一絃琴「楽仙から現代へ」清虚洞一絃琴流祖徳弘太橆没後100年記念
一絃琴。
文字通り、桐の板に、絹糸の絃が1本張ってあるだけの琴です。
どうやって、どんな音楽を奏でるのだろう。
興味津々で行って参りました。
とてもとても面白かったです。
運良く前の方のお席で、演奏されている様子がとてもよく見えました。
左手の位置と押し具合で、すべての音程をコントロールします。
右手の絃の弾き方で、すべての音色を表現します。
多絃の弦楽器であれば、隣の弦を弾けばすむだけのことでも、左手で一音一音変えなければなりません。
それなのに、箏の唱歌で言うところの、コーロリンもサーラリンも弾けるのです。
しかも、絃が1本なので、端から端まで、音の高低を途切れなく繋げることもできます。
楽器の構造がシンプルな分、演奏技術のバリエーションと複雑さが、とても奥深く感じられました。
曲は、今回は流祖没後100年記念の演奏会とのことで、初代から当代まで、各代の代表曲が順に演奏されました。
一絃琴自体が、もともと人に聴かせるための楽器ではなく、自分の心のために弾くものであったとのことで、いずれの曲も、心に沁み入る曲でした。
個人的には、当代の「模様」がとても興味深かったです。
一定のリズムで、音が徐々に増えてきて、その後折り返して、徐々に減っていき、最後ははじめの一音に戻っていく曲でした。
脇に、楽譜を表示した屏風が置かれ、視覚的にも音の増減が分かり、面白かったです。
新たに委嘱された曲と、流祖が山に籠もって作られた曲との対比も楽しめました。
尺八の小濱明人さんの音色がまた、一絃琴にとても合っていて、いつまでも聴いていたかったです。
*今回演奏された曲は、CDで発売される予定のようです。
今日もまた、幸せな気分で家路につきました。
*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。
https://gainful-butter-9171.glideapp.io/
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会場 紀尾井小ホール
日時 2022年4月16日(土) 14:00
プログラム・演奏
春の日 曲・徳弘太橆 詞・連歌集「春の日」より
一絃琴 峯岸一水
磯の松風 曲・山城一水 詞・佐佐木信綱
一絃琴 峯岸一水
不二 曲。松﨑一水 詞・西行「富士」より 尺八曲・小濱明人
一絃琴 峯岸一水 尺八 小濱明人
須賀 曲・眞鍋豊平 詞・不詳 替手曲・齋藤一蓉
一弦琴 片山一葩 荻野一汎
模様~低音一絃琴のために~ 曲・峯岸一水
低音一絃琴 峯岸一水
飛鳳凌駕 曲・愛澤伯友 詞・恩地孝四郎「飛行官能」より
一絃琴 峯岸一水 尺八 小濱明人
泊仙操 詞曲・徳弘太橆
一絃琴 峯岸一水
こころ しずかにする おと 曲・峯岸一水
一絃琴 峯岸一水
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