見出し画像

語り得ぬ履歴書

誰しも「語り得ない履歴書」というものが人生の中にあって、それは「語り得る履歴書」、つまり履歴書に書く履歴には決して書くことができない深淵がある。

それは本人も気づかないようなものだけど、人と対話をする中で、ひょっこりと顔を出すこともあり、「あーそういうこともあったなぁ」なんていう話だったりする。

7年前に閉店したという定食屋さんの話を知って、そこで友達とよく色んな話をしながら昼を食べてたなぁとか、その頃は色んなことに行き詰まりながらも、結構楽しく過ごしていたなぁとか。当時はとにかく色んな人と話をした思い出が、「語り得ぬ履歴書」として顔を出す。

そこにいた友人はもうこの世にはいない人になったなぁとか、そのときの彼の語りを思い出す。

そんな語り得ぬ履歴書はその人の豊潤な物語性を秘めていて、何気ない会話の中から生まれてくる。そういう何気ない対話の場が生まれることはとても楽しいもの。

楽しくなんて夢物語だという人もいるけれど、心地よい場での語りは温泉に入る時のように心地よいもので、それはそれとして楽しめばいいんじゃないかと。

そういう「語り得ぬもの」を語りに変える場を作ってみたいと思ったりするのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?