「仕事」とブランディング
大久保秀夫氏の『在り方』や吉野源三郎氏の『君たちはどう生きるか』を読んで、マーケティングを生業にする私が感じたことを簡単にまとめました。(かなり抽象度高めです....)
あなたにとって「仕事」とは何ですか?
現職の会社に就職する際、最終面接で面接官から頂いた質問です。
私は「生きること」だと回答しました。
面接官からは、哲学的だねと言われ、あまり凝った考え方では成長できないから柔軟にいこうね、と窘められたことを覚えています。
なぜ、そんな風に答えたかというと、当時の私にとって、世界は完成されていて、それはひとりひとりの仕事から出来ているという事実と、そこに自分も加われるという期待で、気持ちが高ぶっていたからだと思います。
「仕事」の成功は「ありがとう」の数で決まる
『在り方』の冒頭で出てくる一文です。
前述のように、世界はひとりひとりの仕事でできている、と考えていた私にとって、仕事の成功が、ありがとうの数で決まるという考え方は、とてもしっくりくるものでした。
誰かの仕事が、誰かの役にたって、それが繋がり、循環して、世界ができている。
「ありがとう」の数だけ、その仕事は、次の誰かの仕事に繋がっていっているのです。
同じような背景から、「いただきます」と「ごちそうさま」もとても価値のある言葉だと思います。
「仕事」は「仕える事」と書きますが、文字通りなのだなと。
でも、「ありがとう」と言ってもらうために、全て自分の主観で物事を判断して、施策を決めていいかというと、そうではないと思います。
天動説と地動説の話
突然ですが、『君たちはどう生きるか』に出てくる、コペルくんが銀座の建物から街を見下ろして、「人間は分子」だと感じるシーンがとても好きです。
人間は全体の流れを構成する一要素であって、全てでは無い。
自分たちが世界の中心であって、周りが動いていると考えた天動説に対して
自分たちもまた、他の星と同じように動いていて、宇宙の一部なのだと考えた、地動説のように、コペルくんが世の中を捉えたシーンです。
自分から見た目線だけで世界を捉えると、物事を正しく見られなくなります。
例えば、横断歩道で向こう側から歩いてくるその人の仕事のおかげで、いま、自分はスマホを操作できているのかもしれません。
それぞれの立場で仕事をしていて、それらが繋がって、はじめて、世の中が流れていくのだと思うのです。
企業の在り方とブランディング
今度は目線を企業で働くことにシフトしてみます。
企業にはそこで仕事をする人がいます。
企業の提供価値を享受するのも人です。
企業も人から構成されていて、人は世界の分子である。
だからやっぱり、企業も自分主体で損得勘定をするだけだと、世界を正しく捉えられなくなってしまうと思うのです。
企業には、ミッションやビジョンがあります。
「自分たちの立場は?」
「誰に何を求められている?」
「その上で、自分たちの仕事は?」
いわゆるポジショニングに繋がる、コーポレートアイデンティティと呼ばれるものは、社会の中でどう在るかを定義したものです。
ブランディングは、「どう見せるか」ではなく、全体の中の一要素として、どう在るかを心技体に落とし込んだものなのだと思うのです。
コーポレートアイデンティティが明確であり、かつ、組織の内外に浸透させられているということは、企業が世界を正しく捉えられていて、仕事に落とし込めているということ。
まとめると、人の仕事に敬意をもち、世界を正しく捉えて仕事をすることこそ、強いブランディングであって、強いマーケティングに繋がるのだと感じたのでした。
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