Freeな風に吹かれて (藤井風さんライブの感想)
藤井風さんというアーティストの “Free” Live 2021をYouTube生配信で観ました。
YouTubeだからもちろん無料なのだけれども、ほんとうは直前まで日産スタジアムを貸し切って対面で開催する予定で、その場合でも入場無料にするつもりだったようです(感染拡大の影響で結局、オンラインになってしまったのですが)。
Liveの案内にはこのようにありました。
【free】
縛られていない
行動の自由な
自主的な
開放された
無償の
またこのようにも。
いろんなことが制限されて、
いろんなことを我慢して、
いろんなことに縛られてきた、この夏。
でも、
人間は、
僕たちは、
もっと自由でいいはずだ。
9月4日、空の下、芝生の上。
この1時間を通じて、
いろんな人の心が
“Free”
になっていくことを願って
まさに、本当に寸分違わず文字通り、この通りというか・・・
感想が言葉にならないほど、貴くて、神々しくて、慈しみと優しさと明るい光に満ちあふれた1時間でした。
豪華なセットもなく、広い広い芝生の上に、あるのはピアノと藤井風さんだけ。
当日は雨の予報が出ていて、「どうかどうか降りませんように」とか、「ライブの間だけでも晴れ間が見えますように」とか、事前にSNSに書き込まれているのを見かけました。
その甲斐あって・・・どころか、途中からけっこうな雨。ザアザアとまで行かないけれど、ピアノに降る降る。風さんも濡れていく。けれど、不思議なことに、全然問題ない感じ(スタッフは冷や汗ものだったかもしれないけれど)。
むしろ、はじめからそういう計算だったのか?と思ってしまうほど、絵になってる。雨なのになぜか周囲がやけに明るく感じる。キラキラ輝く芝生に風さんの無造作とセットの中間くらいの髪がよく映えている。
なんだか、私たちの抱える心配とか不安とかそういうものは、全部要らんもんなのかもなあ、全部大丈夫なようにできているものなのかもなあ。と妙に腑に落ちて、肩の力がすとん、と抜けました。
途中、ある歌のところで、観ている人に手拍子を促す風さん。
手を叩くたび、あなたの中のネガティブなエネルギーが外に出て消えていきますよ、というようなことを言っていたかと思う。
私は一人、自分の部屋の中で手拍子を叩いてみたけれど、その瞬間、今この映像を同じく観ている十数万人の人たちの手拍子が一緒に聞こえた気がして、なんだか涙が出てきた。
怖れや心配、悲しみ、嘆き、恨みつらみといったものの本当に対極にあるような、いや、対極というより全然違う次元にいるといったほうが近い、本当に愛にあふれた明るい時空に突然みんなで飛んでいったような感覚だった。
それほど素晴らしいのに、風さんはまったく気負っていなくて、ただ楽しそうに、軽やかに、音と共にダンスを舞うように歌っていた。
「神の子」という表現がぴったりだなあ、と思った。宗教的な意味合いはまったくなくて、神さまから生まれたことをただただ素直に喜んで、祝福して、大切にし続けてきた人が放つ魂の輝きを感じた。
本当はみんなそうなのだけれども、長い歴史の中でくすんでしまうことも多々あって。だから、幸運にもこういう人に出会えると、思い出す。自分の中にも本当はそういう輝きがあったのだ、ということを。
最後まで風さんは肩の力を抜いて、時折おどけて、美しくピアノを弾いて、遥かな余韻を残してライブは終了しました。すごい瞬間を目撃してしまったなあ、と思いました。
YouTubeでアーカイブ配信していますので、よかったらぜひ観てみてください。
私たちの心がさらにあらゆる制限から解き放たれて、いつでも自由でありますように。