りそなグループB.LEAGUE2024-25 SEASON第14節大阪エヴェッサVS千葉ジェッツの個人的な見どころ
12月はタフなスケジュールでシーズンが続いていく
12/7-8の週末から水曜ゲーム、そして週末、更に前節の水曜日と今節の週末と約2週間で8試合が組まれている
シーズンも少しづつ折り返しに近づいてきている。リーグでの試合は1/3を消化し、各地区の順位争いも激しさを増している
一方で負傷者が出ているチームも例年通りあり、この連戦中はマネジメントの難しさや総合力が問われるタイミングかもしれない
東地区の雄、千葉ジェッツを迎えるのは大阪の地で復権を狙う大阪エヴェッサだ
大阪は先週末宇都宮とのアウェイ戦は悔しい敗戦もあり2敗、千葉は週末の試合では群馬と1勝1敗だった
そして先日水曜日には大阪はホームで佐賀と対戦し勝利。連敗をホームでストップした
一方の千葉はホームに仙台を迎えた一戦は悔しい敗戦に。ここからより高みを目指す両チームの修正を楽しみにしたい週末の一戦だ
解説:鈴木慶太さん 実況:能政夕介
※資料は加執・修正の可能性があります
両チームの今季と前節について(12/19時点)13節終了時点
大阪エヴェッサ【平均81.6得点(リーグ5位)平均80.1失点(リーグ16位)】12勝10敗で西地区3位
新たに藤田HCを招聘し、外国籍選手を入れ替えた大阪エヴェッサ
今季のここまでは持ち前のオフェンス力を発揮し現在は西地区3位
昨季は負傷者の影響もありシーズン中盤で苦しんだが、今季はここまで外国籍選手の離脱はなく戦っている
連敗でホームに戻ってきた佐賀戦は前半は同点で折り返し
お互いに攻守で良い部分を見せあい膠着した試合展開となった
後半に入ると橋本の攻守での躍動やマットボンズの個の高さ、リバウンドの安定感も見せてリードを広げ、佐賀に勝ち切った
新加入プレイヤーでもあるボンズが21得点9アシスト8リバウンド3スティールと総合力の高さを見せた
レイパークスジュニアは4本の3Pをいずれも良いタイミングで決めて流れをつくり、ゲルンは16得点13リバウンドのダブルダブルでインサイドを制圧
ルーサー12得点とこの試合も2桁得点を記録するなど外国籍選手が安定感のあるパフォーマンスを見せた
今季の大阪はここまでオフェンス力の高さを見せており、得点数はリーグ5位の81.6得点を記録
直近の5試合ではリバウンド数は平均で約46本を数え、特にオフェンスリバウンドは今季平均13.5回でリーグ3位と攻撃面を支えている
OR後の得点は1試合平均12.8得点でリーグ5位タイ。加えてファストブレイクでの得点も1試合平均12.0得点とリーグ5位を記録
ペイントエリアでの得点が平均で37.5得点で2位という高さを誇り、オフェンスでペースを掴むと、一気に加点ができるのは強みでもある
その一方でTO数はリーグで2番目に多い1試合平均14.4回を記録
攻守の入れ替えが激しくなる展開もある影響でファウルの数も平均20.8回でリーグ20位となっている
ただ、早い展開でのオフェンスは相手のファウルを引き出している側面もありFD(ファウルを受ける回数)も1試合平均で20.1回とリーグ4位の多さになっている
オフェンスに特徴がある一方で守備面では連携のミスや、難しいパスやショットを相手に奪われて失点に繋がる場面も少なくない
宇都宮戦から合田が離脱しており、守備の部分では前節橋本や飯尾がタフな守備を見せていた
自分たちの良い流れの時間をできるだけ長く生み出し、強豪千葉相手にペースを握り戦いたい
千葉ジェッツ【平均81.1得点(リーグ6位)平均74.8失点(リーグ7位)】16勝6敗で東地区2位
主力であるディー・ジェイ・ホグ、そしてジョン・ムーニーが琉球戦で負傷し直近の6試合出場ができていない中、チームは2勝4敗と勝利を伸ばせないでいる
加えて渡邊雄太も肩を、富樫も足首と多くの選手が決して万全ではない中ハードワークを見せてくれている
前節の仙台戦は前半の立ち上がりにペースを握り、仙台のプレッシャーのかかる守備をかいくぐりながら粘り強く戦った
ムーニーやホグが不在でも日本人選手がリバウンド意識を高めて前節は42本のリバウンドを奪った
TOの安定感に加え、アグレッシブな守備を要所で見せてスティールを7つ奪うも、FGの成功確率が落ち結果はホームで悔しい連敗となってしまった
