天使たちの天界戦線(六章、悪魔と天使の贈り物)
ビランチ「ふぅ久々に全力を出したわねぇ。」
グラント「・・・でも最後は逃がしたんでしょ?」
ビランチ「え?」
グラント「あたしビランチの戦い見てて思ったの。あの実力なら確実にイプノは消すことが出来るだろうって。でもあいつは消されなかった。それってあなたが見逃したからなんでしょ?」
ビランチ「・・・まぁそうなるかねぇ。」
グラント「・・・何で見逃したの?」
ビランチ「・・・変な話だけどこれだけのことをしでかしたイプノを消したくないってふと心の中で思ったからかもしれないねぇ。」
グラント「・・・そうなんだ。それを聞いてなんか前よりビランチのこと好きになったわ笑。」
ビランチ「・・・何で?」
グラント「あなたも揺らぐことがあるんだな~って思っただけよ。」
ビランチ「初めての感情なんだけどね。なんか悲しいのよ。何故か分からないけど物悲しいの。」
グラント「分かるわ。それ。あたしもあいつが本気であたしたちを敵に回そうとしてるのが分かった時そうだったもん。」
ビランチ「・・・でも進むしかないわよね。」
グラント「そうね。でも一人で抱えないでね。天使長。いざという時はわたしたちもいるんだから。」
ビランチ「・・・優しい仲間をもって幸せだわ。私。」
グラント「そりゃどーも‼笑。」
ドラーク「ごめんビランチ‼セイに逃げられたわ・・・‼」
ビランチ「気にしないで。あたしもイプノに逃げられたから。」
フォルテ「僕からも済まない。あいつの幻に足止めされた。」
ビランチ「大丈夫よ。むしろよくここまで戦ってくれたわね。下神域からずっとご苦労様。」
グラント「え⁉あなた下神域からここまでずっと戦ってるの⁉」
フォルテ「まあね。」
グラント「それでよくそこまで動けるわね・・・。」
オルゴ「おーい‼戻ったぞ‼ビランチ‼」
ビランチ「オルゴそれにブッピラもよく消されずに残ってくれましたね。」
オルゴ「まぁ曲がりなりにも熾天使だからな。それより今回はブッピラが頑張ってくれた。下神域からあいつらが地上に逃げるまで追い続けてくれた。そのお陰でオッソたちは無事に潜入出来そうだ。」
ドラーク「それは・・・本当にご苦労様。」
フォルテ「ブッピラはもう休んでいいよ。」
ブッピラ「・・・その前にビランチ。イプノの催眠のことは・・・。」
ビランチ「それはちゃんと全天使に伝えるから心配しないで。それより今あなたは休みなさい。いいわね?」
ブッピラ「・・・分かった。」
フォー「おーい‼ビランチ‼」
グラント「あらフォーじゃない。どうしたの?」
フォー「あんたが預かった災厄の箱をそろそろ宝物庫の中に戻してもらおうと思ってな。」
ビランチ「・・・何のこと?」
フォー「いや災厄の箱だよ。中神域が戦場になる前にあんたが態々出向いて預かったじゃねーか。」
ドラーク「待って。ビランチは上神域から動いてないわよ?」
フォー「・・・え?マジかよ⁉」
フォルテ「(・・・まさか。)」
オルゴ「・・・フルートだな。多分あいつがビランチに化けてお前から箱を盗んだんだろう。」
フォー「そんな・・・済まねぇ‼ビランチ‼俺がいながら・・・‼」
ビランチ「自分を責めないで?フォー。あなただけの責任じゃないわ。私の判断も甘かったわ。」
フォルテ「でもこれで人間は僕たちより過酷な運命を背負うことになるね。」
ドラーク「そうね。あたしたち天使が今まで世界のバランスを保つ為に封じてきたものが地上に放たれたら・・・人間は絶滅するかも。」
グラント「・・・どうするの?ビランチ。」
ビランチ「・・・とりあえずあなたたちは一旦休みなさい。あなたたちが休んだ後回復したころ合いを見て上天使全員を招集するわ。詳しくはその際に話します。」
フォルテ「・・・その間天界は誰が指揮を執るんだい?」
ビランチ「あたしが執るから心配ないわ。」
ドラーク「待って。それまであなたは休まないつもり⁉」
ビランチ「ええ。でもそっちも心配しないで。あなたたちに伝えた後はちゃんと休むから。」
ドラーク「・・・な、ならいいけど・・・。」
フォルテ「じゃ、僕は早速休ませてもらうよ・・・僕たちが休むまでビランチは休めないからね。」
ビランチ「気遣いありがとう。じゃ、またね。」
フォルテ「ああ。」
オルゴ「じゃ、俺も休む。なるべく早く戻ってくる。」
ビランチ「急がなくても大丈夫よ。」
グラント「じゃ、あたしも・・・お休み。ビランチ。」
ビランチ「今回はしっかり全快してから来なさいね?」
ドラーク「じゃ、あたしも休むわね。」
ビランチ「ええ。またあとでね。」
フォー「・・・俺はどうすりゃいい?」
ビランチ「あなたも休みなさい。あとは私たちに任せて・・・ごめんね?頼りない天使長で・・・。」
フォー「頼りないって・・・あんたこそ自分を責めんなよ‼ビランチ‼あんたが天使長だから俺たちはここまでやってこれたんだ。あんたの判断だからみんな信じられるしみんな頼りたくなるんだ‼こんな位の低い俺たちにも平等な態度で接してくれるあんただから命張って守る価値があるんだ‼・・・らしくないぜ?天使長。」
ビランチ「・・・そうね。らしくなかったわ・・・ありがとう。フォー。もう大丈夫よ。」
フォー「なら俺も暫く休むぜ。」
ビランチ「ええ。」
~~~~~
イプノ「・・・ふぅみんな揃ってるね。」
ディストル「ああ。」
セイ「中々に優秀ですね。」
ロッサ「それはあんたたちが途中で逃がしてくれたおかげだ。」
イプノ「・・・そうかな?」
ディオ「まぁ僕はもう少しやれたんだけどね。」
ムジカ「全身傷だらけの奴がよく言う。」
イプノ「それより彼らは初めて見るけど・・・彼らもビランチに反旗を翻したのかな?」
オンブ「ええ。俺とネラも人間をこのまま放っておくわけにはいかないとあなたから事実を聞かされ常々思っていました。」
ネラ「でも俺たちの位で戦いに参戦すれば地上に逃げる前に消されるのは確実。なので卑怯ではありますが戦いが終わるまで機を窺い身を隠しておりました。」
イプノ「(・・・怪我一つない。嘘だな・・・でもまぁ・・・いいか。)そうか。歓迎するよ。仲間は多い程良い。よろしくね。オンブ。ネラ。」
オッソ「(・・・良かった。上手く信じてくれたみたい)・・・あたしもこれから仲間になるからよろしくね。」
