ろうりゅ? あうふぐーす? ねっぱし?
前回のお話(創作大賞の投稿はノーカウントで)
原稿執筆のためにサウナに通っていたら、サウナイベントに遭遇した本葉。薄暗い中で行われるサバト的イベントとは?
さて、サウナ女子の特徴ですが、綺麗な人が多いです。
肌艶よくて、健康的な人。まあ、体を温めて汗をかいているので健康に悪いわけがない(我慢して入って倒れるとかそういうことを除いて)
そんな彼女たちは、薄暗いサウナの中で今か今かとイベントの開始を待っておりました。裸で。
本葉も異空間に誘われるまま、サウナの下段の隅っこに座ります。裸で。
当然ですが、暑いです。
サウナの中は、口をタオルで覆わないと苦しいくらいですが、何が行われるか見届けなければ動けません。
満を持してやってきたのは、小柄な衣服を着た女性でした。
彼女は『熱波師』と呼ばれるきちんとした資格をもった、サウナ―憧れの存在です。
まず彼女は、バケツから水をすくい、サウナにかけました。そのとたん、もうもうと白い煙があがり、何とも言えない良い匂いが漂いました。
どうやらあの水にはアロマオイルが入っているようです。良い匂いにリラックスできますが、同時に、サウナ内の温度もあがっていきます。
汗が噴き出ます。
老廃物ががんがん出ていきます。
暑いです。正直、逃げたいです。
本葉が逃げようとしたところで、熱波師が動きました。
取り出したのは、タオル。そのタオルの端を両手で持ち、風をおこし始めました。
タオルはふんわりと風を抱いて、その風は、裸のサウナ―たちへと。
――あっつい!!
1人1人に丁寧に、平等に、熱波師は、熱波を送ります。
ちりちりと焼けます。いろいろと。いろいろと。
ごめん本当に逃げると腰を浮かしかけた本葉の目に映ったもの。それは――
厳かに熱波を受けるサウナ―たちの姿!
――ああ、これは宗教か。
座禅で僧侶にたたかれ、礼をいう敬虔な信者を思い出しました。
彼女たちはそれでした。
健康になるべく、薄暗いサウナの中で暑さをこらえ、熱波師の熱波を受ける。ありがとうありがとう、と。私たちを高めてくれてありがとう、と。
お腹の脂肪が溶けるかと思わんばかりに、汗が流れていきます。腹という腹が消えるのではないかと思いました。同時に、つまらない悩みも、どうしようもない欲も全てすべて流れていきます。
そして、残ったのは無。
その感覚のなんと素晴らしいことか。
そうして、本葉は解脱したのです。煩悩まみれな本葉が、その一瞬だけだけれど。
後に、アロマ水をサウナにかけるのをロウリュといい、熱波を受けることをアウフグースというのだと知識で知りました。
すごく楽しい体験でした。
そんなわけで、本葉のサウナ通いは本格的になるのです(執筆そっちのけで)