今季ここまでのスタッツで見れば得点数はリーグ全体で6位の81.1得点と高く、守備面でも平均失点は74.8失点で7位という安定感を見せている
攻撃を支えている3Pは試投数が1試合平均30.6回でリーグ3位、成功数も1試合平均10.4回で2位。成功確率は34%で6位と高い水準を誇る
ただ、群馬戦のGAME2、そして前節の仙台戦ではその成功率が8/31と6/30とシュートは打てているが成功確率が落ちてしまい結果的に難しい試合展開になってしまった
本来シックスマンであるスミス選手がスタートから出ざるを得ない展開と、合流間もないジョナサン・ウィリアムズとの連携面はここから時間と共に向上させていく必要がある
それでもTO数は平均で10.8回でリーグ最小。不要なファウルはせずに、ここまで1試合平均で16.4回でリーグ3位の少なさを記録
渡邊、富樫、ホグ、ムーニー、スミス、ウィリアムズと6人の選手が平均得点で2桁を記録。ただ、バランスを整える事が難しい状況の中で、若い選手の奮起が期待される
前節も小川は点差を縮める3Pを決め、群馬戦のGAME2では金近が3P4本を含む14得点を挙げ起用に応えた
この週末が終われば、年末の試合まで1週間空く。タフな状況ではあるが、チーム一丸となってこの苦境を乗り越えアウェイの地で連敗ストップを目指したい
両チームのメンバー編成
大阪エヴェッサ
■HC
藤田弘輝(1季目)今季から指揮
■継続選手(7名が残留)
髙木拓海
橋本拓哉
竹内譲次
合田怜
飯尾文哉
木下誠
鈴木達也
■新加入
マット・ボンズ(長崎ヴェルカから加入)
土家大輝(福島ファイヤーボンズから加入)
牧隼利(琉球ゴールデンキングスから加入)
レイ・パークスジュニア(名古屋ダイヤモンドドルフィンズから加入)
ヴォーディミル・ゲルン(仙台89ERSから加入)
ライアン・ルーサー(マニサBBSK/トルコから加入)
■移籍
アンジェロ・カロイアロ(京都ハンナリーズへ移籍)
土屋アリスター時生(秋田ノーザンハピネッツへ移籍)
多嶋朝飛(仙台89ERSへ移籍)
西川貴之(ライジングゼファー福岡へ移籍)
ショーン・ロング(蔚山現代モービスフィバス/韓国へ移籍)
イヒョンジュン(海外でプレー)
イアン・ハマー(海外でプレー)
外国籍選手を昨年同様一新し、今季はHCも代わり新生大阪エヴェッサという印象だ
得点はリーグの中でも5番目の1試合平均81.6得点と千葉を上回っている
リバウンドやアシストも高い水準を誇っている事を見れば、短期間でもしっかりと個々の能力を活かすマネジメントができている印象だ
一方で守備面は現状失点数が80.1失点とリーグ16位となっている
その要因の1つにリーグで2番目に多いTO数(1試合平均14.4回)が挙げられる
アグレッシブなオフェンスを見せる際にミスがある程度出るのは仕方がないかもしれないが、チームでのディフェンス精度が高まればより上の順位を狙えるはず
千葉ジェッツ
■HC
トレヴァー・グリーソン(1季目)今季から指揮
■継続選手(9名が残留)
富樫勇樹
西村文男
二上耀(IL入り)
小川麻斗
金近廉
原修太
トビンマーカス海舟
ジョン・ムーニー(IL入り)
クリストファー・スミス
荒尾岳
■新加入
田代直希(琉球ゴールデンキングスから加入)
ディー・ジェイ・ホグ(シドニー・キングス/オーストラリアから加入)
マイケル・オウ(青島イーグルス/中国から加入)
菅野ブルース(ステットソン大学から加入)
渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ/NBAから加入)
関谷間(ユース育成特別枠として加入)
ジョナサン・ウィリアムズ(静岡から11月より加入)
■移籍
米山ジャバ偉生(富山グラウジーズへ移籍)
ゼイビア・クックス(シドニー・キングス/オーストラリアへ移籍)
内尾聡理(ファイティングイーグルス名古屋へ移籍)
大倉颯太(アルバルク東京へ移籍)
アイラ・ブラウン(広島ドラゴンフライズへ移籍)
ディー・ジェイ・ステフェンズ
千葉は今季2度目の連敗を喫してしまった
現状二上、ムーニーがIL入り、ディー・ジェイ・ホグも琉球戦のGAME2以降は出場なし
渡邊雄太は肩、富樫も足首と万全ではないチーム状態でもある
それでも群馬戦では小川、金近と若い選手らが。仙台戦ではクリストファースミスが奮起を見せた
