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「最後の旅行」の打ち合わせ
いとこのおじさんとおばさんは80歳手前。
マンションで二人暮らしをしている。
おじさんはパーキンソン病で要支援2。
週2回のデイケアに通い、リハビリを行っている。
おばさんが主な介護者。
いわゆる典型的な老々介護だ。
ぼくは自転車で行ける距離に住んでいる。介護職員として働いていることもあり、月イチで様子を見に行っている。
そんな老夫婦から、ぼくに相談があった。
人生最後の旅行へ行きたいと。旅行中、ぼくに介護者として同行して欲しいとの依頼だった。
旅先・日時は決まったので、今日は事前の打ち合わせに行ってきた。
主な会話の内容はこんな感じ。
歩行状態はどうか
車椅子はいるのか
トイレの回数はどうか・トイレの介助は必要か
下着は布パンツか紙パンツか
お風呂はどうか・お風呂の介助は必要か
夜はどれだけ起きるのか・睡眠時間はどうか
認知機能はどうか
本人のプライドはどうか
ざっくりこんなことを、おばさんと喋ってきた。
ぼくは介護職員なので多少のことでは動じない。
排泄まわりはちょろい。問題ではない。リハビリパンツを履いていくということだし、大丈夫だろう。
付き添う人間として一番気になるところは、やはり歩行状態。
どのくらいの歩行スピードなのか。
転倒リスクがどれくらいあるのか。
心肺機能はどうか。
段差は問題ないのか。
自宅での転倒を何度も繰り返しているおじさん。
パーキンソンの進行状態も気になる。
実はこの旅行、何人かでいくツアーらしく他の旅行者と団体行動を求められる場面がある。つまり移動時間に制限があるのだ。1泊2日の旅行といえど、神経をフルに使う。
転倒事故を起こした時点で、旅行は終わりだ。
もしかしたらほんとうに、最後の旅行になるかもしれない。
ただ付き添えばいいという問題ではなく。
当然だが、ふたりに旅行を楽しんでもらわなくてはいけない。
おじさんのパーキンソンは重度ではない。しかし自身で行動の抑制が効かず、危ないかどうかの判断が自分ではできなくなっている。
ロフストランドクラッチ(杖)を使い歩いている。階段も付き添えば問題ない。が、ぼくはとても緊張している。
細かい話はまた今度にして、おばさんとふたつだけ約束し打ち合わせを終えた。
みんなの前でおじさんを注意しないこと。
おばさん自体が旅行を楽しむこと。
人前で注意されると、おじさんはプライドを傷つけられる。
おばさんには介護を気にしないで旅行を楽しんでほしい。
この2点だけ約束して。
介護者として旅行に付き添うのは初めての経験。
年明けに、おじさんの歩行状態を確かめるべく、
近所を散歩しにいくことにしよう。
こわーーい!こわいよぉー!
▼▼▼ きょうの本棚 ▼▼▼
「旅行に付き添う介護職員」という事業をやってみようかしらw
富裕層向けに訴求したら需要ありそう。
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