お金のない毒親の老後
父の財産を整理して、あまりの少なさに驚いた。
現役時代はそこそこ稼いでいたし、再雇用で65歳まで働いていた。その退職時には2000万円あったと叔母から聞いていた。
それなのに、銀行口座の預金をかき集めても500万円ほどしかない。
なぜそんなに少なかったのかは、モノ屋敷となった実家を見れば明らかだった。
ディアゴスティーニやアシェット、趣味のカメラなどの高額品から、専門雑誌や付録付きのお菓子のような安価なものまで、何百万円もモノにお金を注ぎ込んでいたからだ。
このまま父が亡くなるまで世話をしたとしても、いくらも手元に残らないかもしれない。
そう思ったら投げ出したくなった。
大した遺産も残らないなら、私は何のために頑張ればいいのか。
実の父だから、という理由だけで無条件で面倒を見なくてはならないのか。
父は家族をめちゃくちゃにした、張本人なのに。
毒親で、性犯罪者なのに。
病気だからというだけで、何で私が!
かと言って、今まで30年間家族ごっこを続けてきたのに、弱々しい父を目の前にしながら今更関係を断つことはできないと思った。
何より、再び交流を持てるようになった叔母たちに、迷惑をかけたくない。
私に何の償いもしてこなかった父を、死ぬまで性犯罪者であったことを世間に知られないであろう父を、無償で世話しないといけない。
父に一円でも多く残して死んでほしい、と願ってきた私には、耐え難い苦痛だった。