は不平等だよ。
って叫んでる。
その気持ちを押し殺して、私はまた笑って彼女と向き合う。
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