ディストル「(・・・あのオッソが?)ああ。」
ムジカ「(・・・急に出てきたが本当に信頼出来るのか?)よろしく。」
セイ「まぁこうして集まってはいますが何も天界の時のようにあなたたちを縛るつもりはありません。前にも言ったようにあなたたちは自由だ。この場所はあくまで暇な時の居場所程度に過ぎません。」
イプノ「セイの言う通り。ここはただの居場所に過ぎない。つまりここに必ずしもいなきゃいけないわけじゃない。行きたいところがあれば好きに行くといい。」
ディオ「勿論そのつもりだよ‼まぁでも休むのが先だけどね。」
フルート「(・・・開かない。)」
イプノ「笑。それは僕たちも同じさ・・・ところでフルート。さっきから何しているんだい?」
フルート「いやビランチの宝物庫の中から災厄の箱を盗んできたんだけど開かねぇんだよ。」
セイ「それはあのビランチが封じた箱ですから。そう簡単には開きませんよ笑。」
フルート「でも前に開けてるのを見たことがあって・・・確かこうやって開けてたんだけど・・・よっしゃ!開いた‼」
ディオ「凄いね!フルート‼ビランチの封じた箱を開けちゃったよ‼」
フルートが箱を開けるとそこから黒い靄のような煙が周囲に広がりフルートたちに向かってきた。
オンブ「・・・何だこれは⁉」
ネラ「ヤバい‼」
セイ「大丈夫ですか?皆さん?」
それをセイが神炎の神力で焼き尽くした。
オッソ「・・・何とかね。」
ディストル「・・・にしてもあの黒いエネルギーは何だったんだ?」
セイ「・・・あれは私たち天使が様々な世界を完成させていく過程で生まれた災厄を集めたものですよ。中にはあらゆる災厄が詰まっています。」
ディストル「だから災厄の箱って言うんだろ?でもその災厄ってのは具体的になんなんだよ?」
イプノ「一言では言い表せない。でもその災厄は知恵を奪い生命を奪い灯消える日まであらゆる蝕みを与える。天使で例えると思考が消えたり体が崩れて消え去ったりする。」
ムジカ「・・・見たことあるのか?」
セイ「ええ。今の熾天使は全員。遥か昔別の世界を創造した際にね。」
オッソ「・・・地上の人間は仮にもあたしたちを模倣して創られているから少しは耐性があるでしょうけどそれでもそれなりの数は死に絶えるでしょうね。」
ネラ「・・・そんなヤバいもんが地上にあるのって俺たちも消えかねないですね。」
イプノ「その点は大丈夫。その災厄の箱に入ってたのはその一部だから。ビランチは災厄を乗り越える術を見つける為にサンプルとしてその箱に封じ込めた。見たことのない災厄を見つける度にね。」
セイ「この事実は熾天使でも知るものは少ないでしょう。」
オッソ「でしょうね。あたしも初耳だったわ。でも何で知ってたの?」
イプノ「その箱を見た時に疑問に思って聞いたんだ。“せっかく封じたのに何で態々天界に持ち込んだんだ?”って。そうしたらビランチは“閉じた世界をもう一度開く為にはこの不可能ともいえる問題を解決しなければならないの。天使として世界を閉じたままにしておけないから。”ってさ。今思えばあの頃のビランチが一番天使長らしかったかもな。」
セイ「・・・かもしれませんね。」
ロッサ「でも、その一部は確実に人間を蝕むだろうな。」
フルート「・・・なんか、俺たちより過酷な運命だよな。人間って。」
全員「(お前がそれを言う・・・⁉)」
~~~~~
ビランチ「(・・・‼フルート開けたわね。地上に人間を蝕む瘴気が広まり始めた。急がないと・・・‼)」
シェンス「ビランチ~~おつ~~来たわよ?」
ビランチ「シェンスあなた何でここに?」
シェンス「ビランチならこういう時上天使全員に招集かけるでしょ?だから来てみたのよ。」
ビランチ「よく分かってるわね。」
シェンス「まあねん。じゃ、あたしが呼んじゃってもいい?」
ビランチ「いいわよ笑。」
シェンス「よっしゃ~~‼じゃ、行くわよ~~?(全上天使に告ぐ。今すぐ上神域のビランチのもとへ来たれ‼)これで来るはずよ‼」
ビランチ「ありがとう。」
ノーヴェ「来たぜ‼」
ヌーラ「お呼びですか?」
ビランチ「あらさっき呼びかけたのに早いわね。」
ノーヴェ「俺たちはたいして戦ってねーからな。」
シェンス「確かに。」
モルテ「来ました。何の用ですか?」
ビランチ「・・・それは全員揃ったら話すわ。」
プロイビー「来たわよ~~・・ってシェンス‼あんた早いわね。」
シェンス「まあね~~。」
フォール「俺たちも来たぞ。」
ビランチ「フォールたちも来たようね。」
イアス「で、何の用なんだ?」
ビランチ「それは全員揃ったらね。」
グラント「あたしたちも来たわ‼」
ノーヴェ「グラントたちも来たから・・・あと上天使はフェアとブッピラか。」
フェア「済みません遅くなりました‼」
ビランチ「いいのよ。急がなくても。」
ヴェッキ「後はブッピラか。何をしてるんだあいつは。」
オルゴ「あいつは最後の最後までセイとイプノを追ってかなり神力を消耗していたからな。あまり責めないでやってくれ。」
ブッピラ「済まん遅くなった‼・・・俺が最後か。」
ビランチ「大丈夫よ。じゃ、みんな揃ったし早速始めましょうか。今回あなたたちを集めたのは他でもないセイとイプノの件よ。彼らは私たちと人間に対して明らかな敵対行為を行い地上へと逃げおおせたわ。」
ドラーク「そしてあいつらは今も存在し続けている。だから対策を打たないといけないわけね?」
ビランチ「その通り。でも今までのようにあたしが全て決めてから実行に移すというやり方だとどうしても対処が間に合わない場合や取りこぼしがあるかもしれない。だから今回あらゆる問題により迅速に対処するべく部門を設立しようと思います。」
オルゴ「部門?何だそれは?」
ビランチ「天使ごとの役割を決めようと思うの。例えば私には天使長という役割があるわよね?で、あなたたちには上天使という全天使の指揮権を持つ役割があるじゃない?こういった役割に加えて例えばセイとイプノを・・・つまり堕天使を捕まえる役割を熾天使から一介天使のなかで集めてその天使たちを堕天使を捕まえる天使専門部隊にしようと思って。」
オルゴ「・・・成程。問題のパターン別に天使の大凡の役割を決めるわけか。」
