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天使たちとの共同戦線(十九章、天使の御心)
フェア「戻りました。」
シェンス「お帰り。どうだった?」
フェア「・・・やっぱりショックを受けていました。」
シェンス「そりゃそうよね。」
オルゴ「暫く時間が必要だな。」
ドラーク「・・・ウーノ。少し時間を置いてからいきなさい。」
ウーノ「分かった。」
〜〜〜〜〜
フェアとオルゴが消えてから三か月程経ったある日。
新しい天使が俺の前に現れた。
ウーノ「・・・お前がミィディアか?」
ミィディア「・・・誰?」
ウーノ「オレはウーノだ。お前に最後の天使の力を与えに来た。」
ミィディア「・・・そうか。」
ウーノ「やはりまだショックからは立ち直れそうにないか?」
ミィディア「それはね。だってもう会えなくなるんだろ?」
ウーノ「・・・確かに天使とは会えなくなる。しかしお前には今まで天使から与えられた力がある。モルテの思考、シェンスの発想、フェアの会話術、ヴェッキの戦術、ラーナの幻術、オンブの催眠、こうしてあげるだけでも錚々たる天使たちの力だ。お前にはこれだけの天使たちが味方にいるんだ。・・・言わば〝天使たちとの共同戦線〟と言ったところか。」
ミィディア「天使たちとの共同戦線・・・。」
ウーノ「そうだ。天使たちだけで足りなければ堕天使もカウントするといい。」
ミィディア「・・・ウーノ、そんなこと言っていいのか?」
ウーノ「・・・他の天使にはオフレコで頼む。ミィディア。お前は優しい心の持ち主であることを俺たちは知っている。どんな者もそんなお前の優しさに甘えたくなる。そこがお前の魅力でもある。そしてそれは天使とて例外ではない。・・・イプノやセイのことを考えていたのだろう?」
ミィディア「・・・心が読めるのか?ウーノ。」
ウーノ「残念ながら俺に心を読む力はない。だが読む力がなくとも分かる。時々考えるからな。」
ミィディア「・・・そうなのか。そう言えば天使同士にも仲良いとか悪いとかあるのか?」
ウーノ「まぁないことはない。セイはフォルテと因縁がある。グラントとイプノは人間界でいう姉弟のような関係だな。ブッピラとノーヴェは昔からのライバルと言ったところだな。」
ミィディア「成程な・・・。」
ウーノ「まぁ天使も色々あるのさ。お前だけじゃない。お前一人が辛い目にあっているわけじゃない。今のようにこの先人生で辛い経験や立ち直れないほどのショックを受けた時に思い出してほしい。天使たちがいることを。完璧じゃなくてもいいことを。一人じゃないことを。泣きたい時には泣いてもいいことを。この世界に絶対的な正解などない。お前が信じる道を進め。道を誤ったなら俺たちが正しい道へと導く。お前を馬鹿にしてくる奴は気にするな。・・・世界に一泡吹かせてやれ。」
ミィディア「・・・ウーノありがとう。」
ウーノ「・・・落ち着いたか?」
ミィディア「かなりな。」
ウーノ「それは良かった。なら俺は天界に戻るが・・・大丈夫か?」
ミィディア「ああ!大丈夫だ。」
ウーノ「分かった。最後にひとつだけ朗報がある。」
ミィディア「朗報?」
ウーノ「次はお前が一度はあったことがある天使たちがみんな来るぞ。」
ミィディア「みんな⁉マジで?」
ウーノ「ああ。楽しみに待っていろ。」
そう言うとウーノは姿を消した。