オカンのフリップ芸
「89点!」
「まずね、トップバッターやったからね、プラス5点してます。トップバッターとしては高得点じゃないですかね。」
「うーん、フリップの文字がちょっと小さ過ぎて、奥に座っているお客さんには見えづらかったかなぁ。」
「前半のね、整膚(せいふ)しってますか?っていう声かけはよかった。お客さんとの会話が生まれるきっかけになるから、でも、そのあとある程度知ってる前提で話を進めている印象があってね。ちょっとついてこれない時間があったよね。そこで、ちょっと早口になって噛みそうになったでしょ。そこの辺のフリは丁寧にしておいたほうが、後半の伏線回収にいきてくるからね、ちょっともったいなかったかなぁ〜って」
「まぁ、後半、整膚の実践をするくだりなんかは、今までそうとう舞台数踏んできたんやなぁっていう印象で、安心して見てられたし。笑いもあったしね。だからね、前半の部分がもったいないぁ〜ってなるのよね」
「今後、期待してます。次の機会までに、もっとネタを仕上げてきてください」
「陣内さんとか他の審査員さんは、どう思ってはるかわかりませんが、」
あのね、
今日はね、オカンがあるところから依頼を受けて、オレンジカフェでマッサージの講習をするっていうから、助手として同行したのね。
オカンは整膚(せいふ)っていうマッサージをしていて、皮膚を引っ張って結構を良くする施術なだけど。
なんやろ、フリップ芸人みたいでさ。75歳だからね、やってるだけですごいとは思うんだけどね。謝礼も1時間半でその日分ぐらいもらってたし。
よなよなフリップを手書きして、ネタを仕込んでいる姿を見てるからね。
とはいえ、いろいろ口出ししそうになったけど、
まぁいいのよ。成功しようが失敗しようが。
それは本人の問題だから。
来年、R-1で、芸人としてデビューしねーかな。