人の介護(うち)見て我が介護(うち)直せ
介護生活は突然始まるってい言うけれど、
「うちは大丈夫だろう」と他人事のように思っていたら、気がつけば親は70歳を越え、あと5年もすれば後期高齢者だったり。
「最近の高齢者はめちゃめちゃ元気」なんていうけれども、本当か?って思ってしまう。高齢者介護施設で働いているから余計にそう思うのだろうけど。
血圧の薬だの、膝の注射だの、何かしらの病気や怪我で通院している方がほとんどで。
ぼくの母も例外ではなくて、「心房細動(しんぼうさいどう)」ってう、心臓がプルプル震える病気があるらしく。
たしか、血栓(血の塊)ができやすくなるんですって。もしその血栓が脳に行ってしまったら、血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こして、麻痺などの後遺症が残ったり認知症になったりだって。
今はまだ元気だしまったく問題ないのだけれども、いつそうなってもいいように、準備だけはしておこうと思ってぼくはデイサービス職員になったのだけれど。
介護の知識や技術があっても、実はそれ以外の問題もたくさんあって、
たとえば、介護にかかるお金の問題とか、
ぼくは実家で母と一緒に住んでいるので、
住まいのこととか予め母親と話しておかなくてはいけなかったり、光熱費の支払いや年金のこと、銀行口座や生命保険とか。こういった手続きや契約のことなんかもかなり大事になってくる。
認知症になってしまってからではもう「箱の中身はなんでしょね〜」みたいなこと。
介護離職なんかも、大きな問題のひとつ。在宅介護が始まってしまうと、主介護者はとてもじゃないけどフルタイムで仕事できなくなるから。
それと、いちばん大事なのが、
家族間で介護の体制が整っているかどうか。これはめっちゃ大事。介護ってね、ひとりじゃ無理だから。なのに介護生活に入ると生活が制限されて孤立しやすい。
ぼくにはふたつ上の兄がいるんだけど、
ぼくは実家に母と住んでいて、兄は県外に住んでいるのね。
母の「心房細動」が発覚したとき、兄に報告と相談をしようと思って話しかけたらさ、
いやいや、兄は仕事で忙しい人だから、まだ起こってもいない介護のことなんか、さほど心配じゃないのかもしれないけど。兄にとっては。
でもね、ぼくはさ、介護施設で仕事していて、在宅介護や認知症がどれだけ大変かってのを目の当たりにしててさ、捉え方が180度違うわけ。
兄は母の病気のことをまともに聞く気がなくてね、キレたよね。ぼく。
まぁ、兄とぼく、バチバチよね。今だに。
アカン!今読み直してもイラッとしてしまう。
これから両親の介護を抱えることになる方。
絶賛介護中の方。
ぼくの家のゴタゴタをとくとご覧あれ。そんなエッセイです。
人の介護(うち)見て我が介護(うち)直せっつーことです。
いや、まだ実際には介護は始まっていないけれど、介護は始まっていないうちから始まっているのかもしれませんね。
ちなみにこのエッセイは、地元のエッセイコンテストで賞をいただきました。
noteのために再度書き下ろした内容となっています。