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三条ひとり晩酌。夏夜の鴨川は終わらない【わたしの小さな日常】

7月の金晩。私は京阪で京都に向かった。
三条の地上に降り立つと、
オレンジ色の灯がぽつぽつ鴨川沿いに見える。
京都の夜はこれからって感じだ。
橋に立てば学生時代から見続けた鴨川の光景が見える。
今となってはその光景を見るのも悪くないなって、
私は私の気持ちが変わってることに気づいた。
あ、なんか大人になったのかなって、
でも少し寂しさなとも思った。
そんな感じでイヤホンを耳にして
applemusic聴きながら一人歩く三条もそう悪くない。

久しぶりに京都で一人飲みの日だ。
財産少なめ勉強真っ最中の身分なので
ふらふらと外に出て飲むのは良くないことを知っている
(が、その気持ちを揺さぶるように飲みが迫ってくるんだから仕方ない。)
行き先は前から気になっていたINTA-NET KYOTO。


京阪三条駅から地上へと降り立ちBOOKOFFを見て
目の前の交差点を
出町柳のほうへ歩いてすぐ右に曲がれば
閑静な住宅街が広がる。
そこで身を潜めるように静かに路地裏に佇むのが
INTA-NET KYOTOである。

Google mapに記されている場所と同じ所にいるのに
なぜかお店が見当たらなかった。
だから3周くらいしてやっと「いんたねっとこのおく」も手のひらサイズのミニ看板が路地脇に置かれてあるのを見つけたときの感動よ。
真っ暗闇の路地は最高に心細かったけど、
何が起こるか分からないワクワクもあってこれぞ日本の夏って感じ。

お店に入るとふぁ~っと柔らかな空気が舞い降りた。
優しさに包まれるような心地に浸されるような。
10畳くらいのこじんまりした空間ではありながら
天井は高くて開放的な不思議な感じ。
淡い青色の石でできたようなカウンター。
その前には小さなキッチンがあって
スパイスを今から調合するんですか?
というビジュアルがもう堪らん。

私はカウンターの端っこに申し訳なさっていうか
ちょっと恥ずかしかったので、
気持ちここにいます程度に座った。
そしてやんごとなきスパイス舌になってしまったので、
お店の人が勧めてくれた
スパイスポークの米粉サンドと
スパイス焼酎ソーダ割りを注文した。

この部屋には色々なアート作品が飾ってあるので、
よければ自由に見てくださいね~と言ってくれたので
待ち時間に見ることにする。
スパイス焼酎が来たというのに、
目の前にして置き去りにしたことは(飲む前に)
私のお酒好きはまだまだと反省するも
素敵なアートが置かれていることは分かったからいい。

作品が飾られている棚の下には本棚があった。
お店に並んでいる本って無性にワクワクする。
物語、デザイン、建築…といろんな本がずらりと。
並んでいる本で店のすべてを判断するのは
ちょっと違うけど、
置いている本には何かしらの影響力がある。
どんな店か感じるものがある。
個性がカタチとして出てくるような
そういう感覚を味わう感じでなんか好き。
チェコのプロダクトのデザイン本に興味を惹かれ
しばらく読んでいた。

そろそろ戻るかとカウンターに座ると、
芳ばしい香りがキッチンから漂う。
お店の人の後ろ姿
あれば絶対サンドウィッチを作っていると、
必要ない謎の自信と確信を得て自分を褒めたたいた。
今からその芳ばしい香りのする料理を
私が食べられるのかと思うと垂涎ものです。

待ちに待ったサンドウィッチがやってきた。
驚愕あまり椅子がひっくり返りそうな感じ。
にはならないけどまじでいい匂いだった。
(ので大げさに言いました)
2段にどーんって半分に切られた
みっちりフォルムのサンドウィッチが
タワーになってそびえ立っていたので
(横に並んでるのを想像してた)
気持ちがドーンって高ぶる興奮よ。

カルダモン、八角、クミンとかたくさんのスパイスに
煮込まれたホロホロで甘辛さぎゅっと詰まる豚肉と、
それを優しく包み込むかのように
目玉焼きがいらっしゃるんだから塩梅が素敵だ。
だんだんとタレがじゅわ〜って
しみてきてひたひたになったパンを頬張るのも好き。
スパイス焼酎が口にがちっと
パンチを入れてくれるから後味堪らんよな。
これはサンドウィッチ史上
マイベストオブ3位には入ります。
いや、たぶん1位くらいだわ。

ほろほろ肉が最高に病みつき味で、
思わず「テイクアウトありますか」って聞いたら、
お昼以降は大丈夫ですって、なんと、、、
聞いてみるもんだなって思い嬉しかった。

特に理由もなく
国立近代美術館の開催予定を調べながら、
私の人生どうなるんだろう~とか考える。
先のことなんて不確かでそういうことって
無駄だなって思う。
けど一度考え出すと止まらなくて
いろんな感情がぶわあああって滝のように流れるんで、
そういう時間を無意識に欲していたんだなって
結論に至りました。お一人飲みもいいもんですね。

店を出たら再びイヤホン耳に音楽を聴きながら歩いた。
残業でクタクタの相方に申し訳なさを感じながらも
ほろ酔い気分で三条で待ち合わせして、
閉店間際の出町の串八に滑り込み、
クタクタの相方を慰めるように茄子の串カツとハイボールを頬張った。
なんとなくいつもよりも景色が広く見えて、
新鮮な気持ちの金晩でした。

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