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粘着中 2024開成中算数

本業で使っているシステムがダウンしてしまったので、ここにまた書きに来ました。図は上にあります。1(3)です。

(3) 1辺 3cm の正三角形 P に、マーク P がかかれています。この正三角形 P がはじめ下の図のスタートの位置にあって、1辺 9cm の正三角形 Q の外周を図の矢印の方向にすべらないように転がって、はじめてゴールの位置にくるまで動きます。

(ア) 正三角形 P がゴールの位置に着いたとき、マーク P は上の図の向きになっていました。マーク P は、スタートの位置ではどの向きにかかれていましたか。解答らんの図に書き込みなさい。

(イ) 正三角形 P がスタートからゴールまで動くとき、図の頂点 A が動く距離を求めなさい。

(ウ) 正三角形 P がスタートからゴールまで動くときに通過する部分の面積は、次のように表されます。空らん (X), (Y) にあてはまる数を答えなさい。

正三角形 P が通過する部分の面積は、半径が 3cm で、中心角が 60° のおうぎ形 (X) 個分の面積と、1辺が 3cm の正三角形 (Y) 個分の面積をあわせたものである。

(ア)については、回転する正三角形に何かが書かれているという状況(三回対称性のある△などがど真ん中に書かれている場合は当然除外します)で、辺が大きな正三角形の辺上にある場合にその辺との相対的な関係でとりうるパターンは3つです。このパターンを甲、乙、丙とします(笑、図中に緑で示しました。なお、私は民法研究者ではありません、念のため)。何となく算額めいた感じを醸し出したいだけかも。

何が言いたいかと申しますと、最初の状態が甲であるとき、最初の辺の終わりでは2回の回転を経ているので、丙になり、頂点回りに回転して甲の状態に戻るということで、これは、大きな正三角形のスタートおよび各辺に最初に触れる小さな正三角形の状態は甲であるということです。そして最後に触れる正三角形の状態は当然丙です。

つまり丙の状態がゴールにあるものとなります。いちいち回転した図を追いかけていかなくても、このように考えれば、ゴールの状態からもう1回だけ回転して甲の状態を把握し、それを踏まえればよいだけのことです。これが本質的な理解ではないでしょうか。

もちろん大きな正三角形の各辺上に3つの小さな正三角形を描いて。Pを回していっても大して時間はかかりません。その場合、正三角形とは切り離して、Pが回転した姿だけを追いかけることもポイントでしょうか。

もっというと上で本質的な理解とした事柄と絡めて、一つの頂点から底辺に下した垂線(赤線で示しました)とPの縦棒部分が平行だとみなし、垂線を動かして、縦棒の向きを考え、Pの頭上(?)に辺があることに注意して曲線部分を後から付け足したほうが速いでしょう。瞬殺です。

コツコツPを描いた小さな正三角形を描いた受験生(頂点マタギの240°回転は大丈夫か!?)との差は歴然としていて、抽象思考を用いてここで稼いだ時間で他の問題に専念できるというわけですね。

このようにある種の抽象化を促すというのは、まさしく「発達段階に応じる」ことを大義名分として数学を封印する「受験算数」へのアンチテーゼとも感じられます。とてもいい気分になります。

必要な要素に注目するために他の要素を捨象したモデルを考えるというのはサイエンスの真骨頂です。

あるいはスタートから2回回転した丙を描いておいて(これもPではなく縦棒と平行な垂線だけを描いておく方がよい)、スタートを考察した方が分かりやすいという気もします。

最終的には、以上の議論をふまえるて、実は、丙の次は甲ですから、もう1回回転すると甲の状態となりスタート時と位置も書かれている記号も同じになると考えるのが最速ですね(紫で指摘)。

私の拙い答えは上の図中に書き込みました(青色の箇所)。間違っていたらご指摘ください。

(イ)と(ウ)は、中学一年生の定期テストレベルですね。

小6のピッカピカのアタマの処理能力であれば(ア)~(ウ)を2,3分で解決でしょう(もっと速いか?)。

(イ)半径3の扇形で中心角120°の弧3つ分と、中心角240°の弧2つ分なので、トータル840°として、πで計算しておいて、最後にお付き合いで3.14代入して一回だけ小数計算しますか…

  2・3・π・(840/360)= 14π ゆえ、14×3.14 = 43.96 (cm)

(ウ)の題意が表す領域は外側の輪郭が半径3cmの扇形の弧になることに注意して、中心角60°の扇形と小さい正三角形のどちらに含めるかで数え方はまちまちだと思いますが結果的に(X)が14、(Y)が7となります。

これがいわゆる『サービス問題』というやつなんでしょうね。

(ウ)で求積させないっていうところは粋なはからいだと思いました。

計算がダルい…、ん!、というより小6生には無理だと今気づきました!

そもそも正三角形の1辺から面積を求める術は公立中学では3年生での学習内容だったはず。

正三角形なのですから、辺の長さと面積は1変数の関数関係にあります。数学に進んでおけばこういう議論も出来るんです。

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