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息子が見せてくれた、想像していなかった未来

「のび太君はのび太君は勉強もダメ 運動もダメ
 根性もなくてどうしようもないやつだけど…
 でも君は いいやつだな」
                     by ドラえもん

『映画どらえもん のび太のひみつ道具博物館』

この映画を見たとき、長男のことを言っているように聞こえた。


長男:1~2歳

第一子なので、私が最大限、手をかけた。
早期教育や知育について、本やネットで調べ、
積極的に取り入れ、習い事も色々な経験をさせた。

そのうちの一つ、
国旗のカードをフラッシュカードとして見せた。
絵を見せて、ひたすら国名を言っていく。
国旗は、色鮮やかで子供の目を引く。
興味を示し、じーっと見てはくれたけど、
少々見ていて、どこかにいなくなってしまった。
日を変えて何度もやったけど、
反応のない子にやるほど辛いものはないので、
いつしかクローゼットにしまわれた。

長男:幼児期

鉛筆の持ち方、書き方、ひらがなカタカナ…
長男には、私が手取り足取り教えた。
聞いたことをすぐに実践できる子ではなく、
時間もかかったし、注意しても未だに鉛筆の持ち方すらおかしい。
もうそれは個性として受け止めるしかないようだ。
絵本もたくさん読んだ。
何かのためになっていると信じてやっていたけど、
当時は、毎晩眠い時に続ける読み聞かせは、一種の苦行であった。

長男:小学生

しかし、熱い母の視線とは裏腹に、
息子は、小学校という集団生活では、
あまりスポットの当たらないタイプに育った。
勉強でも運動でも、芸術系でも、ずば抜けた特技はない。
成績表も、前回と比べて向上したところを褒めてあげてください、
というような手紙が来るが、正直何を褒めればいいのかわからない。
まさに、のび太君。

何か夢中になるものに出会えるといいなとずっと思ってきた。
このままじゃ、自己肯定感下がりっぱなしになってしまわないかと、
とても不安だった。

長男:4年生

高学年の仲間入りをして、グンと成長する時期。
周りの友達は、スポーツチームで活躍していたり、
勉強が得意な子は、授業参観でも、力を発揮していたり…
プログラミングやスケボー習っています、という子もいる。
色々、息子に提案してみるものの、何もやりたいと言わない。
私の方が、気ばかり焦っていた。

運動が苦手なのは、仕方がないとしよう。
勉強は頑張っておいて、後に無駄にはならないと
英検・漢検を勧めた。嫌だというので、
面白い検定はないかと片っ端から調べてみた。
テストを受ける、そのために頑張る経験が出来るなら、
どんな分野でもいいかなと思ったのだ。

国際知識検定 国旗 との出会い

調べたら、国際知識検定の国旗という検定があることを知った。
(以下、国旗検定と記載)
息子に聞いてみたら、
「オレ、国旗好き~やってみる~!!」
なんと!やってみるという言葉が出てきた。
「小さいころ、フラッシュカードしてたんだけど、覚えてる?」
「なんとなく覚えてる~」
(そうなんだ、ママと過ごした時間は、刻まれているか…!)
国旗検定を受けるなら、あのカードの出番だ!
久しぶりに引っ張り出して、少々色褪せてはいるが、キレイだ。
(使ってないから)

そこからは、第一集しか持っていなかった国旗カードを
全部買い足し、猛勉強が始まった。
国旗に関する説明本も数冊は読んだ。
(ちなみに、社会、特に地理が苦手な母は、ダウンした)
息子も、果たして、理解できているのか半信半疑ではあった。
毎晩、国旗カードを単語帳代わりに繰り返し、
時々カルタのように次男と遊んだ。

努力の甲斐あり、1ヶ月で、200程の国旗をほぼ全部覚えていた。
これは、完全に本人の努力の賜物だった。

そうして、受けた国旗検定。
大学が会場になっており、
電車に乗って遠出すること、
小学校よりも大きい教室で、一人テストを受けること、
色々な初めてに、ドキドキすることが多かったと思う。

結果は、80%合格の試験で、79%だった。
それでもすごい、初めてにして、国旗検定1級を受けたのだから。
息子はとても悔しがり、久しぶりの涙を流した。
私としては、悔しいと思えるほど、
一生懸命頑張った経験ができたことが、何より嬉しかった。

それからは、折に触れ、クラスでも国旗の話をしているようで、
国旗博士と呼ばれるようになったらしい。
各国の地図上の位置まで、ほぼ正確にわかっている息子、
いつのまにか、私の知識なんか越していて、
今は、私が息子に、ニュースに出てきた国の質問をするくらいだ。
自分は「やればできる」という達成感を感じてもらえたと思う。

人生何が起こるか本当にわからない。数か月前には想像もしていなかった。

祝!合格

その後、3度目の正直で、無事、国際知識検定国旗1級合格した。
合格通知が送られてきたその日、
ママと触れ合うなんてちょっと恥ずかしくなってきた年頃の息子が、
ハグをしてきた。
(高学年の息子から、そんなことはしてもらえると思っていなかった、
嬉しい誤算だ。)

少し前の、運動は得意じゃない、成績悪くても気にしない、
とりあえず、適当にやっておこ~という息子とは、違う目の輝きがある。
達成感は、人を大きく成長させる。

日々の育児の成果は、目には見えないことが多いけど、
子供の頃の国旗カードの勉強も無駄ではなかっただろうし、
何か好きなことを見つけてほしいという母の願いが届いたようで、
とても嬉しく、地道な努力ができた息子が誇らしい。

勉強して何か新しいことを知る喜びを知ったのか、
今は、中国語を勉強をしている。
その話は、また別の機会に。

まだまだこれからも想像していなかった未来を
見せてくれることを期待している。

#想像していなかった未来

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