ビランチ「そう。そうしたら一々あたしに判断を仰ぎに行く手間も省けるしあたしも全てを見なくていいから忘れることも減ると思って。」
プロイビー「確かにそれは良いかも。」
ビランチ「他のみんなはどう?」
フォルテ「僕は賛成かな。」
モルテ「私も賛成です。全ての判断をビランチに仰がなくていいというのはお互いにとってメリットです。」
ノーヴェ「俺も賛成かな。予め役割が決まってればいざという時誰が動けばいいのかって悩まなくて済む。」
ヌーラ「それに責任の所在も明確です。いいのではないでしょうか。」
ビランチ「どうやらみんな賛成みたいね。」
シェンス「ちょい待ち。あたしも部門設立は賛成だけどその時の部門内の天使構成と天使長の立ち位置はどうなるの?そこんところ詳しく聞きたいわ。」
ビランチ「部門構成は上天使・中天使・天使から各数名ずつ。あたしの立ち位置は一応何処かの部門には入る形になるけど本質的に天使長という権限は変わらないから部門に入りながらも全部門の総合指揮長って感じになるかね。」
ドラーク「成程。で、あんたが入る部門も含めて全部門立場は対等って考えでいいのよね?」
ビランチ「勿論。それと非常時の場合の対応なんだけどセイとイプノの件のように部門を超えての協力が必要な場合は部門間で連携してことにあたること。またその時の責任の所在はあたしも含めた全天使にあるからよろしくね。」
ヴェッキ「そこらへんの説明は皆承知だ。それより幾つの部門を創るんだ?」
ビランチ「部門は全部で五つ。奇跡、判断、道示し、力、堕天使狩りよ。」
イアス「で、その五つの部門に俺たちはどう配属されるんだ?」
ビランチ「あたしから配属はしないわ。今からあたしが部門ごとの役割を話すからそれを聞いた後あなたたちで選んで頂戴。」
フォール「・・・選んでいいのか?」
ビランチ「ええ。あたしが一方的に指名するよりあなたたちの意志で決めた方が責任持てるでしょ?」
ウナ「まぁ・・・それはそうだな・・・。」
ビランチ「じゃ、説明を始めるわね?まずは奇跡部門。これは地上から見て奇跡って意味なんだけど要はあたしたち天使の力で人間が自立出来るようにサポートしてほしいの。地上の人間たちに天使の存在を悟らせずにね。」
グラント「・・・その奇跡の内容は部門内で決めていいのよね?」
ビランチ「勿論。」
グラント「じゃ、あたしそこにする‼」
フェア「え?もう決めるんですか?グラント。」
グラント「うん‼なんか直感的にここがいいかな~~~って思って。」
ビランチ「ならグラントは奇跡ね。まぁまだ後から変えられるから変えたかったら言いなさいな。」
グラント「は~~い‼」
ビランチ「じゃ、次は判断部門。これは天界や地上で起こった様々な問題に判断を下すの。例えばセイとイプノの件に関しての処遇だったり人間たちの今後についてだったり悩むのが多いところね。正直ここが一番重要になるし大変になるだろうからあたしはここに入る予定よ。」
ヌーラ「ならわたしもそこでしょうね。」
ビランチ「何故?」
ヌーラ「あなたが言ったんじゃありませんか。人間の盛衰を一緒に見守ってほしいと。人間の処遇を決めるのであれば、外せません。」
ビランチ「そうだったわね。よろしく。ヌーラ。」
ヌーラ「こちらこそよろしくお願いします。」
ビランチ「次は道示し部門。ここは名前の通り地上の人間たちに様々な道を示してほしいの。っていっても人間たちの行く道があたしたちと同じになるとは限らないから正確には人間たちの行く道を見届けるのが主な役割になるわ。」
シェンス「ならまずは人間を生み出したいって言ったあたしが入らないと始まらないわね。」
オルゴ「確かにな・・・よし俺もそこに入ろう。」
ノーヴェ「シェンスに続いてオルゴも入んのか?なら俺もそっちに入ろうかな。人間がどんな可能性をみせるのか見てみたいからな。」
ドラーク「道示しは一気に三人決まったわね。」
ビランチ「そうね。じゃ、次。力部門行くわよ?ここは地上の人間たちの中でも力を与えるに値する者に天使の力を付与する部門。付与と言っても原則一時的にね?例えばあたしたち天使と同じように人間でありながら同じ人間を導き文明の発展に大きく貢献しようとしているケース。こうした人間自身の成長に天使の力が必要な場合に力を限定的かつ一時的に与えるのがこの部門の役割。」
ヴェッキ「・・・成程な。」
ビランチ「まだ考え中?」
ヴェッキ「まだ・・・な笑。」
ビランチ「そう笑。じゃ最後は堕天使狩り部門。これは文字通りセイとイプノを筆頭とした堕天使たちの抹殺や捕縛。監視を行う部門。恐らくセイとイプノに限っては倒せないから地上で暴れた場合の牽制を行うことになるわ。」
ブッピラ「なら俺は必須だろう。あいつらのまやかしと催眠を見破るのは俺にしか出来ない。」
フォール「そしたらまわりの雑魚を一掃するのは俺の役目だな。」
ビランチ「堕天使狩りは二人決まりましたね。これで部門説明は終わりだからあとはみんなで決めてね。」
ドラーク「・・・じゃああたしは奇跡部門に決めるわ。グラント一人じゃ人間が気の毒だし笑。」
グラント「ひっど~い‼何よその言い方‼あたしだってちゃんとやれるもん‼」
プロイビー「なら私も奇跡入るわ。二人もいれば大丈夫でしょ笑。」
グラント「プロイビーも⁉来てくれるのは嬉しいけど何かなぁ・・・。」
ドラーク「笑。まぁいいじゃない。」
イアス「そしたら俺は力に入ろうかな。」
ウナ「俺も力にしよう。」
ヴェッキ「意外だな。俺も力にしようと考えていた。」
ビランチ「じゃあウナ、イアス、ヴェッキは力部門でいいですか?」
ウナ「ああ。」
イアス「大丈夫だぜ。」
ヴェッキ「構わん。」
モルテ「そしたら私は道示しですかね。」
シェンス「あらようこそ。道示しへ‼」
モルテ「どうも。」
フォルテ「じゃあ僕は判断かな。」
ビランチ「よろしくねぇ。」
フォルテ「こちらこそだよ。」
ドラーク「フェアはどうするのよ?」
フェア「・・・あたしは奇跡でお願いします。」
ドラーク「よろしくね。フェア。」
フェア「どうもです♪」
ビランチ「とりあえず全員決まったわね。」
オルゴ「待て。中天使・天使はどう決めるんだ?」
ビランチ「それは部門内で話し合って決めていいわよ。」
ノーヴェ「了解。」
ドラーク「ブッピラ。堕天使狩りの上天使二人しかいないけど大丈夫なの?」
