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派手な色使いをしなくても目立たせることができる

視覚による心理的作用を活かしたデザイン手法

世の中には様々なデザイン手法がありますが、目立たせる方法は、大きく分類すると4つに分けられます。これは視覚による心理的作用を活かしたものなので、人が意識しなくても注意をひく作用があります。その原理を理解すれば、デザイナーがあみ出した様々な手法が、どうして効果があるのかが納得いきます。実は、WEBや広告などのデザインは、派手な色使いをしなくても顧客(ユーザー)に注目してもらえる方法があるのです。

では、目立たせる方法はいったい何か?分かりやすく理解できるよう、視覚の原理と共に解説していきます。まず一つ目は、「余白」を空けて目立たせる方法です。これはデザインの法則で解説したので、まだご覧になっていない方は「デザインの法則その5」をご覧ください。これは、どんな状況下でも活用できる手法です。状況とは、デザインにどんなに色が使われていて、文章など情報量が多い場合でも、と言う意味です。「余白を空ける」ことによって、目立たせたい要素を目立たせることができる手法で、誰でも簡単にできて最強の手法です。これ以外に3つ手法がありますが、いずれも特定の条件の下で活用できる方法です。

色が異なると目立つ

まず一般的によく知られている手法、それは「色」を変えて目立たせる方法というものです。これはあえて説明はいらないかもしれません。しかし注意しなければならないのが、この効果が薄れてしまう状況があるということです。効果が出ない状況下が何かを理解せずにやっていると、意図しない効果を生み出してしまいます。

よくやってしまう失敗例は、あれもこれも重要だからといって、画面(紙面)のあちこちに派手な色使いをしてしまうケースです。目立たせる順序を考慮していないため、あちこちが目立ってしまうのです。デザインの法則でも解説しましたが、「情報の重要度合」によって目立たせる順序をつけることが重要になります。(デザインの法則を参照)

ある状況下でのみ目立たせることができる!

では、どうすれば目立つのか?それは、画面(紙面)の色調、明度、彩度、質感を「一部だけ」変えると目立つようになります。明度とは、色の「明るさ」の度合のことです。彩度とは、色の「鮮やかさ」の度合いのことです。分かりやすい図形で解説します。次の画像を見ても分かる通り、同じ色調の中で一部だけ違う色があると目立つのです。

つまり、画面(紙面)が同じ色相(赤・黄・青など他と区別できる色)の状況下であると、より効果を生みます。だから、この手法は、画面(紙面)の色(色調、明度、彩度)が統一されていないとあまり効果が出ないのです。

位置・向きが異なると目立つ

次に「位置」や「向き」を変えて目立たせる方法があります。複数の要素が規則的に並んでいると、一部だけそれに反した動きをしているものは注目されやすいのです。人の視覚はパターン化したものを見ると、その規則性がどんなものなのかを、無意識のうちに見出す習性があります。つまり、一部だけ規則に反しているから、「ん!?これは、規則性に反しているな」と察知し、つい着目してしまうのです。

デザインの法則で「揃える」ことが大事と話しましたが、このように目立たせるために、あえて揃えない方法もあります。ただし、ここで注意すべきなのは、複数の要素が「規則的」に並んでいないと効果が出ないということです。写真や文字などが、不規則にランダムにレイアウトされているデザインにおいては、この手法で目立たせることは困難です。

大きさ・形が異なると目立つ

次に「大きさ」や「形」を変えて目立たせる方法があります。
複数の要素が規則的に並んでいる中で、一部だけ大きさや形が異なるものがあると、人の視覚というのは注目してしまうのです。ただし、この場合は画面(紙面)全体の要素と「比較して」大きいか小さいかによって、目立ち具合が異なります。

たまに見かけるのが、文章で目立たせたいときに太字で表記しているケースです。一部の語句だけをこのように太字にするのは効果的ですが、例えば、このように、一文を丸ごと太字にすると、どのキーワードがポイントなのかが分かりにくいうえに、読みにくくなります。あまりにも長い文章を太字にすると、視線が流れる導線がスムーズに運べなくなります。

見出しのタイトル以外は、長文を太字にすることは避けた方が無難です。一部を変えるからこそ、目立つのです。広範囲を強調しては効果は生まれないのです。つまり、「文章」を太字にするのではなく、なるべく「語句」や「単語」だけを太くして強調するようにすると良いです。

以上が、目立たせる方法です。あらゆるデザイン手法の基になる原則なので重要です。非常にシンプルで簡単そうですが、「効果を生まない状況下」で、この手法をいくら施しても全く目立たなくなるので、デザインする側は注意が必要です。人の視覚は複数の要素が並んでいると、その並びに何らかの規則を見出す習性があります。規則性があるからこそ、目立たせることができるのです。

(次回は実務的な話をします)

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