ガソリンの匂い
ガソリンの匂いが好きだ。
ガソリンはトルエン系の匂いが優し~く香るから好きだ。優し~く香るところがいい。非常~にいい。あ、ガソリンだからキシレンだろうか。ま~なにせたまらん。かな~りかぐわしい。
俺は「ガソリンの匂い」ではなく「ガソリンの香り」と表現したいくらいだ。
俺を含め世の中にはわりとそ~ゆ~人がいる。実際、ガソリンに含まれるキシレン等のベンゼン系の仲間を「芳香族化合物」と言うではないか。芳香族、なんてステキな名前だろうか。なんか無駄にときめくわ。
かといって俺の場合は有機溶剤系だのシンナー系だのの匂い全般が好きなわけではない。
それらの中でも匂いのキツいものは中毒性も高いわけだし、やはり仕様している時は頭がクラクラしたりする時もあるしで取り立てて好きな匂いなわけではない。「いやん♥キケンな香りがする♥」とか、のんきなことを言っている場合ではない。
それにしても匂いの好みってホント~に色々だ。
世の中には、有機溶剤系の匂い全般が好き♥みたいな人もいれば、接着剤系が好き♥なんて人もいるだろうし、ううん塗装業の彼の作業着のペンキの匂いが大好き♥だの、い~や彼女の使うマニキュアが1番だろ♥みたいな人もいるだろう。僕はやはりクセの強い灯油が好きです♥とゆ~マニアックな人もいるだろうと思う。
俺はと言えば、圧倒的多数派であるガソリンの匂いだけが好き♥とゆ~タイプの人間である。
他の有機溶剤系はやはり好かん。
あいつらは揮発性が高く俺の吸引により鼻腔を通って肺の毛細血管まであっとゆ~間にやってきて、で、血流により脳にガンガン侵入してくるようでどちらかと言えば嫌いだ。
しかしガソリンの匂いはいい。非常~にいい。
他の有機溶剤系の匂いに比べて品がある。アロマかと思うわ。てか、アロマだろ、あれ。香りがほんのりとしており、やはり優しい香りだ。
ま~実際にガソリンは、毒性が弱いとされる第三種有機溶剤であり、あの優しい香りを放つキシレンはガソリンの一成分でしかないわけだから、その割合から考えれば匂いが優しいのは当然と言えるのかも知れない。
俺はガソリンの匂いを嗅ぎたい為にガソリンスタンドはセルフを使用している。己で致すあの方式だ。
給油口キャップを開け、ノズルを挿し込み、ガンのトリガーを引いた後に発生するあのかぐわしい香りに俺はホントうっとりする。
そして、その香りを嗅ぎながら小さなかげろうをみるのが好きだ。挿し込んだノズル周辺から揮発したガソリンが、その周辺のごく狭い範囲の空間を揺らめかすのだが、俺はあれを小さなかげろうと呼んでいる。揮発したガソリンで空間がゆらゆらと揺れるのだ。まるで日常の中に潜む小さな幻影のようだ。ガソリンの匂いを嗅ぎながらそれを見ていると俺は恍惚の人となる。油断していると「ああ…」とアホみたいな声を出してヨダレでも垂れ流すのではないかと思われる。
そして、現在中1の娘がその血を継いだ。匂いの好みも遺伝するのかも知れん。うちの嫁さんはアロマが好きで娘もそれが好きなのだが(因みに、聞かれてないけど俺も嫁さんが選ぶアロマの香りが大好き❤)、娘はガソリンの匂いも好きなのだ。
俺と嫁さんの遺伝子を受け継いでいるからか、娘はガソリンの匂いもアロマも好きなのだ。
娘は小さい頃から自家用車にガソリンを入れる時に「私にやらせてくれ」と言ってくるのだ。従って、給油する時は父と娘でガソリンの匂いにうっとりしていることになる。父、娘共にノズルの近くに顔を寄せガソリンの優しくかぐわしい香りと小さなかげろうに恍惚としているのだ。でもそれって端から見たらヤバい親子だと思われるのではなかろうか。頭が沸いた変人親子だと思われるような気がしないでもない。
でも仕方ない。非常~にたまらんのだから。ああ、これを書いてたらガソリンを入れに行きたくなった。
ああ、とっても優しくかぐわしいガソリンLOVE♥
愛してるよ。
この記事はこちらの企画に参加させて頂きました。
岩代ゆいさんの個人企画
【極地的主観私設賞】 #触れる言葉