長いシーズンを戦う中でまさにチーム一丸となって戦う必要がある期間ではある。千葉の特徴としては攻守の安定感。攻撃面・守備面でのスタッツは中位より上に位置し、3Pの1試合あたりの成功数は10.4/30.6=34%(成功数はリーグ2位、試投数は3位、成功率は6位)という状況だ
TOの数が少なく、ファウルの数もリーグの中で少ないという特徴があり、安定した試合運びが強みでもある
一方でムーニーとホグの不在は響き、リバウンド面での影響が出ている印象だ
直近2試合はそのリバウンドに意識を見せるも逆に強みであるアウトサイドシュートの成功率が難しくなってしまった
今のチーム状況の中でのベストを探りつつ、打開を図りたい
過去の対戦成績(大阪4勝 千葉18勝)リーグ戦のみ
過去の戦績で見れば千葉が18勝と大きく勝ち越している
昨季の2023-24シーズンは大阪のホームで対戦し千葉が2勝を飾った
2023-24シーズン(千葉2勝)
大阪 77-97 千葉 2024.02.03
大阪 77-89 千葉 2024.02.04
2022-23シーズン(千葉2勝)
千葉 77-67 大阪2022.10.01
千葉 89-88 大阪2022.10.02
2021-22シーズン(千葉2勝)
千葉 97-74 大阪2022.04.23
千葉 82-66 大阪2022.04.24
2020-21シーズン(大阪2勝 千葉2勝)
大阪 98-101 千葉 2020.12.26
大阪 93-83 千葉 2020.12.27
千葉 75-78 大阪 2021.01.30
千葉 76-70 大阪2021.01.31
2019-20シーズン(大阪1勝 千葉3勝)
大阪 84-69 千葉 2019.12.14
大阪 105-106 千葉 2019.12.15
千葉 86-73 大阪 2020.02.15
千葉 89-66 大阪2020.02.16
2018-19シーズン(千葉4勝)
大阪 69-80 千葉 2018.10.27
大阪 63-77 千葉 2018.10.28
千葉 88-58 大阪 2018.11.17
千葉 81-59 大阪2018.11.18
2017-18シーズン(大阪1勝 千葉1勝)
千葉 68-84 大阪 2017.10.21
千葉 77-70 大阪2017.10.22
2016-17シーズン(千葉2勝)
千葉 80-66 大阪 2017.01.28
千葉 82-61 大阪2017.01.29
現状千葉は対大阪戦リーグ戦では7連勝中。大阪エヴェッサは最後に千葉に勝利したのは2020年の12月27日と約4年前になる
2022-23シーズンの89-88の接戦(2022年10月2日)
2020-21シーズンは4戦すべてが10点差以内の好ゲームでお互いに2勝ずつ
特に2020年の12月26日の大阪ホームの試合はOTの末千葉ジェッツが101-98で勝利を飾っている
両チームの縁を一部紹介すると
大阪エヴェッサの高木拓海は開志国際高校出身で富樫選手のお父さんの英樹コーチから指導を受けて高校のインハイ優勝に貢献している
藤田HCと牧は田代と琉球で共にプレー
藤田HCは仙台のHC時代に荒尾と共に戦った
竹内は東海大、そして日立時代は西村と共にプレー(竹内が先輩)
またIL入りしているが二上は牧の筑波大学時代の後輩にもあたる
加えて千葉の金近は大阪出身であり高校生年代は関西大北陽でプレーするなど大阪に縁のあるプレイヤーの1人となる
大阪も千葉も長く在籍しているプレイヤーがいるだけに、決して多い縁ではないが代表で共にプレーした選手などそうした選手たちとの再開も楽しみにしたい
個人的な見どころ
今季初めての顔合わせとなる両チーム。西地区3位、東地区2位と地区は違えで上位に位置する両チームは更なる上昇を目指す大事な連戦となる
水曜ゲームからは中2日、そしてこの2週間で8試合が組まれている最後の週末ゲームとなる。特に千葉にとっては中2日でのアウェイ戦はハードではあるが、どんな準備をして臨むか楽しみにしたい
個人的な注目点は3つ
①インサイドの攻防。攻守での狙いと修正
②素早く攻めて早い展開に持ち込みたい大阪と、セットして決めきりたい千葉
③お互いに鍵を握るベンチメンバーの躍動
①インサイドの攻防。攻守での狙いと修正
現状インサイドでは優位性を持っている大阪エヴェッサ。その優位性を活かして、ペイントエリアでしっかりと得点を奪っていきたい
