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こどもとあそぶ。ことばであそぶ。〜⑬おりがみは退屈で時代遅れ?〜

伝統的な遊びには、発達支援の視点がいっぱい

前回投稿はこちらです。


「おりがみ」の紹介

日本人なら誰もが一度はやったことがある遊び「おりがみ」。最近では海外でも人気だそうですが、発祥の地・日本では廃れてきた遊びのひとつかもしれません。

幼稚園や保育園でも、制作の一環として子どもにさせることはあっても、自由遊びの中でおりがみを選択する子は少なくなっていると、幼稚園・保育園の訪問支援(園の中で支援が必要な子どものために、先生方へ助言等を行なったり、保護者の相談にのったりする仕事)の中で聞きました。

写真はダイソーのおりがみブック。簡単・手軽にできるものばかり
簡単なものは2、3回のステップでできます

ある園にお邪魔したときに園長先生からお聞きしたお話です。

「昔はおりがみやあやとり遊びなんかを通じて、子どもたちの手先の器用さなどの発達面をさりげなくチェックできていたんです。でも今はどちらも見向きもされなくて」

このお話を聞いて、「昔から連綿と受け継がれてきた遊びには、子どもの発達を支援する大事な要素がたくさん詰まっているんだな」と感心したものです。同時に、そうした「遊び」を通じて子どもの発達を支える園の先生方や保育士さんの専門性の深さに恐れ入りました。

おりがみを「やりたい!」と思ってもらえる工夫

大好きなパパとママが一緒にやってくれるなら、おりがみだって楽しくできるかも、ということで、おうちでおりがみをやりたい!と思ってもらえるひと工夫について紹介します。

おりがみ先生

子どもが先生役となって、パパやママにおりがみの折り方を教えてあげる方法です。いつもは大人から「あれしなさい」「それはダメ」と指示されることばかりの子どもたちですが、逆に自分が大人に教えてあげる、という立場は新鮮で、張り切ってやってくれることでしょう。ことばの面で言うと説明力アップになります。また「半分に折る」とか「三角にする」とか、割と決まりきったことばの使用ですみますから、説明の難易度もそれほど高いわけではありません。大人は子どもの言うとおりにおりがみをするだけ。おままごとみたいに役割を演じる必要もありませんから、やりやすいのではないでしょうか。

虫取りゲーム

折ったおりがみ作品にクリップをつけます。

写真は虫のおりがみですが、虫でなくても大丈夫

別に割り箸を用意して、先にマグネットをテープ等で貼り付けます。これで、竿と獲物が完成。

竿または虫取り網。写真は両面テープでつけています

獲物となるおりがみ作品を、大人がおうちの中のあちこちに隠します。それを子どもたちが見つけて、割り箸竿で捕獲! 虫カゴも用意すれば本格的な虫取りゲームです。獲物がたくさんある方が楽しいですから、前準備のおりがみにも気合いが入るというもの。

パソコンの上にクワガタがいたよ!


不器用さんが苦手とする「目と手の供応」の力

おりがみは手先の器用さだけでなく、「目と手の供応」の力を支えるのにも最適な遊びです。

「目と手の供応」とは、「目で見た情報と手の動きを連動させる能力」のこと。

たとえばカレーをスプーンで食べるとき、口周りにカレーがつくのは嫌ですから、口の真ん中にスプーンが入るよう、手の動かし方を調整します。このとき働いているのが「目と手の供応」の力です。

スプーンの運び方が不安定なとき。ボタンをうまくかけられなかったとき。はさみでまっすぐ切れなかったとき。

「うちの子、手先が不器用なのかしら?」

それは手先の問題だけでなく、「見る力」や、「供応させる力」の問題も併せて持っている可能性があります。

おりがみの、折る・合わせるといった行動は、目と手の動きを連動させるのに最適です。時代遅れと言わず、取り入れていただけたらなと思います。

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