こどもとあそぶ。ことばであそぶ。〜⑥小児言語聴覚士お気に入りの100均グッズ〜
ひとつだけおもちゃを選んでと言われたら、迷わずコレ
前回投稿はこちらです。
ダイソー「あいうえおカード」の紹介
ひとつ前の記事にも出てきた、ダイソーの「あいうえおカード」。
「無人島に何かひとつ持っていくとしたら、何を持っていく?」という問いかけが流行ったことがありますね。それと似た質問「今から数人の子どもの相手をするとしたら、なんのおもちゃを選ぶ?」と聞かれたとき、私が迷わず選ぶのがこの「あいうえおカード」です。
表にはイラストと単語が、裏には単語の語頭音となる頭文字が書いてあるこのカード。単純な作りですが、遊びも学びもなんだってできちゃうスグレモノです。
「あいうえおカード」の遊び方
遊びのひとつ目は前回紹介した文字すごろく。すごろく本体がなくても、紙と鉛筆があれば、ささっとマスを書いて遊べますね。
2つ目の遊び方として「なぞなぞかるた」はいかがでしょう。イラストが答えとなるようななぞなぞを出し合う遊びです。「木を切る道具はなーんだ」「字を書くときに使うものは?」というなぞなぞから、「おうちの中にあります。時間を教えてくれます。チクタクという音がします」というようなスリーヒント遊びまで、難易度の調整が可能です。逆パターンとして「それは食べ物ですか?」「いいえ」、「それはおうちの中にありますか?」「はい」といった質問ゲームもできますね。
語彙力を育てる「語彙ネットワーク」の存在
語彙を増やそうと思ったら、フラッシュカード等をひたすら見せたらいいかというと、そう単純なものでもありません。ことばをおぼえるとき、私たちは頭の中にネットワークを張り巡らせていきます。ひとつひとつの単語をおぼえていくというより、ネットワークを結んで、語彙の引き出しをどんどん増やしていくわけです。
さらに整理整頓も大事。パソコンの中の書類を整理するためにフォルダを使い、大分類・中分類とするとわかりやすく、大容量の書類が整理でき、かつ情報を取り出しやすくなりますよね。それと同じイメージ。
「なぞなぞ」はことばの整理整頓に最適
語彙を増やすにはネットワークを張り巡らし、引き出し(フォルダ)をどんどん増やしていくことが必要。でもそれとなぞなぞにどんな関係が?
このなぞなぞは、とんちを効かせたものではありません。説明力を育むものです。「のこぎり」ということばにつながるのは「木」や「切る」ということば。「時計」なら「時間」「見る」「鳴る」など。ターゲットとなることばに付随するいろんなことばを駆使することになりますよね。だからこそ、語彙ネットワークが広がり、語彙が増えていく、というわけなんです。
この遊び、かなりな説明力が必要でなかなか高度ですので、年少さんなら取る専門、年中さんから問題を出す練習を少しずつ取り入れていきます。すぐに説明できない場合は「それは食べ物の仲間かな、動物かな?」などと質問していきます。繰り返していくことで、年長さんの頃には立派に説明ができるようになりそう。かるたの取り合いというゲーム性をもたせると、張り切って挑戦する子が多いです。
この「あいうえおカード」、実はまだまだ遊び方がたくさんあります。それはまた別の機会に。