ブッピラ「セイとイプノを倒さないなら大丈夫だ。この部門の目的はあくまで堕天使たちの牽制だろ?セイとイプノが動かなければ大丈夫だ。もし動いたとしたらビランチ。その時はあんたに判断を仰ぎに行けばいいんだろ?」
ビランチ「そ。セイとイプノは確かに堕天使だけどこれは堕天使狩りだけの問題じゃないから天界全体で対処するわ。だからブッピラたちが良いならいいわ。」
フォール「セイとイプノ以外の対処が通常なら問題ない。」
ドラーク「成程。」
ビランチ「じゃ、これで解散。これからは各部門で動いてね♪よろしく。」
~~~~~
グラント「いや~~なんか新鮮よね。部門設立って‼」
プロイビー「そうね。しかも部門それぞれ立場が対等なのは嬉しいわ。」
フェア「智天使座天使関係無く熾天使と同様の権限が発動されるのは確かに嬉しいです。しかし見様によっては危険ですよね。」
グラント「何で?」
フェア「セイとイプノのように堕天使が生まれた場合少し厄介です。」
グラント「あ・・・確かに。」
ドラーク「でもその心配はないと思うわよ?」
フェア「何故ですか?」
ドラーク「立場が対等の部門設立。これはある意味ビランチが自分以外の天使を信じて天使長の役割の一部を任せてくれたって形で示したことになると思うから今までよりは自由度が上がるからよ。」
フェア「・・成程。天使たちの善い心を前提とした部門設立なのですね。」
ドラーク「悪い心が前提よりはいいでしょ?」
プロイビー「まぁそれはそうね。」
グラント「それよりここの部門長決めようよ‼」
プロイビー「部門長?」
グラント「うん‼どう?ダメ?」
ドラーク「・・・却下ね。」
グラント「え?何で?」
ドラーク「あんたどうせ部門長になりたいんでしょうけど部門長を上天使一人に限定するとビランチが部門設立する前みたいに迅速性に欠けるわ。だから却下。」
グラント「じゃあ部門の最終決定は誰がするのよ・・・。」
フェア「・・・上天使なら誰でも。これならどうですか?これならば中天使・天使たちは私たちの何れかに判断を仰ぎに行けばいいですし判断も迅速です。もし一人で決められなければあたしたちで話し合うことも出来ます。」
プロイビー「成程。それ名案かも。」
ドラーク「それなら迅速かつ柔軟に問題に対処出来るわね。」
グラント「じゃ、次は天使たちを決めようよ‼」
プロイビー「そうね‼で、誰を勧誘する?」
フェア「・・・皆さん。勧誘する天使に目星がついているのであればこれから各々勧誘しに行きませんか?」
ドラーク「・・・みんな候補はいるって顔ね。じゃ、一旦解散しましょ‼」
グラント「うん‼」
~~~~~
ヴェッキ「粗方目ぼしい天使に声はかけたが・・・。」
イアス「果たしてどれだけの天使が集まるかな。」
ラーマ「ヴェッキ。来ましたよ。」
ヴィツ「俺も来たぜ‼」
パンピ「よろしくお願いします。」
ウナ「お、幸先いいな。早くも三人来た。」
フォー「俺たちも来たぜ。」
イアス「フォー、トレ、ガンペーデ、モルタ‼助かるぜ‼」
シュルケル「あたしも来てやったぞ‼」
ウナ「済まないな。」
シュルケル「いいってことさ。」
ピオージャ「俺たちも入っていいっすかね?」
イアス「お、ピオージャにペスト。それにフォリアもいるじゃねーか‼いいぜ‼よろしくな‼三人とも‼」
ヴェッキ「大分集まったな。」
イアス「他の部門はどれくらい集まってんのかな?」
ウナ「さあな。だが俺たちのところは多いように感じるな。」
~~~~~
シェンス「・・・五人よ?ねぇ。分かってる?」
オルゴ「ああ。見れば分かる。」
ノーヴェ「俺たち人気ねーのかな?」
モルテ「それにしたって中天使・天使合わせて五人は少ないですねぇ。」
シェンス「・・・はぁ先が思いやられるわ・・・‼」
アッズ「(シェンスが頭抱えてんの初めて見たかもしんねーぜ・・・。)」
レナ「まぁでもやってくしかねーだろ。道示し。」
シェンス「それはそうなんだけど・・・。」
リスパリオ「まぁいいじゃないかシェンス。天界の参謀と呼ばれる俺もいる。心配するな‼」
チュル「(・・・誰がいつ呼んだんだよそれ・・・。)」
チェル「確かに天使の数こそ少ないですがここには思考に長けた天使たちが比較的多いと思います。なので数よりも考え方で人間を見届ける方法を考えては如何ですか?」
シェンス「・・・それしか無いわよねぇ~~~。」
レナ「まぁでも迅速さなら負けねぇんじゃねぇか?俺たち。」
オルゴ「それは言えてるな笑。恐らく数の少なさは部門一だろうからな。」
ノーヴェ「ふぅ・・・忙しくなりそうだぜ。」
~~~~~
ブッピラ「どれくらい集まった?」
フォール「中天使一人天使四人だ。」
ブッピラ「・・・少ないな。」
フォール「それは言うな。」
ドゥエ「・・・大丈夫なのか?俺たち。」
ブッピラ「何とかやるさ。それにもしもの場合は他部門に協力を申し出る。」
ラーナ「でも僕は少ないのは逆にいいと思いますけどねー。」
ヴェロ「何故ですか?」
ラスポ「堕天使狩りは同じ天使を狩る部門。つまり秘密裏に役割を果たす部門だ。数が多いと堕天使に逃げられる恐れがある。」
スパツ「つまり迅速かつ柔軟に動く必要がある。今までの天界序列じゃどっしりと構えるには有利だけど奇襲には不向きだ。でもこうして部門設立し役割を明確化したことで以前より迅速に動ける。大逆で圧倒的に有利のはずの僕たちが彼らを捕まえられなかったのはここにあると思うよ。」
ヴェロ「成程。」
ブッピラ「それにこの部門では基本セイとイプノは牽制に留め捕まえることはしない。」
スパツ「・・・捕まえる方がリスクが大きいからですね。」
ブッピラ「その通りだ。地上でセイとイプノを捕まえるとなると地上の安全が保障出来ない。最悪地球が壊れる。」
ラーナ「そんなことになったらビランチは激おこですねー。」
フォール「まあな。けどやらかしそうなやつが一人熾天使の中にいるんだよなー・・・。」
ラーナ「僕も一人思いあたる天使が居ますー。」
~~~~~
グラント「くっしゅん‼」
ヴォルティ「あらグラント。くしゃみなんて珍しいわね。」
グラント「んーー風邪でも引いたかな・・・。」
ヴェール「風邪なら私が治してあげるわよ?もっともあなたは風邪をひくような柄じゃないと思うけど?」
