浴室の湯張り機能や追い焚き機能のボタンがついた電子パネルが壊れた。
この家はもう築20年以上経ってる。
そろそろいろんな電気系統や壁やなんやらが壊れてきてもおかしくない。
かろうじてキッチンにある電子パネルから「湯張り」はできる。風呂に入れないことはないので、まぁそんな急ぎではない。
「どうしよ。困ったね。風呂場で追い焚きできないね。」
「どうしようね。ねぇ。どうしようね。」とオカン。
いやいや、どうしよう何も、気になるのであれば町の便利屋さんにでも電話して故障の原因を調べてもらえばいいじゃないか。
「何回ボタンを押してもね、ウンともスンともいわないのよ。」
「もうね、この家建ってから随分経つからね。いろんなところが壊れ出してもしょうがないよね。」
ぼくは全く質問していない。ただ黙って聞いているだけなのに、矢継ぎ早にあれこれ会話が飛んでくる。ぼくはその会話をわざとトンネルして後逸するのだが。
たま〜にぼくは、そぉ〜と2階の部屋に上がっていく。オカンはぼくが二階に上がったことに気が付かず一人で喋っている時もある。
「〜だよねぇ!」「あ!あれいない!」みたいな、
ベタなコントになる時があって。ぼくはそれが面白くてクセになっている。まぁそんなことはどうでもいいのだが。
「まず、電話してみたらいいじゃん。」
「そうね〜」と言いながら、オカンは受話器を取ろうともしない。
「あ!今度、近くに電気屋さんあるから直接行ってみようかな」
いや、行かんでいいやろ。なんで直接いくねん。まず電話して対応してもらえるかどうか確認してから、業者の人に来てもらえばいい。
・・・
わかっている。
オカンは電話したくないのだ。電話越し「お風呂場の電子版が壊れた」というだけのことが、うまく説明できないのだ。
で、とにかく直接お店にいってみよう。っていう発想になる。
息子よ。息子よ、あんたがやってくれ。ってこと。
わかっている。
わかっているが、ぼくはあえて泳がしている。
意地悪なんかではなく、できるだけ自分でなんとかしようとしてほしい。
そういった息子の期待。ささやかな。
まぁ、結局はぼくが電話をして説明するのだけど。
ぼくが業者と電話している時、オカンはぼくをジャニーズタレントのその人をみるような眼差しで見ていた。そして、
「やっぱりねぇ。もうこの家古いから、これからいろんなところが壊れてくるわけね。だろうなと思ったのよ。屋根もさぁ〜」
さも自分の手柄のように饒舌になり、
ぼくはただ、その会話を聞いているようにふるまって、
トンネルしていくのだ。
期限ギリギリになって書き始める。小学生の夏休みの宿題だ。
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。