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1億浮かせて人生を取り戻せ!ー都内で理想の家を持つ方法ー 第2回「換気編」

みなさん、こんにちは。
前回の「1億浮かせて人生を取り戻せ!ー都内で理想の家を持つ方法ー」には、沢山の反響をいただきありがとうございました。

また、建設業・不動産業の方から読んでいると連絡をいただき、襟を正す思いです。

さらに嬉しい報告が。一級建築士(!)であり漫画家でもあるヒヅメさんが、この記事を発展させて、資産形成についての記事を書いてくれました。
とてもためになる記事なので、ぜひ読んでみて下さい。


さて、前回は主に断熱とその成果についてでしたが、今回は換気についてです。
前置きが長いです(理由があります)。

それでは、よろしくお願いします。



<現在の温熱環境>

まずは現在の我が家の温熱環境を見ていただきます。
それぞれ、平均気温と平均湿度です。

平均気温
平均湿度

平均気温19.6℃、平均湿度49.0%、かなり安定しているのが分かっていただけると思います。気温が極端に上がった日があるのは、ガスストーブで二酸化炭素濃度の上昇を計測する実験を行ったため、極端に下がった日は、二酸化炭素(CO2)濃度測定器の校正(補正)を行うために、温度計を外に放置したためです。

ポイントは、外出している日中や夜間のエアコンを停止している時間帯でも18℃くらいまでしか気温が下がらないことで、これは私の予測を超える結果なのですが、どうしてここまで高止まりするのかの考察はのちほど。

<使用機材>

使用機材はこちら オレンジの非接触温度測定器から時計周りに、二酸化炭素濃度速度計(温湿度計兼ねる)、温湿度計、データ取得のHub(温湿度計兼ねる)です。


<換気についての大前提>

さて今回は換気についてですが、その大前提は『断熱・気密・換気はセットで考える』です。どれ一つ欠けてもいけません。必ずこの3点はセットで考える必要があります。

それはなぜか。

住心地を良くするには、「高気密・高断熱」にするのがいいというのは前回書きました。家の隙間を減らし、断熱性能を上げると外気の影響を受けづらくなり、室内の気温が安定し、エアコンの効きがよくなります。結果、夏涼しく、冬暖かい家になります。

でも、この家を換気しないとどうなるでしょうか?

<水分>

人間は汗や皮膚蒸発、呼吸などで1日に約0.9Lを排出するといいます(尿や便を除く)。我が家は家族4人なので1日に約3.6Lです。気密性の高い家だとこの水分の逃げ場がありません。それ以外にも炊事場や植物などから発せられる水分もあり、それが日々積み重なると…目に見えなくともたちまち家中が結露し、数日のうちに家のどこかにカビが発生します。

また、断熱性能が低い家ほど室内の暖かい湿った空気と冷たい外気が壁や窓、ドアなどでぶつかって結露します(冬の場合)。それがまたカビの原因となり…。

<有害物質>

同じように、人間が呼吸で出す二酸化炭素、外から持ち込む花粉やウィルス、新品の家具や建材から発せられるホルムアルデヒドなどの有害物質も(気密性が高いが故に)家の中にすべて貯留してしまいます。
調理の際は換気扇を回しますし、人の出入りなどでもある程度の空気の入れ替えは行われるのですが、その程度では不十分です。私も以前は「たまに窓開けて空気の入れ換えすれば十分じゃないか」と思ってました。
しかしそれでは全然足りないのは、部屋の中の二酸化炭素濃度を測ればすぐに分かります。たとえば、換気せずに15畳のLDKで4人が食事をすると、1時間しないうちに二酸化炭素濃度は2000ppmを超えてしまいます。

<結論とミッション>

つまり、暖かい家で健康的に過ごすには、適切な24時間換気が必須になります。
一般的に室内の二酸化炭素濃度を1000ppm以下に抑えると健康への影響を防止できると言われています。
換気装置なしできちんと換気するには、1時間に2回、5分間程度窓を開けること(厚生労働省「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法)だそうです。そんなことしてる人はほとんどいないでしょう。

ようやく本題です。今回のミッションは「すべての部屋の空気を1時間に2度入れ替えることを目安に、二酸化炭素濃度を(窓の開け閉めなしに)平均1000ppm以下に抑え、かつ湿度を40〜60%に保つ」です。
難しいようでいて簡単、きちんと論理的に考えればやることはシンプルです。