タッソ「誰か噂でもしてるんじゃない?」
グラント「・・・誰だろ。あたしの噂をする奴なんて。」
ミスティオ「・・・いつものことだけど緊張感ないよな。グラントさんって。」
ドラーク「まあねぇ・・・で、プロイビー。地上の様子はどう?」
プロイビー「堕天使がちらほらいるわ。」
シントス「そしたら地上の祠の整備は・・・」
ドラーク「もう少し先になるわね。」
ソーマ「ですよね・・・。」
ドラーク「まぁもう少し辛抱してね?ソーマ君。シントスちゃん。暫くすれば大抵の堕天使は落ち着くだろうから。」
プロイビー「・・・ドラーク‼イプノを見つけた‼」
ドラーク「え⁉本当⁉」
プロイビー「ええ‼どうすればいい?」
ドラーク「そ、そしたらビランチかブッピラに報告を・・・」
グラント「あたしが行くわ‼」
ドラーク「え?でも・・・」
グラント「心配しないで‼地上の人間に被害は出させないから‼」
タッソ「・・・あ~~あ。行っちゃった。」
シントス「どうするんですか?ドラークさん。」
ドラーク「とりあえずビランチと堕天使狩り部門への報告は必須だからシントスちゃんはブッピラかフォールを捕まえてこのことを報告してくれる?」
シントス「分かりました。」
ドラーク「それでタッソちゃんはビランチに報告してくれる?」
タッソ「了解です。」
ミスティオ「・・・まったく。いきなりテンションマックスで出ていったぜ。」
ヴェール「・・・これからはグラントの前でイプノの名前は禁句ね。」
ドラーク「・・・そうね。」
~~~~~
ビランチ「これで、あたしたち判断部門もそれなりに頭数はそろったわね。」
フォルテ「そうだね。」
ビランチ「さて。この部門では主に地上の人間たちの問題や堕天使たちに関しての判断を下す部門になるわ。と言っても今まであたしが半ば独断で決めていたことをみんなで決めていこうってことなんだけどそれをすることでいいことが二つあるわ。一つはあたしの負担が減ることで判断忘れや取りこぼしが減る可能性があるということ。もう一つが上天使から天使と満遍なく違う階級の視点を入れることによって天界全体にとってより公平な判断が下せるようになるということ。こうすることでどの階級の天使でもあたしの判断に意見出来るようになるしそれが出来るようになるのは互いにメリットになるはずよ。」
スパヴェンタ「そうですね。私たちの意見が天界全体の決定権に干渉出来るようになるのはありがたい。」
ヌーラ「それに私たち熾天使としても判断の歪みに気づく機会を得られるのはやはりメリットになります。」
プーロ「それに直接意見出来るとなれば判断への不服も少しは減るかもしれませんからね!」
ビランチ「そうそう。それとこれからは・・・」
タッソ「ビランチ!取り込み中ちょっといい?」
ビランチ「あらタッソじゃない。どうしたの?」
タッソ「さっきプロイビーが地上の様子を観察しててイプノを見つけたんだけどそれを聞いたグラントが地上に飛び出して行っちゃったの!・・・どうすればいい?」
カリタル「やれやれ。グラントは相変わらず無鉄砲な。」
ヴェン「堕天使狩り部門にこのことは伝わっているのですか?」
タッソ「そっちはシントスちゃんが行ってるから大丈夫。」
ビランチ「・・・ならブッピラたちに任せましょう。(ブッピラ!フォール!聞こえていたらどちらか返事を下さい・・・‼)」
ブッピラ「(・・・俺だ。どうした?)」
ビランチ「(ちょっとあなたたちに頼みたいことがあるの。)」
ブッピラ「(グラントとイプノの件か?)」
ビランチ「(そう。)」
ブッピラ「(それならさっきシントスから聞いて確認済みだ。)」
ビランチ「(あたしもタッソから聞いて今確認したわ。それでお願いなんだけどグラントを連れ戻してきてくれる?)」
ブッピラ「(了解した。あとはこっちに任せろ。ある程度ことが落ち着いたら使いを出して報告する。)」
ビランチ「(ありがとう。助かるわ)・・・ふぅ。あ、ブッピラがグラントを連れ戻してくれるみたいだからとりあえずは落ち着いたわ。」
タッソ「そっか。良かった。」
トゥオ「早くも部門設立が生きましたね。」
ビランチ「そうね・・・にしてもグラント。あとで覚えてなさいよ・・・‼」
~~~~~
イプノ「まったく。人間とは愚かなものだね。神から与えられた知恵を使いこなせず勝手に不幸になり思い込み調子に乗り忙しないね。」
セイ「全くです。己が何者であるのか。少しは考えてほしいですね。」
グラント「イプノ!見つけたわよ‼」
イプノ「グラント‼・・・何故ここに?」
グラント「それは秘密。」
セイ「イプノ・・・。」
イプノ「ああ先に行っていいよ。グラントは僕が止めておくよ。」
グラント「あらあなたは逃げないんだ?」
イプノ「君相手なら逃げる必要はないからね。」
グラント「じゃ、今度こそ大人しく捕まってもらおうかしらね!」
イプノ「嫌だね♪」
グラント「あ!早速逃げてんじゃないわよ‼」
グラントはそう言うとイプノに向けて神力を放った。
しかしその神力はイプノには当たらず地上の山を掠め山一つ消し飛ばしてしまった。
イプノ「おっと!あーあ。山一つ消し飛んじゃったよー。どうするのさ?」
グラント「(や、やっちゃった・・・!に、人間は・・・良かった!幸いにも誰もいないわ・・・‼)」
イプノ「・・・汗、凄いよ?大丈夫?笑。」
グラント「うっさいわね‼あんたに心配される筋合いはないわ‼」
イプノ「笑。それにしても僕はいつ捕まるのかな~~?」
グラント「もうすぐ捕まえてあげるわ‼」
イプノ「うぉっ!・・・またかすめたよ?地上。」
グラント「(くっそ~~!飛んで神力放つとどうしても地上に当たっちゃう!・・・どうしよう?)」
イプノ「・・・‼」
フォール「よう久しいな‼」
イプノ「フォール‼(・・・こいつの相手はちょっときついな。)」
ブッピラ「俺は久しくないよな?」
イプノ「(ブッピラまでいるのか。)ああ。また会ったね。」
グラント「あなたたち‼どうしてここに?」
ブッピラ「ビランチの頼みでな。お前を連れ帰るよう言われた。」
ラーナ「ほんと勘弁してくださいよーー。僕まで駆り出されるなんて。」
イプノ「(・・・僕を捕まえる気はないみたいだな。)グラントを連れ帰ってくれるなら僕としても助かるよ♪」
