世界陸上ブダペスト観戦記録
もうひと月ほど前になるが、世界陸上2023ブダペスト大会を観に行ってきた。
コロナ禍による海外渡航の制限もだんだんと緩和されていくなか、久しぶりに海外に行こうかなと考えたタイミングで、今年の世界陸上がハンガリーの首都ブダペストで開催されると知ったのだった。
もともと中東欧地域に行ってみたいという気持ちがあったことと、かねがね「スポーツの国際大会」というものをいちど体感してみたかったので、これ幸いとブダペスト行きを決めた。
以下はその時のメモ的な記録です。
東京からブダペストまで
2023年8月現在、ブダペストへの直行便は出ておらず、必ずどこかの空港を経由して向かうことになる。
近隣国のポーランド経由やオーストリア経由など様々あるのだが、今回はドバイ経由の便を利用して向かうこととした。
成田からドバイまでがおおよそ10時間、ドバイからハンガリーまでが6時間ほどのフライト。
成田を22時半ごろに出発し、現地に到着したのが翌日の14時ごろ。東京とブダペストの時差は7時間(東京の方が進んでいる)なので、おおよそ丸1日かけて到着したことになる。
乗り継ぎの都合でトランジットの時間が結構長かったので、工夫すればもう少し短い時間で向かうことができそうだ。
空港から公共交通機関を乗り継いで宿泊地に荷物を預け、地下鉄と路面電車で会場に向かう。
ブダペスト市内中心部は公共交通機関が発達しており便利だった。
なお、公共交通機関はそれぞれ切符を改札に読み取らせる必要があるが、駅や乗り物によって改札の位置がバラバラで、初見では分かりづらかったりした。
ブダペストの気候
開催期間を通して、ブダペストは結構暑かった。
おおよそ北方領土くらいの緯度に位置しているブダペスト。8月終盤というこの時期にしては結構な高温だったようだ。
体感としても、たしかに日差しも強く、日中は東京と変わらないような暑さという感じ。
朝晩は気温が下がって、比較的暑さもしのげるくらいであったが、それでも半袖で問題なかった。
(その後、ちょうど大会が終わった8月最終週ごろにまとまった雨が降り、それで一気に秋らしい気候になったようだった)
チケット事情
今回は世界陸上の全9日間のタイムスケジュールのうち、5,6,8,9日目の夜のセッションを観戦した。
7日目が抜けているのは、ハンガリー国内にあるワインの名産地、トカイ観光に向かったため。この日にちょうど北口選手が金メダルを獲得したのだが、その頃私は帰りの特急電車に乗っているところであった
世界陸上は昼のセッションと夜のセッションに分かれており、主として昼のセッションは予選や準決勝、夜のセッションは決勝レースが行われる。
決勝種目が行われる夜のセッションの方がやはり人気なわけだが、その分、昼のセッションは夜よりもチケット料金が安く、またより多くの選手の競技を見ることができる。
チケットは全席指定席で、公式サイトよりネットで購入することができた。
会場では購入したチケットに記載されたバーコードを読み取り機に読み取らせ、入場する。
海外のサイトから決済を行ったためか、注文の際に一時的にカード決済が拒否されたりはしたものの、現地では特にトラブルはなかった。
チケット価格は座席の位置や競技日程によって変動するが、1階席の第3から第4コーナーあたりのエリア前から5列目ほどの座席のチケットは、平日夜の競技で3500円~4000円程度であった。
最終日の夜がおそらく一番高く、第2コーナーあたり8列目の席で7500円~8000円程度。
もちろん、もっと安い2回席や逆にもっと高いプレミアムシートのようなところもあるが、今回座った座席は非常に満足だった。
私が観戦した後半4日間の夜のセッションは連日けっこうな観客の入りで、最終日のころになるとチケットも売り切れていたようだった。
(会場付近で「チケットを譲ってください」と観客に声をかけている人もちらほらと見かけた)
ハンガリーと陸上
さて、ハンガリーの国内記録を見るところ、近年のハンガリーはそこまで陸上競技が盛んというわけではないようだが(今大会でのメダルは、男子ハンマー投げでBence HALÁSZ選手が獲得した銅メダルの1つ)、会場内の熱気はなかなかのものだった。
今回の会場となったハンガリー国立競技場(Nemzeti Atlétikai Központ)は、どうやら今回の世界陸上にあわせて建設された建物のようで、ブダペスト市内を流れるドナウ川の東側に位置している。
新しいだけあって設備は綺麗で、快適なスタジアムだった。
会場内の様子
ハンガリーだけではなく世界各地より観客が集っている。
地理的に近いということもあってか、チェコやポーランド等の中東欧諸国、フィンランドやノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国の国旗を掲げる観客が多く見受けられた。
