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あなたのための、歌がある

最近の、琴線に触れたことを書いておく。
全文日記。以下オチなし。


・ご近所さん優しくて嬉しかった件

Amazonの誤配がかなり多く、向かいのマンションと隣のマンションと間違えられて荷物が届く。

「夜遅くにすみませんー!荷物間違えて届いてたりしませんかー?」と、何度か私の部屋を訪ねてくれた方が2人いて、奇遇なことに2人とも同世代の女性だった。宛名を見たらお互い名前も似ていて、誤配される理由もちょっとわかる。

この前、何にも考えないで届いた荷物を開けたら頼んでないものが入っていたので、間違えて誤配の袋開けちゃった!と思って、慌てて隣のマンションに行って、ピンポンを押した。謝らなければ…と思って、そこはかとなく緊張していたが、ドアを開けたら可愛い赤ちゃんを抱っこした女性が出てきて、
「いつもごめんなさいねー!わざわざ持ってきてくれてありがとうございます!」と、快く許してくれた。ちょっとギャルっぽくて、カッコいい感じの人だった。
近所にどんな人が住んでるかなんて、あんまり気にしたことなったけど、普通に話せてなんだか嬉しかった。同じ地域に暮らしてても、全く別の生活リズムで暮らしてるから、あんまり人に会うことがない。ほんの少ししか話したことないけど、話したことある人が近くに住んでる、と思うと、それだけでなぜか心強くなるものだなと思った。


・松尾芭蕉、YouTuberみたい

ダラダラ見ていたYouTubeで、松尾芭蕉について語っている動画があった。聞いてたら、
松尾芭蕉は俳句をやるために全てを投げ売って隅田川のほとりに小さい小屋を建てて、そこに住んで俳句をやっていたとか、
普段は農業を営みながら、有事の際は武士として戦う「無足人」という身分だったとか、そういう雑学を聞いて、ふーんと思っていたんだけど、話を聞いてるうちに、弟子の曾良(男)と2人でおくの細道を回ったという話が出てきた。

よく考えてみたら、男2人で旅しながら、150日俳句読みまくるぜ!って、文系YouTuberの企画みたいで、面白いなと思った。

今の時代の旅行とは勝手が違うものだから、相当な覚悟があって挑んだ挑戦なんだけど、
出発の時は近しいものと集まって、泣いて別れを惜しんだとか、旅の途中で目的地が草むらになってて残念だったとか、逆にお目当てのものが見れた時は嬉しくて泣いたとか、景色が美しすぎて俳句以外にも色々記録を残したよ⭐︎とか、現代では私たちがする旅行と対して変わらないような感想が記されていて、聞いててワクワクした。

途中、弟子の曾良さんが病にかかってしまい、松尾芭蕉は一人旅になってしまうんだけど、その時の2人の書いた句が、素直に寂しさや心細さを表現していて、、
というか「この旅、一旦俺抜けるね〜」って時に、お互いが俳句を詠んで送り合ってるの、かなり良くない?????てか、すごい良くない???

すごいよ、現代では考えられないほど、男同士の友情や師弟関係に「愛」を感じる……
ケア要因の女が一切出てこない。だから話を聞いてて嫌な気持ちになることが一切ない。この感覚はBL漫画を読んでる時に近い。

男が2人でいるからBLみたい、というバカみたいな理由ではなくて。なんて言ったらいいんだろ。腐女子が「壁になって、好きカプを見つめたい」という気持ちに近いかな、自分に役割が全くない状態で美しい人間関係を見たい、みたいな。うまく言えないけど。松尾芭蕉と曾良さんの男同士のコミュニケーションには、普通に愛情が見て取れて安心するというか。恋愛だけじゃなくて、こういう愛情がある関係性って素敵だなと思うところが多かった。

芭蕉って名前も、弟子の1人が自分の庭に芭蕉を植えてくれたのがキッカケなんだって。(諸説あり)
一人旅になったばかりの時も、別の弟子が「ちょっとそこまでお見送りします」といって、1人になった松尾芭蕉を心配して、何日か一緒に歩いてくれたりしてたらしい。すごい心配されているというか、慕われている。そう、慕われている!