フォール「まて。お前を逃がす気はねぇぞ?」
イプノ「ならここでやるかい?最も地上の人間たちはどうなるか分からないけどね。」
ブッピラ「・・・分かった。今回は見逃してやる。だが次はないぞ?」
イプノ「心得ておくよ。」
グラント「ちょっと‼なんで逃がすのよ‼もう少しで捕まえられたのに‼」
ブッピラ「そのもう少しで地上の人間たちはあと何回恐怖にさらされると思ってるんだ。」
グラント「それは・・・ごめんなさい。」
フォール「・・・あとはビランチに絞ってもらおう。とりあえず判断部門に連れてくぞ。」
ブッピラ「ああ。」
~~~~~
ラーナ「ビランチー。連れてきましたー。」
ビランチ「ブッピラ、フォール、ラーナご苦労様。世話をかけたわね。」
ブッピラ「スパツからはちゃんと聞いたか?」
ドラーク「ええ。ちょっと前にあんたたちがグラントを捕まえてくれたって伝えて帰っていったわ。」
ブッピラ「そうか。」
ドラーク「奇跡部門を代表してあたしからも礼を言うわ。ありがとう。それとごめんなさい。」
ブッピラ「構わん。あとはビランチ。あんたに任せる。」
ビランチ「了解よ・・・さてグラント。あなたに言っておくことが幾つかあります。」
グラント「・・・はい。」
ビランチ「一つ。後先考えずに行動しないこと。聞いた話だとあなたドラークの制止も聞かないで飛び出していったそうじゃない。それで飛び出した結果地上は今大変混乱してるわ。」
ドラーク「何で混乱してるか分かる?」
グラント「・・・それは山が吹き飛んだから・・・です。」
ビランチ「そうです‼地上にある山が吹き飛び大地がえぐれたからよ‼」
グラント「・・・でも幸い人間に被害は無かっ・・・」
ビランチ「当然よ‼天使が人間に被害を出さないのは当然のこと‼そもそもあなた程の天使が地上で戦えばどうなるか想像が出来たはずよ‼それが分かっていながら飛び出して行くなんて・・・・・・もしこれで人間に被害が出ていたら・・・どうなっていたでしょうねぇ・・・あなた。」
グラント「(け、消されるんだわ・・・‼)ほ、ほんとごめんなさい‼」
ビランチ「これに懲りたら少しは考えて行動することね。今はもう部門で動いているんだからドラークやプロイビーたちと考えてから動きなさい。動くのはそれからでも遅くはないはずよ。」
グラント「うん・・・。」
ドラーク「じゃ、ビランチ。あたしたち部門に戻るわね?」
ビランチ「ええ。引き続きお願いね?」
ドラーク「了解。世話かけたわ・・・ほら行くわよ‼グラント‼」
グラント「はい・・・。」
ヴェン「お疲れ様です。ビランチ。」
ビランチ「本当よ・・・どっと疲れたわ。」
スパヴェンタ「・・・次、どうします?」
ビランチ「・・・少し休憩しましょ。というよりあたしは暫く休むから、ヌーラ。あたしが戻るまで役割お願い出来る?」
ヌーラ「大逆から休んでないですもんね笑。了解です。承ります。」
トゥオ「苦労しますね。天使長。」
ビランチ「・・・まあね笑。」
~~~~~
イアス「んーー・・・。」
ヴェッキ「どうした?イアス。何か困りごとか?」
イアス「いや今回の部門設立からビランチの仕事をみんなで分けることになっただろ?それで俺地獄の管理を任されたんだよ。」
ヴェッキ「・・・ああ。そういえばそうだったな。」
イアス「でも俺地獄の場所も何にも聞いてねーんだよ・・・どうしたもんかな?」
ウナ「そしたら判断に聞けばいいんじゃないか?その為の部門設立だろ?」
イアス「でもビランチが居なかったらどーすんだ?」
ウナ「そういえば落ち着いたら暫く休むとか言ってたな。」
イアス「そうそう。だから聞いても分かんねーんじゃねーかなって思うんだが・・・。」
トラン「一応聞くだけ聞いてみたらどうだ?ここで悩んでても仕方ない。」
イアス「確かにそれもそうだな。(おーい、俺だ。イアスだ。ビランチは今いるか?)」
ヌーラ「(イアスですか。今は休んでいます。何かありましたか?)」
イアス「(・・・地獄の件に関してなんか聞いてたりする?)」
ヌーラ「(ええ。聞いていますよ。地獄の入り口と場所についてですよね?)」
イアス「(ああ‼で、それは何処にあるんだ?)」
ヌーラ「(入り口は太陽の近くに行けば必ず分かると言っていました。それと場所は地上の核そのものだそうです。)」
イアス「(地上の核そのものって・・・あの高密度エネルギーの中心かよ⁉)」
ヌーラ「(ええ。なので地獄の管理はイアスが適任だと。あなた以外に神炎に焼かれず地獄を行き来できる天使はいないからとおっしゃっていました。)」
イアス「(そりゃ、その神炎を纏ってるのは俺だけだからな・・・とりあえず了解した。切るぜ。)」
ヌーラ「(はい。)」
ラーマ「どうでした?」
イアス「入口と場所が分かった。今から行ってくるぜ。」
トレ「あいよ。」
~~~~~
ヌーラ「・・・いよいよ各部門の天使たちが動き出しましたね。」
フォルテ「そうだね・・・そういえば地上の社はどうなっているんだい?」
ヴェン「着々と作られ始めてはいますが・・・繋ぐにはまだ早いですね。」
カリタル「そうみたいだな。まだまだ数が足りない。」
スパヴェンタ「でも順調そうだ。良かった。」
プーロ「じゃあシントスたちに伝えるのはもう少し待った方がいいですね。」
ヌーラ「そうですね。」
ウーノ「まぁ状況だけは伝えてもいいんじゃないか?その方が連携も取りやすいだろう。」
プーロ「なら早速伝えてきます‼」
ヌーラ「行ってらっしゃい。」
トゥオ「それにしても人間たちは大分成長してきましたね。」
フォルテ「本当だね。前はただ火をもって駆けていたのに。」
デーチ「今では簡単なものではあるが言語を操っています。」
スパヴェンタ「でも人間同士争いが増えてきましたね。」
フォルテ「・・・やっぱり知恵を中途半端に発芽するとこうなるんだね。」
~~~~~
ドラーク「本当もう‼あんたは少しは考えて動きなさい‼」
グラント「ごめんなさい・・・でも人間に被害出さないようにしたから。」
ドラーク「それはビランチも言ってたように当然のこと‼少しは熾天使としての自覚を持ちな‼私たちの力は軽く振るっただけでも地上の人間からしたら恐怖以外の何物でもないんだから‼」
グラント「はい・・・。」