<実践の前に換気方法の整理>

一般に住宅には3種類の換気方法があると言われています。それが第1種換気、第2種換気、第3種換気です。
第1種換気:給気と排気を機械で強制的に行う
第2種換気:給気のみ機械で強制的に行う(排気は自然)
第3種換気:排気のみ機械で強制的に行う(給気は自然)
それぞれの違いについて、ここでは細かく解説しません。ネット上を検索すればいくらでも専門家の解説が出てきます。
また、熱交換器についても同様です。熱交換器とは、換気する際に排気から回収した熱を給気に伝えるシステムですが、費用対効果が賛否両論なこと、今回私が使った換気方法がダクトを使わない(使えない)お手軽第1種換気方式なので、ここでは触れません。興味のある方はお調べ下さい。

<24時間換気システム設置は誰に必要なのか?>
ところで、法律では2003年の建築基準法の改正により、これ以降に作られる新築物件には、24時間換気システムの設置が義務付けられました。ただし、2003年以前の建物には遡及適用されないため、2003年以前に建てられた建物は換気設備がなくても違法ではありません。

したがって2003年以前に建てられた古い建物には、壁面に給排気のダクト(穴)がない物件も多いのです。違法でないから換気システムは付けなくていい?いやいや現実に住むのは同じ人間です。換気の重要性は家を建てた年代に関係なく住む人の健康に関わる大事な話です。

フィー、ようやくここからが本題です。どうしても前置きが長くなってしまうのですが、ここまでを理解してもらわないと、健康のための24時間換気の必要性と、この後のせっかくの断熱箇所に穴を開けるような真似(実際は問題ないのですが)をする、ここからの施工を理解してもらえないと思うからです。

<団地のためのオリジナル24時間換気システム>
ここでは団地特有の、そして二重窓ならではのオリジナルの24時間換気システムのDIYを紹介します。
前提となるのは、築古で給気口がない(ある場合はそれを利用します)、かつインナーサッシを付けていることです。

*前回も書きましたが、すべては自己責任でお願いします。特に今回はオリジナル度が高いのでより責任は持てません(簡単なだけに)。

<用意するもの>

USB換気ファン
防カビ防水テープ(はがせるもの)
換気フード
フィルター(PM2.5対応)

その他、両面テープ、ネオジム磁石(100均一)、カッターや定規など。この先でいくつか追加がありますが、最低限はこれでOKです。


<施工>

さて、ほとんどの団地には換気框窓(かまちまど)と呼ばれる小窓が付いています。

右上の横に細長い小窓のことです

通常、この窓を開けて自然換気している訳です。しかし自然換気では不十分(計画換気が出来ない)です。無風状態では換気量不足、風の強い日は過剰換気になり、その都度窓を開け閉めしたりは大変です。そこでこの換気框窓にファンを取り付け、計画換気を行います。

換気框窓の縦寸法は120mmで、これがまた偶然にもピッタリ1200mmの換気ファンがあるのですよ!あまりにぴったりでガタツキも隙間もありません。なので始める前はフレームを作ってはめ込もうと考えてましたが、それはむしろ余計で、防水テープの固定で問題なさそうです。この時、給気側は外の空気を取り込む方向(換気扇とは逆方向)にファンを取り付けます。


室内側に風が吹くように

次にインナーサッシ(内窓)を細く開け(この場合右側)、敢えて隙間を作ります。せっかくの気密を漏らすのかと怒られそうですが、どの家に付いている換気口も穴が開いているという意味では同じことです。この程度の隙間では、全体の温熱環境に大きな影響を及ぼしません。それは冒頭の平均気温がそれを示しています(つまり冒頭の平均気温はこの施工を施した後に計測してます)。

このセットを各窓に取り付けてゆく訳です。



ここから先は有料です。実を言うと私は大きく失敗しており(もちろんきちんと換気は出来てます)、随分と回り道してるんです。失敗した私の換気方法、そしてその回避策も併せて紹介します。

実際に団地や築古マンションの購入やリフォームを検討してる人には必ず役に立つ情報を掲載しますが、それ以外の人にはここまでで十分だと思います。
「換気は大事!」これだけは覚えておいて下さい。

今回は読者獲得のために、2週間100円で具体的ノウハウを大公開します。同時に前回の第1回も2週間半額の400円で公開します。

有料版の目次です
・施工編続きと設置のポイント
・運用、そしてチューニング(重要)
・加湿
・二酸化炭素濃度
・私の失敗、そして対策
・種明かしの推論
・まとめ
・なんのためにこのnoteを書いているのか


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