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「金子展寛箏リサイタルvol.2」
十三絃箏、低音二十五絃箏、二十五絃箏。
一言で「箏」と言っても、それぞれ個性的なこれらの楽器の持つ音、響きを存分に堪能することが出来ました。
一音一音すべてをコントロールし、緩急強弱自由自在に箏を操る演奏は、いつも曲の世界に引き込まれます。
張りのある澄んだ爪音が、減退すること無く、どこまでも飛んで行きます。
個々の曲の素晴らしさはもちろんですが、選曲とプログラムの流れがとても良かったです。
「五段砧」は「古典」だと思っていましたし、そう思って聞いていました。
しかし、全曲の演奏が終わって、ようやく、江戸時代の「現代曲」なのだと分かりました。
箏の魅力・可能性を探りながら、新たな境地を切り拓こうとしているのは、今を生きる現代人だけではなく、過去から脈々と、多くの先人達も取り組んできたことだということがよく分かりました。
19世紀、20世紀、21世紀の表現。そして、さらにその先の未来。
全曲を通して、過去から現代そして未来へ繋がる箏の歴史を感じさせる絵巻物のようで、まだ見ぬ未来への、期待と希望が湧いてきました。
二十五絃箏は、野坂操壽さんが「自由にしゃべれる箏」が欲しいと創られてから30年経ちました。
これまでも様々な方が、新しい曲を作ってこられましたが、金子さんによってさらに「自由にしゃべる箏」としての歩みを進めたのかなあと思いました。
この先、金子さんに導かれて、一層いろんなおしゃべりをしてくれる楽器になっていくのだろうなあと、とても楽しみに感じました。
そんな、二十五絃箏の歴史の、転換期の一場面に立ち会えたようで、しみじみとした感慨深さ覚えました。
今日もまた、幸せな気分で家路につきました。
*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。
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会場 すみだトリフォニー小ホール
日時 2022年9月24日(土) 17:30
プログラム・演奏
五段砧 光崎検校作曲
箏本手 野坂惠璃
箏替手 金子展寛
箏のための二つの相 入野義朗作曲
箏 金子展寛
低音二十五絃箏のための火の鳥 笹原絵美作曲
低音二十五絃箏 金子展寛
五段幻想~二十五絃箏のための~ 浦田健次郎作曲
二十五絃箏 金子展寛