とくに北欧諸国に関しては、中長距離界を席巻しているノルウェーのインゲブリクトセン兄弟や400mハードルのK.ワーホルム、スウェーデンのA.デュプランティスなど、各国のスター選手が出場していることも関係あるのだろう。
マラソン・競歩種目に関してはブダペスト市内を利用した周回コースになっていたのだが、こちらも多くの観客でにぎわっていた。
スタジアムグルメ
場内売店では飲食物が購入できるが、オペレーションの関係か、ホットドッグやパン、ポップコーンやポテトチップス等軽食的なものが中心で、アルコールは基本的にはビールだけの模様(ソフトドリンクは色々ある)。
ただ、いずれも「国際大会の興行の売店」というイメージに比べてそこまで値段が高くないのがありがたかった。
(ビールもホットドッグも1つ400~500円ほどだったように記憶している)
ビールはカップがリサイクルできるもので、1杯目にビールの価格に加え、容器代として500フォリント(200円くらい)払う必要がある。2杯目や翌日以降の観戦のほか、(おそらく)マイボトルを持ってきた人は支払わなくてよい。
決済は基本的にキャッシュレス決済で、かつヨーロッパでカードのタッチ決済がかなり進んでいることもあってか、列で待たされたという感覚はあまりなかった。
また、スタジアム場外のエリアではまた違う料理のブースやキッチンカーなども出ていたようだったのだが、こちらは時間の関係で見に行くことができなかった。
ほか、先程の暑さの影響もあってか、来場する観客への熱中症対策として、無料で水が飲めるウォーターサーバーが場内に設置されていた。
畜生ヒツジ?
ちょっとした余談としては、Youhuuというマスコットキャラクターが面白かった。
これはハンガリーに生息し、特に歴史的にはこのスタジアムが位置していた場所にも生息していたことのあるラツカヒツジ(racka sheep)という羊にちなんだキャラクターらしいのだが、ひとことでいえば「つば九郎みてえなやつ」であった。
トラックの水濠で大胆に遊んでみたり、決勝前のアップをしている選手にしばしばちょっかいをかけたりしていた。
国際大会での公式キャラクターで、これだけはっちゃけられるヤツは日本ではあまり見ないように思った。魅力的で印象に残ってちょっとグッズほしくなったもの。
今後の羊生、どこかで活躍していたら嬉しいものだが。
競技観戦
さて、肝心のレース観戦だが、今回は前側の席を中心にチケットを確保したためグラウンドレベルに近い所で観戦でき、選手も近かったのが良かった。
やはりヨーロッパでの開催ということもあり、ヨーロッパの選手が活躍したタイミングで大いに盛り上がっていたのだが、印象的だったのは、フィールド種目の盛り上がり具合。
跳躍や投擲のたびにスタジアムDJが手拍子のリズムをとるためか、毎回場内が手拍子に包まれ、観客の視線が集中する。
日本では、どちらかというとトラック種目の方が「花形種目」になりがちというイメージがあったのだが、1回1回の試技が短時間で完結し、かつ結果がわかりやすいフィールド種目は「誰でも見やすい」という考え方もできるのだと感じた。
競技終了後も
競技終了後、スタジアムの外に出ると、連日場外ステージで何らかのパフォーマンスが行われていた。
競技終了時刻が現地時間で22時ごろなのだが、ある日はロックバンドのライブ、ある日はサンバチームなど多種多様なラインナップで盛り上がっていた。
会場が周囲に住宅街などがなさそうなエリアだったのでできたのかもしれない。
おそらくは公共交通機関の便数が限られているために混雑を緩和させるための施策だと思うのだが、よりお祭り感を感じることができた。
大会閉幕、そして次回大会へ
大会は最終種目の女子4×400mリレーで、オランダがアンカーのF.ボルの圧巻の走りで優勝し、大盛り上がりの内に幕を閉じた。
(ラスト本当すごかったのでぜひ見て)
ボルは大会初日の4×400m男女混合リレーに出場した際、1位でラストの緒戦を走り、ゴールまであと数メートルというところで転倒し、メダルを逃していた。
その後自身の専門である400mハードルでも優勝しての、女子4×400mリレーのラストスパート。
そのあたりも含め、今大会の主人公のような選手であった。
さて、大会の終了セレモニーでは、ボランティアスタッフ含め、大会関係者が一堂にグラウンドに会した。
ところで、上の写真のモニターに映っている赤いジャージの選手たちは、日本選手団である。
実は、次の世界陸上2025は東京で開催される予定である。
個人的にはオリンピックからの間隔短けぇな!という感じではあるが、どのような大会となるのだろうか。
(おわり)
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