松尾芭蕉の周りの人間関係は、なんだかすごくホッコリするものが多い。きっと愛情深くて、優しい人だったんだろうなと思った。あ〜、松尾芭蕉みたいになりてぇ〜。


・ドラマチック人生、大好き侍

またしても夜な夜なYouTubeを見ていた所、かの有名なオーディション番組の動画に辿り着いた。スーザンボイルが出てきて有名になった、あの番組である。

キレイな女性が現れて、「みんな私の顔は知らないと思うけど、私の声は知ってるかも。映画グレイティストショーマンで、歌を歌っていたから。」と話しはじめる所から動画は始まる。

「表に顔を出さずに、ずっと歌を歌ってきた。でも、この曲だけは自分のための曲に思えて、今日だけは、自分の顔を添えたい。」

そう語った後に静かに始まるバラードは、一本の映画みたいにだんだんと盛り上がって、圧巻の歌唱力で歌い上げられる。激しくて、切なくて、なんだか感情がぐちゃぐちゃになってしまい、動画を見ながら号泣してしまった。


私は文章が好きだから、読んで「血の通ってる文章だな」とか「魂で書いてる文章だな」と伝わるものに出会うたびに嬉しくなるんだけど、
この人の歌声には魂が込められているというか、“魂が叫んでる”みたいな歌声だった。

本当に感動しちゃって、枕をぐしゃぐしゃに濡らして何度もこの動画を見た。神様とか女神様とかの領域だと思った。美しくて、ゴージャスで、華やかで、力強くて、伸びやかで、、、たった一曲の中にまるで人生のすべてが詰まってるみたいな歌だった。そして、これは彼女のための曲だ、と思った。



映画でも音楽でも文章でも、
「これは私のための作品だ!」と感じる時がある。
そういうものに出会えるたび、芸術というもののには値段をつけられない、お金以上の価値があると感じる。

人はどんなに孤独でも、たとえ文字が読めなくても、目が見えなかったり、音が聞こえなかったり、そういう障害があったとしても、
何かしらの形で「キレイだ」と思えるものに出会えるようになっているの、凄いことだと思う。それと同時に、「私たちって美しいと思えるものに出会うために生きてるのでは?!?!」とすら思う時がある。それが景色でも、コンテンツでも、人でも、なんだって良くて。人間って、綺麗なものを見つけられると嬉しくなるようになってるんだなって心から思う。
そういう綺麗なものに出会ったときに、素直に「最高!美しい!素敵すぎる、大好きです!!」と伝えられるように、こちらの心も綺麗に整えて暮らしていたいなと思うのだった。


最近読んでるおすすめの本2選


川上未映子「深く、しっかり息をして」

言葉のセンスが大好きで、何度も読み返してしまう。何気ない日常の思ったことを書くという「エッセイ」というジャンル、面白すぎるんだよな。日常の話しかしてないのに、なぜこうも心に響くものがあるんだろうか。
もしもさくらももこと川上未映子がおなじクラスに居たら、おんなじほんわかテイストなのに、全く違う景色が見えるんだろうなと思った。自分とかいう乗り物は、自分しか乗れないエヴァンゲリオンだから、同じ世界でもまったく別の世界が見えるの、楽しすぎる!!この本を読んでると、日本語が好きになる。光を嗅いだり、音を掴んだり、そういう五感に響くなにかがある。大好き。


オイゲン・ヘイケル  「弓と禅」

スティーブ・ジョブズも読んでたということで世界的にも有名な本。外国人がやたら「日本に行ったら禅の心を学びたい!」みたいなことを言ってるのを聞いて、「てか禅って何?日本人でもそんなもの知らなくない?!」と思って、気になって調べてたらこの本に辿り着いた。この本が海外でヒットしたことで、多くの人が「日本イコール禅」という認識になっているらしい。

「優れた師匠は、弟子が自分で成長するよう時々助言をするただけで、ひたすら眺めているものだ」とか、「弟子に長々と説教などせず、技巧を教えたりしない。自然な速度で成熟していく様を見守り、待ち続ける忍耐力がある」と書いてあって、脳裏にヒソカが浮かんでしまった。禅とかいう概念、ナチュラルに念能力に近いものを感じる。HUNTER×HUNTERの読みすぎかもしれないが、やはり呼吸がすべて、呼吸から全てが始まり、育ち、老いて、死ぬ。呼吸のパワーはすごいと思った。禅が一体なんなのかはいまだによくわかっていないが、西洋的な考えと、東洋的、もしくは日本的な考えには大きな解離があり、根本的に物事の捉え方が違うんだな、ということが面白かった。頭のいい人たちが禅とかヨガとかに卒倒していく気持ちがちょっとだけわかる気がする。肯定的で、知れば知るほど心が穏やかになれるものだと思えた。あとヒソカは絶対この本を読んでると思うから、そういう同人誌描きてーー(棒読み)と思った。

やはりHUNTER×HUNTERは人生。
大切なことが全て書いてある……

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