インサイドで勝負できるゲルン、そしてインサイドにアタックできるボンズとルーサーの存在も心強い
ここにテクニックのある橋本や木下。スピードのある鈴木も加わり、色んなオフェンスパターンを見せれば中も外も生きてくる
オフェンスリバウンドからの得点が強みでもある大阪は攻守の切り替えから、その優位性をしっかり生かしたい
一方の千葉は大阪の早いテンポに付き合わないためにはシュートをしっかりと決めきる事。そしてファーストディフェンスで強く勝負できるかもカギになる
千葉にとってのORをチーム全体で頑張り、仮に大阪がDRを取ったとしても、取った選手に対してハードに守備ができるかも大切になる
そうした意味ではそれぞれのORとDRでどれだけファイトできるかは1つポイントになるかもしれない
短時間でのスカウティングの中で、そうした狙いに対してどのように意図を持って攻守で遂行できるかどうか?相手の良さを出させない攻防に注目していきたい
②素早く攻めて早い展開に持ち込みたい大阪と、セットして決めきりたい千葉
前述した通り、ファストブレイクの得点が高い大阪は攻守の切り替えでミスなくしっかりと得点を奪いたい
アウトサイドのシューターとしてはここまでレイパークスジュニアが3Pを46/125の36.8%を記録
多くシュートを打っている順に並べるとボンズ、ルーサー、牧、木下、鈴木も積極的に打ってくる
橋本は負傷離脱はあったがここまで9/25で36%とまずまずの数値を残し、土家や合田は試投数は少ないが成功確率は40%を超えている
これも、ORをボンズ・ルーサー・ゲルンがしっかりと取ってくれる信頼の証かもしれない。外がダメでも内でしっかりとサポートをしてくれる可能性が高いのでしっかり得点に結びつける事ができる
そのリズムと良さで主導権を握りつつ、得点後の守備では集中力を持ってプレーを継続していきたい
一方の千葉は今季ここまで総得点の内3Pでの得点が38.5%を占めており、これはリーグ3位の水準になる
ファストブレイクでの平均得点は10.5得点で12位、ペイントエリアでの得点は33.2得点で現状は18位となっている
越谷戦は3Pがチームで12/32の37.5%、群馬戦のGAME1はチームで16/34で47.1%を記録している
攻め急ぐことなく、確実に点を取れる時に取ることができるのが本来の千葉の強みであるだけに、負傷者がいる中でバランスを整えながらのプレーは困難さもあるはず
今季ここまで3P好調の金近は35/84と41.7%を記録。特に12月の試合だけで見れば、17/36と約半分のシュートを成功させている
シュートの本数はキープできているからこそ、より良い状態でのシュートシチュエーションをつくり決めきりたい
そのためにはインサイドへのアタックも果敢に行い、外へのシュートチェックを遅らせる流れをつくりたい
スミスや富樫の疲労度もあるだけに、ベンチから出てくるメンバーたちの躍動に期待したい
③お互いに鍵を握るベンチメンバーの躍動
前節で見れば、ベンチポイントは大阪が16/77の20.7%で最多はルーサーの12得点。千葉は10/60で16.6%で金近の5得点が最多となった
この数値をいかに上げる事ができるかが重要になる
大阪はゲルン、ルーサー共にベンチから出てもある程度計算ができている今季の戦いだが、ここに牧、木下、飯尾といったプレイヤーらが途中から出た場合でもどれだけエナジーを出せるかを楽しみにしたい
千葉で見れば小川が群馬戦では途中からの出場で12得点を記録。金近も越谷戦は5本の3Pを含む20得点で輝きを見せた
本来であればスミスが担う強力なシックスマンのポジションを、他の選手たちで補いながら流れを引き寄せたい
もちろんこれは攻撃面ではなく守備面でも同じことが言える
リバウンド、スティール、そして相手のTOやファウルを引き出すようなアグレッシブな守備を見せてチーム全員で勝利を目指したい
タフな連戦だからこそ、出番が回ってくる可能性も十分にある。その時に高い集中力でチームのためにプレーできるかどうか?各選手のアグレッシブな姿勢に期待しましょう
今週末も全国各地で熱い試合が行われる。年内は残り4試合。とはいえ、年明けもすぐに試合はやってきますが、2024年の締めくくりとなる残り4試合怪我のない好ゲームに期待しましょう!