助産学会学術集会の思い出
去年のスポーツの日を含む3連休は正期産まであと少し!と、基本は自宅でのんびり、でした。
しかし!1日だけ、父に車を出してもらって外出をしています。
築地まで行きました。
それは、日本助産学会学術集会に参加するためでした。
なぜ参加することになったかといいますと、レオポルド触診法のモデルを務めるためです。
妊娠中期に、私を担当してくれる助産師さんから「もし大丈夫だったら」とお話をいただいていました。
もちろん快諾。
「切迫にならずにその時を迎えられるように頑張ります!」
と言って、見事に切迫になった人。
レオポルド触診法とは、触診で胎児の位置や大きさや姿勢を確認する、というものです。
病院でのエコーによる妊婦健診が普及している現在、その手技が必要とされる機会は著しく減少しました。
かつて、私が産婦人科外来に勤務していた頃には、医師によるエコーの前に腹囲と子宮底長の計測及びドップラーによる胎児心拍聴取がありましたが、ここ数年、それを省略する産院も増えています。
妊婦1人あたりにかかる健診の時間を削減し、医師による健診の効率アップのためでしょう。
実施することがなくなれば、当然、助産師の手技のレベルも低下します。
私自身も、外来を離れてから、その感覚は鈍りました。病棟で分娩担当になって装着する胎児心拍モニターの位置と、まだ分娩開始兆候のない状態、ましてや正期産にすら入らない妊婦のお腹に触れて胎児心拍を聴取することはまったく違うな、と感じます。
この時、私は35週に入ったところでした。
開業助産師のレクチャーのもと、看護学生や助産師学生が私のお腹に触れます。
開業助産師が先に触れて、その後学生が触れて答え合わせをするのです。
「うっわー!!モデルでよかった!今の私、当てる自信ないかも~」と心の中で思っていました。
ちなみにレクチャーするのは、私のお産を担当してくれる予定になっていた助産師さん。
そして、この時の触診、多くの病院でするもののように、ただ「頭が下」とか「背中が母体の左側」とかではなくて、「踵がここかな。赤ちゃんがなかなか起きなくて、モニターで元気なサインを確認できない時なんかは、お腹越しに踵を掴むようにして、少し揺らしてあげると起きます」なんて説明があったりして、さすが開業助産師さん!!と尊敬の念です。
東京都の開業助産師さんがたくさん集まっていたので、触診法の手技の確認の後には現場での色々な話題が出て、とても勉強になりました。
ある助産師さんが「25週くらいでお腹に触れて胎盤が前壁にあったりしたら、学生さんには触らせないもんね」という人がいて、「…はて、その週数で触診して胎盤の位置がわかるとかすごすぎる!」と思いました。
常々思うのです。
同じ助産師だけど、開業助産師さんは私とは別資格!って。
本当に素晴らしい技術。
助産院。なくならないで欲しいです。
この日は朝から冷たい雨でした。
切迫早産の私を気遣って、担当の助産師さんが事前に「参加は無理しないでね」と言ってくださり、さらに当日会場についたら、私のために湯たんぽを用意してくれていて、そんな心遣いもまた有り難くて、心が温かくなりました。
そして狭い世界。思わぬ再会も果たせてよかった。
ちょこっと残念だったことが2つ!!
助産師のカリスマと呼ばれる方が体調不良でいらっしゃらなかったこと。私はNHKのプロフェッショナルに出演されているのを観ただけでお目にかかったことはなく、この時ぜひともお会いしたかったのだけれど、残念でした。
もうひとつは助学時代にお世話になった先生に会えなかったこと。妊娠の報告だけして、会う事ができていなかったので…。
この業界にいれば、またどこかでお二方にお会いするチャンスがあるかな、と期待しています。
帰り道、父とお昼ごはんを食べて帰宅。
往復の車内で色々な話をしました。
築地から銀座が近かったので、「銀座ウエストのクリームパフが懐かしい」という話になり、母の分も買って、実家で親子3人のティータイム。
人生何が起きるかわからず、このタイミングでの妊娠。まさかの、です。
両親に迷惑掛けまい、と臨んだことだったのに、切迫になり、サポートをしてもらわざるを得なくなって、情けないやら申し訳ないやらではあったけれど、この妊娠がなかったら、このタイミングで両親とゆっくり話す時間も取れなかったかもしれない、と思うと、有り難くもあり…。
色々なめぐり合わせを感じて、感謝の1日でした。
そうだ!
この日のレオポルド触診法で突然の逆子じゃなくてよかった(^^)。
切迫も悪化せず、貴重なイベントに参加できるようにしてくれた赤子にも感謝。