思い通り、サラリーマン
「君は もう、起業した方がいいよ。」
就職活動中、いろんな人から言われた。
やりたいことが明確で、人に合わせるのが苦手で、そのほか わたしのどんな要素を見てそう思ったのか知らないけど。
だけどサークルやバイトで 組織を作ることの難しさを嫌というほど実感していて、起業なんて絶対にありえない!と思っていた。
思い返してみれば、どんな時も周りなんて気にせずに、いつもマイペースに生きてきたから、組織に対して不満を持ったことがなかった。
やりたくないことは しなかったし、理解できないことは理解できない、と上の人に直接言っていた。
だけどどうやらそういう人間ばかりじゃなくて むしろ私は少数派だとわかって、もっと知りたいと思った。
不平不満を抱える人たちは、何を不満に思っているのか。嫌だと愚痴を口にしながら、なぜその場所に留まるのか。
そんなわけで「会社」に「就職」した。
どの部署に配属になったとしても なるべくやりたい仕事ができて、住みたい場所に住める会社を選んだ。
一緒に働きたいと思える人たちがいる企業を選んだ。
やりたい仕事が終わったら 住みたい場所に帰る日々は本当に楽しい。
幸か不幸か、理解したいと思っていた「不満を抱えながら留まる人たち」も職場にいて、不平を聞きながら 一緒に働いた。
話して、流されてみて、
「あぁ、この場所にいるために、愚痴を吐くことで 小さなわだかまりをやり過ごしているんだな」
「それに乗っかることは容易くて、本心でなくても悪口なんて簡単に思いつけてしまうな」
「こんな小さなことに不満を持つのか、上の人がそれに気づいてフォローするのは相当の思慮深さと観察力がないと難しいな」
と思った。
そして、今日。
仕事からの帰り道、久しぶりに高橋優くんのアルバムを聞いたら、学生のころ全く分からなかった歌詞に共感できた。
23時半にとりあえずの仕事が終わり
何でかわかんない頭痛と一緒に職場を出る
ロックンロールを大音量で聴くのが好きだ
歪むエレキに癒されるこのひと時が好きだ
ワイシャツの中で燃える熱い魂は
人目をちょっと嫌うので密やかに叫んでる
「これは まさに今のわたしの気持ちだ!」と思ってタイトルが気になって画面を見てみたら、
『リーマンズロック/高橋優』
と表示されていた。
そうか、私はサラリーマンになっていたのか。
働くことは、
思い通りにいくことばかりじゃない。
知らずに済めばそれは幸せだったかもしれないけど、
「これは思い通りなことじゃない」と感じることができるわたしでよかったと思う。
そうじゃなければ、誰かのせいにして ずっとそこに留まれてしまう。
そして、「思い通りじゃない」というのは、明確な思いがあるからこそ それとズレていると感じ取れているのかもしれないなと思った。
みんなの思い描くものをなるべく叶えながら、一緒に働いていくことは出来るだろうか。
個々人の理想が調和する、たのしくて幸せな組織は作れるのだろうか。
きっとそれは難しくて、たくさんの人にとって夢みたいな場所だ。
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