プロイビー「ドラーク。もうそれくらいでいいんじゃない?流石に自分がどれだけ迷惑かけたか分かったでしょ。」
グラント「・・・十分過ぎる程身に沁みました。」
フェア「(・・・うわぁ。何してるんだろ。)」
プロイビー「ほら身に染みたって!」
ドラーク「・・・本当に?」
グラント「本当よ‼今回だけじゃなく今まで考えなしで動いて悪いと思ってる‼」
フェア「(・・・え?登ってる?)」
ドラーク「そう?まぁ聞いたところによるとあんたラーナのまやかしもばらしたらしいし~~。」
ミスティオ「まぁまぁこれ以上いじめてやんなよ?流石に・・・」
フェア「きゃあっ‼いやっ‼」
ヴォルティ「‼フェア・・・どうしたの?」
フェア「・・・言葉。分けちゃった泣。」
~~~~~
ビランチ「戻ったわよぉ。」
フォルテ「お疲れ様。」
スパヴェンタ「ちゃんと休めました?」
ビランチ「ええ。お陰様で。」
スパヴェンタ「それは良かった。」
ドラーク「ビランチ。」
ヴェン「ドラーク。それにフェアも。どうしたんですか?」
ドラーク「・・・覚悟して聞いてくれる?」
ビランチ「・・・もしかしてまた何かやらかしたの?」
ドラーク「うん。」
フェア「・・・言葉を分けてしまいました泣。」
ビランチ「・・・はぁ。」
フェア「本当ごめんなさい‼グラントに続いて私まで・・・‼」
ヌーラ「とりあえず下界の様子を見てみましょう。判断はそれからでもいいのでは?」
ビランチ「・・・そうね。とりあえず見てみるから少し待ってくれる?」
ドラーク「・・・了解。」
フォルテ「・・・にしてもフェアがやらかすなんて珍しいね。」
デーチ「それはそうですね・・・何があったんです?」
ドラーク「あたしがグラントを説教してたらフェアが塔を創って天界を目指す人間たちを見つけてね。本能的に拒絶反応が働いて力使っちゃったんだって。」
フェア「放っておいたら本当に天界に登ってきそうな勢いだったのでつい・・・。」
ヌーラ「まぁ気持ちは分からなくはないですが・・・今の人間たちでは登れないと思いますよ?」
フェア「・・・焦っちゃいました。」
ビランチ「フェア‼」
フェア「は、はい‼」
ビランチ「今下界の様子を見てみたんだけど別に人間が傷ついたような危険性はないし今判断するには尚早だと私は思うの。だから今回は様子を見ることにするわ。」
フェア「じゃああたしに対する判断は・・・」
ビランチ「保留ね。これから様子を見てみて人間への影響を見てから決めます。だから時が経って判断が決まったらまた呼ぶわ。」
フェア「分かりました‼」
ビランチ「(・・・保留になったとたん元気になったわね笑。)じゃ、この件はこれで済んだから、部門に戻っていいわよ?」
フェア「ありがとうございます‼」
ドラーク「じゃ、これで戻るわ・・ほんと世話かけてばっかで悪いわね。」
フォルテ「・・・いや今回は大事に至らなくてよかったよ笑。」
~~~~~
プロイビー「お帰りー。」
ドラーク「ただいま。」
タッソ「で、どうだった?判断の方は。」
ドラーク「保留だって。暫く様子を見てから決めるんだってさ。」
ヴォルティ「そうなんだ。じゃ、一段落着いたんだ。」
フェア「そうですね!」
タッソ「笑。じゃ、フェアの件も片付いたみたいだから下界に行ってくるわね。」
グラント「了解~~♪」
~~~~~
シェンス「そろそろあたしたちも仕事しなきゃね~~。」
ノーヴェ「まぁそうだけどどうするよ?」
アッズ「んー・・・人間たちに道を示すって言ったって具体的に何すればいいんだ?」
モルテ「知恵を扱う為に必要な知識を与えることが主になるでしょうね。」
リスパリオ「成程な。だったら俺の策略を・・・」
チュル「争いを助長してどうするんだよ。それより人間がどうあるべきかを教えるのが先なんじゃねーか?」
オルゴ「人間がどうあるべきか・・・か。」
モルテ「・・・私が行きましょうか。今思いつきましたので。」
レナ「何を思いついたんだ?」
モルテ「人間に示すべき道の一つです。まずは善と悪について示してきます。」
チェル「善悪か。確かに欠かせない考えの一つですね。」
モルテ「正確に伝わるかは分かりませんがね。」
シェンス「まぁそれは・・・見えないからね。」
モルテ「でもなるべく正確に示してきますよ。」
シェンス「お願いね。」
モルテ「分かりました。」
~~~~~
ビランチ「・・・止まらないわね。争い。」
フォルテ「本当だね。一時的にやむことはあってもまたすぐに始まるね。」
スパヴェンタ「・・・これを見ていると知恵も大切であることがよく分かりますね。」
フォルテ「ああ。」
ウーノ「ビランチ。少しいいですか?」
ビランチ「ん?どうしたの?」
ウーノ「私はこれから地上に降りて人間たちに争わなくても生きることが出来るよう説いて来ようと思うのですがいいでしょうか?」
ビランチ「いいわよ。けど天使と言えど気をつけなさい。今の地上は前より危険よ。フルートが撒いた災厄もあるし。」
ウーノ「分かっています。いざという時は私も微弱ながら神炎が使えるのでそれで対処します。」
ビランチ「・・・そう。気を付けてね。」
ウーノ「はい。」
~~~~~
レナ「・・・あ、俺も思いついたぞ。」
オルゴ「何を思いついた?」
レナ「覚悟だ。確かあいつら俺たちと違って不死じゃねーんだよな?だったら覚悟は必要じゃねーか?」
オルゴ「・・・確かに必須だなそれは。」
リスパリオ「・・・覚悟していても自分自身が消えるのは怖いぞ?」
レナ「頼りないのは分かってる。けど人間たちは覚悟を知ることで俺たちと違う道を見つけることを俺は信じてる。」
シェンス「何もないよりはいいと思うわ。」
レナ「だろ?じゃ、俺も行ってくる。」
シェンス「了解~~。」
~~~~~
ウナ「ほう。こいつは面白い。」
ヴェッキ「どうした?ウナ。」
ウナ「ほら地上の祠を見てみろ。人間たちが木や岩を使って守っている。」
ピオージャ「へー。見えなくても感じてんすかね。力を。」
ガンペーデ「偶然だろ?まぁでも仮に感じてああしてんだとしたら流石は俺たちの模倣物なだけあるな。」
ペスト「そうか?俺たちならもっと高度に守ってるぜ。」
シュルケル「でもそろそろ力切れだ。」
ヴェッキ「そうだな。シュルケル頼めるか?」
