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法律について

本業がシステム障害によって大惨事となってしまったため、現実逃避として、こちらでの書き込みをしたいと思います。

法律というと難しそうですが、実は少し学んでみるととても面白いものです。法律関係の資格を持っている知人と話すと、資格取得のために「条文を暗記する」ことが必要だと多くの人が考えているようだけれど、実は違うと言うんですね。

実際、論文試験では試験用の六法の本が使える。

法律の学習というのは、法律の解釈(これの積み上げが「判例」)を学ぶことが基本だということです。

面白そうなので、いくつかの法律のベーシックとなる本を読みました。また、『判例100選』なる本もいくつか購入しましたが、とても面白い!

私は試験対策をしているわけではないので、思いの向くまま気の向くままに色々みています。

『判例100選』では簡潔にまとめられ、解説されているだけなので、気になった判例については深堀しています。

刑法200条「尊属殺人の重罰規定」が『憲法違反』とされた事件がありました。この事件の判決を第1審判決から見ていったことがあります。

第1審は「事実審」といって、事件について裁判所が事実だと認めた事柄について詳細に書いてあります。この事件で、加害者の女性が、被害者男性からそうとう酷い目に遭っていたことが生々しく描写されています。そしてその事実認定に基づいて裁判所の判断の記述となります。

第1審では、被害者が存続である場合について重罰を科すことを規定した200条は憲法のいう法の下の平等の規定に違反するものなので違憲とし、通常の殺人罪について定めた199条を適用し、さらに大幅に刑を減軽する判決を下しました。これは被害者の鬼畜のような行為を受け続けていた加害者の心情に鑑みたものだと分かります。

第2審では、(事実審を行う場合もあるようですが)「法律審」といって、1審判決の正当性を法的に審査することがメインになります。ここでは、それまでの最高裁の判例を受けて、200条を「違憲」だとした1審判決を破棄して、200条を適用した判決が下されました。

そして最高裁に上告され、第3審ということになった訳です。最高裁は完全に法律審のみです。事実認定が怪しいという場合には、「お前らもっとちゃんとよく見て考えろよ!」という感じで控訴審判決を出した裁判所に「差し戻し」という判決を出すようですね。

全ての最高裁判事が登場し憲法判断を行うことが暗示される「大法廷」で行われた裁判の判決は、判例を変更して、やはり200条を「違憲」だとしました。

なんだ、2審を握りつぶして1審判決を支持したのか、と思うのは早計というものです。同じ「違憲」という判断でも、そこに至るロジックが少々違うのです。

最高裁の判断は、一般の人を殺した場合よりも親族を殺した場合を区別して罰することは平等原則に違反しないが、それならば尊属だけではなく配偶者や卑属も含めないところが平等ではないというものでした。

結果は同じでも、ロジックが違うのですね。

判例を第1審から追ってみるというのはとても興味深いアプローチだ思いませんか?

昨日は図書館にいたのですが、となりの席にいた方が、某司法試験予備校の受講生らしく、タブレットで授業を見ながら何やら唸っておられました。おそらくこういうアプローチはなさらずに、「刑法200条は違憲」終了!ってな勉強の仕方をされているのではないかと思ったりしました。

まさか隣で法律についての書き物をするのはどうかなと思われたので、今日これを書いているわけです。

私のようなアプローチをしていれば、試験勉強に彩を添えるものになるのではないかな?と思ったりしました。

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