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人が輝くデイサービス

どうも〜。あっという間に年末ですね。年末年始は積んである本を片っ端から読んでいこうかなと思っている「ひさし」という者なんですけども、

デイサービスで介護職員をしておりまして、頑張っていかなかんなぁ〜いうとりますけども。

さて、

ぼくの家には猫がいます。

もともとは野良猫だったのですが、オカンが餌付けをしまして、
そのうちに毎朝玄関先に来るようになりまして。

オカンが歩けば猫も歩く。オカンが近所のドラッグストアに買い物に出かけると、その後をついて歩き店内まで入っていくほどにベッタリとなりました。

ある日、今日も玄関前にいるのかなぁ〜とオカンが玄関のドアを開けた隙に、西宮神社び福男を彷彿とさせるダッシュで家の中へ駆け込んできました。

そして今、ソファーの上でぼくにケツを向けながら座っています。ぼくにはまったく懐きません。10年以上家の中で一緒に生活しているにもかかわらずです。爪を立て引っ掻いてきます。

カリカリを食べて寝るだけ。猫はそんな生活を何年も続けています。最近ではうんちを砂の外でしかしなくなりました。多分わざとです。
10回に一回くらいは「ぐふっ!ぐふっ!まぁ〜」と言ってカリカリを食べて数十秒後に吐瀉します。

「しっぽ」ちゃん(メス)。
尻尾が短いから「しっぽ」野良猫のときに適当につけた名前が、うちの市役所に提出されました。

可愛くて仕方ありません。ぼくの癒しです。

・・・

デイサービスのお話ですが、

ある利用者さんは、洗濯物を干すことに命をかけていまして、
デイサービスに洗濯物を干しにきていると言っても過言じゃなくらいで。
タオルは色分けして取り込みやすいように、シャツは直射日光が色褪せの原因になると言っていちまい一枚裏返しにして干します。
日向になる場所を計算してタオルハンガーを移動させ、季節によって乾くタイミングを熟知していて干す・「てっちり」を箸で根こそぎすい上げていくように洗濯物を取り込んでいきます。洗濯をまさに持続可能にしてくれます。
まぁ洗濯機を回すのはぼくら介護職員なのですが、
洗濯するために洗濯しているのではなく、洗濯物を干すために洗濯している。そんな感じです。


ある利用者さんは、味噌汁をつくることに命を燃やしています。
心不全の影響で息切れしようが、肘を骨折し腕をL字に固定されていようが、味噌汁担当を他の人に譲ることはありません。
デイサービスに味噌汁を作りに来ているのは過言ではなく、もう味噌汁を作りにきています。味噌汁ばあさんです。
自分は心不全が再発しないように塩分の高い味噌汁は飲みません。なのでやっぱり、味噌汁を作りに来ているのです。味噌汁ばあさんです。
出汁は「ほんだし(粉末)」を使っていますが。


ある利用者さんは、麻雀をしに来ています。「麻雀ができなければデイサービスに来ない」と言って、デイサービス本来の目的なんかどうでもいい発言をします。ギャンブルが好きなのではなく、麻雀そのものが好きなのです。
がしかし、弱いです。ゲキ弱です。カモです。
牌を取り忘れる「少牌(しょうはい)」を頻発し、牌を切り忘れる「多牌(たーはい)」も頻発します。他のメンバーからも「牌の数大丈夫か?」と毎回ちょっとイジられています。
でも「麻雀ができなければデイサービスに来ない」と言って、麻雀が始まる30分前にはメンバーの揃っていない麻卓にひとりポツンと着席して、麻雀牌を4人分積み上げて今か今かと麻雀開始を待っています。
ですが弱いです。ほとんど上がれずにデイサービスを後にします。なので麻雀をしに来ているのです。
メンバーを揃えることが大変な麻雀。いつも助かっています。

他にも、

食器拭きに使命感を感じ「これもう下げていい?」と、食事の途中なのに昼食を下善しようとする利用者さんや、
耳が遠いのに相手の話を聞きいてあげようとする利用者さんとか、それぞれの利用者さんがそれぞれの役割を見つけて輝いています。

人は役割を見つけることで、居場所を作っていくんですね。

では、

座ったまま無気力な方、言葉を発することのできない寝たきりの方は、役割を持つことができないのか。

そんなことはありません。

そもそも、その人の存在そのものが役割なんですから。

ちょっと嫌な表現に聞こえてしまうかもしれないですが、そうした方がいるおかげで、ぼくら介護職員の生活は成り立っています。介護保険を使ってデイサービスきてくださるからこそ、ぼくらに報酬が発生しているわけですね。

もちろんご家族の方にとってかけがえのない人。存在が大きな「役割」。これは言葉にしなくたってわかること。安心や慈しみを生み出しています。

猫は猫っちゅー役割ですよね。

言うことを聞いてくれない人。
近くにいるとイライラしてしまう人。
それはぼくに成長するための課題を与えてくれる役割を持っているってことでしょう。

自分で役割を見出すことができない方もいます。ならば一緒に役割を探していこうじゃないか。それが介護職員としての役割ですね。

・・・

「これちょっと!裏返しにして干してないじゃない!だから触らないでっていってるのに」

ぼくの干したポロシャツでした。

「大目に見てあげてぇ〜」と、他人がやったようにしときました。

ぼくが干したポロシャツは目の前で裏返しにされ、肩と脇の縫い目がグルっとなりハンガーにもう一度干されました。

もう下手に触らんとこ。
ぼくはそう心に誓いましたね。


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介護エッセイ元お笑い芸人@のざき寿(ひさし)
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。