シュルケル「あの孤島は私の管轄だからな。言われなくても行くさ。」
~~~~~
タッソ「戻ったわよ~~。」
ソーマ「お帰り。どうだった?」
タッソ「上乗♪」
ヴェール「あらそれは良かったわね。」
タッソ「次はヴェール。あなたでしょ?」
ヴェール「そうよ。じゃ、行ってきます。」
ソーマ「・・・大丈夫か?」
ドラーク「ヴェールちゃんは捻くれてるからね~~。上手くやってくれるといいけど・・・。」
~~~~~
ヌーラ「・・・にしても天使長ってこんなに忙しかったんですね。」
ビランチ「そうよ。」
フォルテ「これを今まで一人でやってたなんて随分負担かけてたんだね。僕ら。」
ビランチ「負担なんて言わないで。力を持つ者としての務めなんだから当然よ。」
ヌーラ「・・・これからはお互い同じ負担で助け合っていきましょう。」
ビランチ「こちらこそ。」
プーロ「あ、あの・・・そろそろいいっすかね?」
ビランチ「あぁ道繋ぎ?」
プーロ「はい。」
ビランチ「ヴェンどんな感じ?」
ヴェン「地上も大分落ち着いてきたので始めてもいいと思います。」
ビランチ「ですって。行っていいわよ。」
プーロ「了解っす!」
ビランチ「あぁ粗方終わったら連絡頂戴。」
プーロ「了解っす!」
~~~~~
プーロ「シントス!ソーマ‼迎えに来たぜ‼」
フェア「やっと出来るんですね。」
ソーマ「みたいですね。」
グラント「具体的にはどうやって繋ぐの?」
シントス「まず下神域の端に導を付けます。」
ソーマ「その後その導から道を伸ばしそのまま祠まで降り祠に道が馴染むまで神力を与えて繋がったら最後に導と祠の両端にそれぞれ立ち調整したら完成です。」
ミスティオ「で、道繋ぎが粗方出来たところで俺とそれぞれ上天使を加えて異界を閉じ完了です。」
ドラーク「何で異界を閉じるのに上天使が必要なの?」
ソーマ「堕天使を捕まえてもらいたいんです。」
ドラーク「成程。あんたたちより強い奴が出てきたら忽ち消されちゃうもんね。了解。必要になったら声かけて?」
ソーマ「分かりました。」
グラント「必要ならあたしも協力する~~‼」
ドラーク「・・・あんたはダメ。」
グラント「え?何で?」
ドラーク「天界ならまだしも地上は前科があるでしょ?グラントは天界で各部門との連携頼むわ。」
グラント「・・・分かった。」
ドラーク「・・・流石に今はまだビランチの目があるから動けないけどもう少し時間が経ったら一緒に地上見物行きましょ?」
グラント「え?ほんと⁉」
ドラーク「ええ。但し!あたしと一緒よ‼いいわね?」
グラント「は~~い‼」
シントス「(よっぽど地上に行きたいんだな・・・)では私たちはこれから道繋ぎに行くので失礼いたします。」
ドラーク「ええ。行ってらっしゃい。」
ヴェール「ふぅ。戻ったわよ。」
ヴォルティ「お帰りヴェール。どうだった?」
ヴェール「説教しちゃった。」
ヴォルティ「・・・へ?」
ヴェール「だから説教しちゃったのよ。人間に‼」
ヴォルティ「・・・何でそんなことしちゃったの?」
ヴェール「だってあたしたちを頼り過ぎなんだもの。だから巫女とやらの体を借りて説教してやったわ。」
タッソ「・・・どうする?」
ドラーク「ビランチへの報告はもう少し待ちましょう。プロイビー。地上の様子はいつでも見れるわよね?」
プロイビー「ええ。」
ドラーク「そしたら暫く様子を見ましょう。まだ吉と出るか凶と出るか分からないから。」
プロイビー「・・・了解。」
ドラーク「うちって何かとやらかすわね。」
フェア「奇跡部門改めやらかし部門ですね。」
ドラーク「あんたもその一人だからね?」
フェア「・・・テヘペロ♪」
~~~~~
レナ「ふぅ。」
シェンス「お帰りレナ。首尾はどんな感じ?」
レナ「・・・どうだろうな。少し説教じみたことしちまったしな。」
シェンス「・・・マジ?」
レナ「マジだ。」
オルゴ「・・・とりあえず様子を見よう。人間たちがどういう行動をとるか。それから判断したらいいんじゃないか?」
シェンス「それもそうかも。じゃ、時を待ちましょっか。」
~~~~~
プーロ「なぁー!これで何本目?」
シントス「そんなのもう途中から数えてないわよ‼」
ソーマ「プーロ‼お前はそろそろ報告しに行け‼あとは俺が代わる‼」
プーロ「集合場所は?」
ソーマ「奇跡部門だ‼」
プーロ「了解‼」
~~~~~
ビランチ「・・・ちらほらではあるけどあたしたちの姿が見える人間が出てきたわね。」
スパヴェンタ「そうですね。」
プーロ「ビランチー!粗方終わったぜ‼」
ビランチ「そう。あとは何するの?」
プーロ「異界を探して閉じるだけだ。」
ビランチ「あたしたちでも出来ることある?」
プーロ「・・・そしたら手の空いている上天使に声をかけてくれねーか?ドラークはもう確定してるからあと二人頼む。」
ビランチ「了解。」
~~~~~
シントス「もう遅いよ‼プーロ。」
プーロ「悪い悪い。」
ドラーク「じゃ、行く?」
ソーマ「いえ。まだです。」
ドラーク「え?どうして?」
グラント「上天使があと二人必要なんだよね~~?今オルゴとフォールがこっちに向かってるからもうすぐよ?」
ドラーク「どういうこと?」
シントス「今から説明します。これから私たちはソーマと私、そしてプーロ&ミスティオの三手に分かれ地上の異界を捜索します。」
ドラーク「でも異界はミスティオ君しか探知出来ないのよね?」
ソーマ「ご心配なく。俺とシントスも探知の術を持っています。」
プーロ「・・・俺はないんでミスティオが同行するんす。」
ドラーク「成程。三手に分かれるから上天使が三人いるのね?」
ミスティオ「そういうことです。」
シントス「揃い次第出ようと思います。」
ドラーク「了解♪」
フォール「ビランチに呼ばれてきたぞ。」
オルゴ「同じく。」
ソーマ「じゃ、誰が誰と行きますか?」
ドラーク「あたしシントスちゃんと行く~~♪」
シントス「よ、よろしくお願いします‼」
オルゴ「なら俺はミスティオたちと行こう。」
ミスティオ「よろしくっす・・・。」
フォール「じゃ、俺はソーマとだな。」
ソーマ「お願いします。」
シントス「では各自予定通りに‼」
全員「了解‼」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?