神の子神話
其の者、神の子なり
この世に災難ある時。
天上より神の力を宿し者現る。
其の者、山の神の怒りを受けようと溶けることなく渡り歩く。
海の神に忌み嫌われ人々が洪水にみまわれようと平然と歩み続ける。
其の姿、さながら神なり。
人々は其の者、神に選ばれし者とし崇め奉る。
しかし、何故にも揺るがぬ存在は人々の目には懐疑であり奇怪である。
人々は其の者を人成らざる者あの世へ誘う者とし忌み嫌う。
其の者、蔑まれながらも地上においてあらゆる災悪を解していく。
山の神に会いては怒りを鎮め人々を守り天より降り注ぎし巨大なつぶてを消し去りては大地を守る。
そして地の神怒りし時両の手を地につけ鎮める。
人々、其の者を神が地上に遣わした神の子と呼ぶ。
其の神の子、地上より一人のみなり。
神の子故、時世に一人。
重ねては現れぬ者なり。
著者 咫瓊狗邇邪那(たにくのにざな)