【何のためにこの命を使うのか】生きる理由が人生をあきらめない理由になる~夜明けは近いぜよ~ #18
■note#18
サムライに憧れていた。
中学から高校にかけて剣道や合気道に励んだのも、サムライウーマンの香水を購入したのもそのためだった。
サムライのどこに憧れたのか。
それはその美しい佇まい。
決して自由ではない社会の仕組みの中で、守死(命がけで大切なものを守る)の精神性を保ったその佇まいがどこまでも美しく感じられたのだ。
※サムライの語源:さぶらふ(守る)
そんなサムライたちの物語が一冊になった本がある。
たまたま、Xでガッツポーズの投稿をした際に、表示された広告が気になってポチってしまった。
書籍の内容には、賛否両論あるようだが、これからのことを考えるのに、ちょっとした気づきを与えてくれる点で、良書のように感じた。
各章の最後には、質問に答える形式のワークがある。この年末年始、まったりしながら考えてみてはいかがだろうか。
■プロローグ
プロローグで問われるのは、「人生において一番大事なものは何か」。
大きな石(一番大事なもの)を先に入れ物に入れないと、それが入る余地は今後二度となく、大きな石が明確ならば、時間(命)を価値あることに使うことができるといったことが書かれています。
第一章からの物語を読みながら、大きな石について考えさせられました。
■第一章 吉田松陰
第一章は、牢獄の中で学びを深めた吉田松陰の物語。
トヨタの「なぜなぜ5回」に通じる「なぜ、なんのために」を追求させられます。
何のために学ぶのか。
「何を」目指すかではなく、「なぜ」目指すのか。
私たちが生きることで、この世はどう良くなるのか。
日頃、無意識に選択している物事について、「なぜ」を問うことで、自身の生きる本当の理由を導き出せるかもしれません。
■第二章 高杉晋作
第二章は、長州藩の尊王攘夷志士である高杉晋作の物語。
成功する=引き継ぐ(succeed)がテーマ。
成功というと、自分の生きている間だけのことを考えがちですが、「引き継ぐ」ことを考えると、エゴを排し、もう一段高いレイヤーで考えることができるかもしれないと感じました。
『留魂録』で、松陰は志の継承を願っています。
その遺志を継いで高杉晋作がとった行動は、かなり無謀な多勢に無勢の戦い(功山寺挙兵)でした。「可能か不可能か」ではなく「やる価値」があるかどうかで決断した結果でした。
これは、商品開発など、現代のビジネスにも通じることではないでしょうか。自分たちができること、つくれるものを提供するのではなく、何が求められ、ユーザーにとっての本当の価値は何かを考えて提供する。
対象は違えど、今も昔も、不可能を可能にする根本的価値の追求という考え方は変わらないのかもしれません。
■第三章 野村望東尼
第三章は、福岡の風流な武士の家に生まれた歌人、野村望東尼の物語。
不幸が重なった人生を道元の禅に救われ、夫亡き後、尼僧となった女性です。
ありのままを受け入れ、全てを決めるのは心次第だと悟り、前章の高杉晋作の背中をそっと押しました。
また、女性にもできることがあるはずだと、行動を起こしています。「わたしなんて…」と無用な卑下をしない清々しい生き方に、「静かに空に浮かぶ雲、野に遊ぶ鶴、悠々自適かつ超然としているあなたの清らかな心に、私はとうていかなわない」といった高杉晋作の形容が光ります。
たくさんの望東尼の不幸は、高杉晋作によって結実しました。
生きていると、目の前の点にばかり気をとられがちですが、起こるべくして起こったことに、感情を揺さぶられ過ぎず、人生の流れの中では、どんな伏線になっているのか想像しながら前進したいものです。
■第四章 ジョン万次郎
第四章は、幕末にアメリカ暮らしを経験したジョン万次郎の物語。
テーマは、未知へのダイブと壁を扉に変えるベストの尽くし方。
歴史書を読んでいて、度々疑問に思うことがあります。よく言葉もわからないのに、外国船に突然乗り込んだりできるものだと。「怖いもの知らず」ともいえますが、そこには、「やむにやまれぬ大和魂」があったようです。
ジョンマンの物語は、未知へのダイブとその時々にベストを尽くすことが壁を扉に変えてくれることを教えてくれます。
何かにチャレンジしようとするとき、現状だけを見て未知へのダイブをやめ、可能性をつぶしてしまうことがあります。そんなとき、一瞬立ち止まって、ジョンマンの物語を思い出してみると良いかもしれません。
■第五章 坂本龍馬
第五章は、日本初のカンパニーをつくった士魂商才の坂本龍馬の物語。
テーマは、三方よし(近江商人:売手よし・買手よし・世間よし)。
さまざまな仕掛けにより、近代日本の幕開けを支えた龍馬の物語には、現在の組織論にも通じる考えがありました。悪いのは人間ではなく、社会制度であるとして憎き土佐藩を許すあたり、先進的な組織論における、「人と人との間に問題がある」との考えに似ています。自らの感情(エゴ)を排し、高次元で三方よしを考え、実行に移した龍馬の心意気に魅了されます。
著者は、この章の中で、今求められているのは、矛盾し合うものを高次で美しく統合させる「アウフヘーベン」だと言っています。
死と向き合うことで、生きる理由や志を見つけ、自分の人生を詩(物語)にする。そのとき運命が始動し、出会った人との間で糸(縁)が結ばれ、公と私が一つになる生き方を通して、新しい史(歴史)が刻まれると。そして、日本人が生まれたように、地球人として、今こそひとつになるときだと。
この章の最後では、100年後について考えさせられるワークがあります。
年末年始、様々な予定や目標を立てる際、少しだけ、寿命を超えて、「私」ではなく「公」の目標にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
■エピローグ
エピローグでは、日本人の判断基準と唯一最期に持って還れるもののお話が出てきます。
その基準は「美しいかどうか(粋か野暮か)」
持って還れるものは「思い出」
「自らの最期、どのように、何を思って逝きたいか」考えさせられます。
■あとがき
あとがきには、「人生に起きるすべてには意図があり、無駄はない」といったことが書かれています。歴史は、たったひとりから変わるとも。
平等に訪れる肉体の死。永遠なのは価値ある遺志のみ。
「どのような遺志を引き継げば、この世界は、この地球は、この銀河は、良いものになるのか」考えさせられます。
■まとめ
人生をあきらめない理由=生きる理由
生きる理由は明確ですか?
残念ながら、私は明確ではありません。
不明確なまま数十年生きてきました。
「変えられるのは未来だけ」「過去は未来が決める」
著者のこのメッセージに従い、本書のワークを通して、人生をあきらめないための「生きる理由」を見出したいと思っています。
もしよろしければ、みなさまも!
※「生きる理由」は、自分自身の存在論の追求とも言えるかもしれません。
■大晦日のご挨拶
2023年が終わり、2024年が幕を開けます。
今年はどんな年だったでしょうか。
また、来年はどんな年になりそうでしょうか。
今年最後のnoteは、メメントモリ的な内容となりましたが、振り返りや目標設定のお役に立てば幸いです。
ここまで月1回のnoteをご覧いただきありがとうございました。
来年も、気になるテーマで執筆してまいります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
K◎T◎H◎GI
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?