見出し画像

娘とでんぐり返しと運動と

娘(令和二年現在、小6)と運動にまつわる話をつらつらと書いてみたいと思う。

娘は小学校低学年の頃まではあまり運動が得意ではなかった。勉強はわりと得意なのだが、運動はダメだったのだ。
本人の前では言ったことはないが、明らかにどんくさかった(因みに、俺は親が子供にネガティブな言葉を投げかけるべきではないと思うタイプなので、決して本人にそれを言ったことはない)。
でも、本人はそれなりに努力をする人間だったのだ。なので、俺も可能な限りのサポートをした。
おかげさまで、今ではスポーツテストでの結果も項目によっては人並み以上のものあり、よく頑張ったものだと我が娘ながら感心している(←親バカ)。

まず、俺が娘に対してビビったのは「でんぐり返し」が出来なかったことである。
後回りではい。前回りのでんぐり返しがだ。回った後、無様にもケツからドタッと落ちる。で、膝が伸びっぱなしな為、ケツとほぼ同時に背中やら踵やらもドタッと落ちるのだ。
「え?キミ幼稚園の頃出来てなかった?俺の気のせい?てか、キミはビジュアルに恵まれてるからまだ良かったものの(←親バカ)、あまりにもそれ無様じゃね?」と思ったものだ。勿論、本人の前では言わなかったが。
学校ででんぐり返しが出来なくて、しかも、それを見ていた同級生の誰かが「ダサっ。」という言葉を発したので精神的に凹んだとのとこだった。そして、何よりも周りの人間にナメられたくないと言うのだ。なるほど、実際、最近の進化心理学辺りの研究では、大人より子供の方が属する共同体の人間から認められたいという意識が強いらしいではないか。俺もそうだった。娘の気持ちも分からんではない。
その話を夕飯の時に聞き、寝る前に布団の上で練習することになったのだ。赤ちゃんの頃から娘を寝かしつけるのは俺の役目だった為、その延長で小学3年の頃までは娘と一緒に寝室に行くのが日課だった。なので、就寝前に暫くはでんぐり返しの練習をしようということになったのだ。
内心、俺も「でんぐり返しが出来ないのは流石にダサいかも知れん」などと思いながら、その練習時に娘のでんぐり返しを修正する。
「いやいや、でんぐり返しってのはな、回った後に最初のポーズに戻るんだよ。でんぐり返しの最初のポーズをまず覚えて体に叩きこめ。」俺も娘もでんぐり返しのスタート時のポーズのままでそれを伝える。「で、回るときは膝は曲げたままだ。回った後は必ずこの最初のポーズに戻ること。」俺が実践し娘にしてもらう。

なんてことはない。初日で直ぐに修正は出来た。見事にでんぐり返しは成功したのである。しかし、大事なのはここからだ。継続してやることにより、体で覚えることが重要なのだ。我々大人が自転車に乗る時に何も意識せずに自然と自転車を乗りこなすことが出来るように、でんぐり返しも何も意識せずともくるりんと回れるようにならなくてはならない。
暫くは寝る前のでんぐり返しが続いた。といっても多くて1日5回くらい。だいたいは寝る前に3回くらいでんぐり返しを実施するだけである。無理があったりあまり負担になるようなことは避けたい。でも、継続は力だということを信じていた。少ない回数でもいい。継続することが大事であろうと俺も娘も思っていた。
何せでんぐり返しは運動の基本中の基本である。バランス感覚を養い、体幹を鍛えるのに非常~に適している。そして、受け身の練習にもなり、ケガもし難くなる。

暫くしてからは後回りでんぐり返しも取り入れてみた。寝る前に前回りのでんぐり返し1回に後回りのでんぐり返し2回みたいな。2,3ヶ月は続けただろうか。
するとどうだろう。マット運動についてはクラスでもそこそこ出来る方になったと本人が言うではないか。それでも鉄棒の逆上がりなんかはなかなか出来なかったみたいだが。
寝る前に1日3回程度のでんぐり返しでも、継続することはやはり効果があったのだ。
このことをきっかけに娘は、運動は継続して練習することで体で覚えればそれなりのレベルにはなること理解し自分のものとしたのだ。

その後も無理なくあまり負担なく継続出来るメニューを色々と取り入れてみた。
例えば、水泳について。
娘が赤ちゃんの頃の風呂の担当は俺だったので、その延長でやはり小学3年の頃までは一緒に風呂に入っていた。
そこで、娘には風呂の時に毎日息継ぎを10回してもらうようにしていた。小学2年の頃のことだったと思う。息継ぎさえ確実に出来れば、泳法の型が少々グダグダでもどうにかなる。息継ぎさえ確実に出来ればば泳ぐことは可能だ。フォームはその後で良い。とりあえずは「私は泳げる」という自信を持つことが大事だ。
俺が体などを洗っている間に、風呂の浴槽に浸かりクロールを想定した息継ぎを10回。冬からやりはじめて半年くらいはやり続けただろうか。
おかげで水泳についても本人はわりと得意だという認識でいるようだ。

毎週末、ボール投げやボールのキャッチ、サッカーなんかもした。本人が球技でもそれなりに活躍したいというので、正しいフォームと正しい力の入れ方を体に叩きこんでもらうようにした。

同級生の体の大きい女の子に「アリ地獄」という遊び(何やら滑り台で落とし合ったりする遊び)とかで泣かされて悔しいというので、パンチとキックの練習をひたすらにした時期もあった。
どうしてパンチとキックなのだというツッコミもあるかと思うが、これは己が肉体的に強くなれば精神的にも強くなるであろうという俺の考えからだ。
格闘技用のミットを買いひたすらにパンチやキックを撃ち込む練習をしてもらった。俺は空手を習っていたことがあり、この辺りの指導には少々自信があった。正しい拳の握り方をまず教え、パンチやキックが当たる瞬間に力を入れることを教える。その際の呼吸の仕方も教えた。
これは本人も自信がついたようである。もともとの運動能力の高い子には負けるだろうが、そうでない同級生の他の子なら相手をノックアウトする自信が出来たようだ。実際に殴り合いをしたわけではないのだろうが。
因みに、現在の小6の娘のパンチ力やキック力はミット越しに受けてもなかなかの威力がある。娘はかな~り戦闘力が上がった。

世の中には1回見たり聞いたりしただけで直ぐに出来る人間もいる。10回やって出来る人間もいる。100回やってようやく出来る人間もいるのだ。
おそらくは、娘は小学校低学年くらいまでは、運動については100回くらい練習しないと人並みには出来なかったのだ。
でも、やり続ければそれなりのレベルにはなる。そのことを娘は学んだのだ。なんてエライのだ、うちの娘は(←親バカ)。
でもって、継続する力を身につけた娘は学年が上がる毎に体力も筋力も向上していき、それに伴い運動能力も向上してきたのだ。
いやいや、ホント~によく頑張ったものである。なんてエライのだ。ホント~にたいしたものだ(←度々親バカ)。

今でも本人は、自分のことを運動神経、運動能力が良いとは決して思っていない。それでも、周りからナメられたくないという思いと、スポーツで活躍する喜び、上手く出来たときの喜びを知ったので、色々と頑張っている。

そんな娘も今度の3月には卒業式を迎え、4月からは中学生だ。

振り返れば、時が経つのは早いな~と思う。

いいなと思ったら応援しよう!

琴花酒
ええっ! ホント〜ですか。 非常〜に嬉しいです。