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「働く」って、楽しくラクに好きなことだけやるってことだよね|その10

「働く」って、楽しくラクに好きなことだけやるってことだよね|その9|瑛己子|note

自分にアートとフラワーデザインのセンスがないことにうすうす気づきはじめたのが、本業でやりたいこともないので、その辺りはごまかしながらフラワースクールを継続していたある初夏の日。

クラスメイトから、土日に自分のフラワーショップで働かないかと声をかけてもらった。その人はご主人のフラワーショップをサポートしていたのだけど、ついに自分のショップを出すことにしたのだそうだ。

フラワーショップの仕事に興味のあった私は願ってもないチャンスだったので、こちらからお願いしてメンバーにしてもらった。ただし、本業で副業はNGだったので、無給でとお願いして実現。とびあがって喜んだ自分がいたから、やはり花を触るのは好きだったのだ。

クラスメイトが声をかけてくれたのは、母の日が近かったから。初参加の土曜日は7時からクラスメイトのショップに行き、母の日用のアレンジメントを仕込んだ。

確かこの日は40個くらいのアレンジメントを作ったように記憶している。いろんなアドバイスをもらいながら、大きめの籠から小さな籠まで、カーネーションをメインにどんどん作った。すこぶる楽しかった。楽しすぎて、ランチをとるのを忘れていたほどだった。

好きなことって延々できると気づいたのは、これがきっかけだった。立ちっぱなしだったのに全く疲れを感じなくて、この日終わったのが21時だったかな。その次の日も早朝からショップに行って、同じように働いて、月曜日からは本業を。この生活が1年間続いた。

つまり、夏休みと年末年始以外は、ほぼお休みなしだったのだ。まぁ、若かったからな。まだ20代だったし。不満や不安と同じくらい、体力もスタミナも気力もあった頃。

フラワースクールの時間だけ抜けさせてもらって、フラワーショップのクラスメイトと授業をうけて、またお店に戻る。それが本当に楽しかった。

が、このころから少しずつ私は気づいていたことがあって、それは、自分はデザイナーやアーティストには全く向いていない、ということ。

あるアレンジのカリキュラムで、先生が花を使って奥行きを出すことをレクチャーしてくれた。が、私はどうがんばっても、それが奥行きに見えなったのだ。これはなかなかショックで・・・・・・みんなが見ているものが、私には見えないってことだから。

空間認識能力のなさと、センスのなさを痛感し、悲しい気持ちでいっぱいになった。当然、できあがった作品は先生にダメ出しをされまくった。

「あなた、私の話を聞いていた?奥行きを出すって言ったでしょう」

聞いていたし、なんなら、がんばって視点を変えて、奥行を感じて見ようとしたの。でも、見えなかった。見えないから、作れなかった。

が、そんなことはもちろん言えなかった。

で、悟った。私はデザイナーやアーティストとして生きるのは無理なのだ。結論を出すのが早すぎると思われるかもしれないが、3年半かけて、じわじわと感じ、確信に変わったのが、この日だったと言うだけ。

そして「好き」と「得意」の意味はまったく違うということを実感したのもこの日だった。

で、このあと私の環境は大きく変わるのだけど、続きはまたの機会に。今日もありがとうございました。



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