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ポテ民に新たなポテ文化を。祇園の夜に燻製マヨポテトをつまむ休日。【フードエッセイ】

ポテトから拡張される宇宙が突然訪れるような新感覚ポテトフライがそこにあるなんて...無類のポテ民に私も一歩近づいた気がするが、まだまだその道のりは長いようだ。

お盆真っ最中の日曜日の晩。
ふだんであれば明日は仕事のため
おとなしく家で過ごすのだが
今日は祇園四条へと足を運ぶ。

焼肉の名門天壇とか
東華菜館とか、翠雲苑とかでもなく、
なんてったってここには「RUTUBO」という
ポテトフライに絶大なる信頼を持つお店があるのだ。
無類のポテト好きはいかないわけにはいかない。

私はもともと無類のポテト好きではなかった。
友人にポテト酒飲み好き女子がいるのだが、
彼女と行くと言わずもがなポテトがテーブルにくるほどだが私は違う。
もしもメニューに唐揚げ、ポテトが書かれて、
「あと一品何にする」って言われたら、
おそらく「唐揚げ」といってしまうだろう。

私の頭には「ポテト」という概念に対して
そこまでの熱い思いはなく、なんか頼むものないから
とりあえずポテトいっとくか~って感じだった。
人類の無類ポテ民から猛烈な批判勘弁なのだが、
次々と料理がくれば、最初のアツアツのポテトはだんだんとテーブルの端っこに追いやられ、時間とともに冷めていくポテトを飲み会の終盤で再発見するもんだから、もはやもうあのサクジュワはないのかと、見て見ぬふりをしようとしたら「おれ、もう用済みか」とじわじわポテトが声を発するような気がしてちょっと恐ろしくなる。

というのが私の中のポテト論だったのだが、
RUTUBOのポテトに出会ってからはそうではない。
人類の無類ポテ民からポテト口に突っ込まれて
無類ポテ民に認定してほしい願望を抑えきれない。

まあそのフォルムはよくあるポテトフライだが、
どっぷりとマヨネーズにつけて頬張ればあまりに驚きのあまり目が見開くほどの美味しさよ。
無類ポテ民には、ポテト素材の味じゃないんかよ、
そもそもマヨネーズかよ、とまたもや怒られそうではあるが、もう少し待っていただきたい。

このマヨネーズは一見マヨネーズなのだが、普通のマヨネーズではない。普通のマヨネーズ以外に何があるんだと、そうなんてったって、燻製マヨネーズなのである。
このマヨネーズをポテトにつけて放り込めば
ポテトフライも格別なのである。

ポテトの醍醐味はホクホク感と口いっぱいに広がる芋の優しい甘み。ひとつまみで放り込めるのでパクパク食べれる病みつき感。
でもそこにはいつも想像通りの味って感じで旨みぎゅっと詰まっている感じでもないところが惜しい。ポテ民にはまた怒られそうだが堪忍を。

でもこの燻製マヨがあることで、
ふんわりと口いっぱいに広がる香りが一瞬何を食べているのかわからないワクワク感と、カツオのような旨みがぎゅっと凝縮されている香ばしさ。
たとえポテトが冷めたとしても、これをつければ一気に生きてる心地になる感覚がたまらんのです。

そういうわけで、私はテーブルの端っこにザーッとポテトをのけ者扱いにすることなく、あっという間に皿は底を尽きた。おとものカルダモン焼酎ソーダ割りを飲みほしてから、ふらふらと出町方面へと帰ったのである。

無類のポテ民は、何もつけなくてもポテトラブ民であることは重々承知でまだポテ民を名乗る資格はないと思っている。しかし、無類のポテ民でもRUTUBOの燻製マヨネーズポテトフライはだまされたと思って一度つまんでみてほしい。そして新たなポテ文化を実現していただきたい。

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