【生活は患い】夏が来てしまった

 暑い。とにかく暑い。
 この書き出しをすると、高校1年の文芸部で初めて書いた作品でのダメ出しを思い出す。
「暑いを太文字で強調したところで、何も伝わってこないから、字体に頼るのはやめなさい」
 先輩はこのようなことを言ったと思う。当時の(【生活は患い】からも伺い知れるように今もだが)僕は非常にプライドが高いくせして小心者であった。故に、小学校1年生から書き続けてきたという自負が、「この人、文字に対して何も考えたことないな」と一瞬でも思わせてしまった。その裏で、内容で勝負ができなかったことを少し反省した。
 大学2年で初めて書いた5首連作も、そんなようだった気がする。とてもとてもダメ出しを貰った。形式に拘りすぎたばかりに。
 もう癖としか言いようがない程の、その、“基本ができる前にやりたい事が先行する”事。これによって自身のウィークポイントをはっきり浮かび上がる現象は、苦笑いしながら受け入れつつあった。

 昨日は1日寝て過ごしてしまった。正確には、意識は確かに寝ていたことに間違いはないのだが、身体が起き上がれなかったのだ、と今振り返って思う。
 当然、大学には行けなかった。単位を取らねばならない身としては、勿体ないことをした。馬鹿め。
 ただ同時に、梅雨明け宣言を受けてスタートダッシュを切った夏と自身の最初の戦いだったのだ。
 ここで初めて夏すら苦手な季節と悟る。ツイ主も文言も不明瞭だが、タイムラインで「夏は紫外線や日差しという土砂降りの季節だから身体にもダメージが溜まる」などといった内容のツイートを思い出す。
 ふむ。歩く度に体力ゲージを喰う毒状態のようなものか。仕方ない。受け入れて一歩一歩確実に前に進むしかない。
 とりあえず今は、ホームを全速力で駆け抜けて授業に間に合うことから始めよう。

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月詠家
「ことば」で遊ぶ人。 エッセイ、作品、公開しています。 会も作りたいです。