こどもとあそぶ。ことばであそぶ。〜⑪0歳児と何して遊ぶ?〜
0歳からことばの練習!?
前回投稿はこちらです。
模倣の大切さ
今までいろんなおもちゃや道具を使った遊び方を紹介してきましたが、もっと小さい子、たとえば0歳の赤ちゃんと遊ぶなら、どんな遊びがいいでしょう。ラトルをふる? ぬいぐるみを与える? それらも楽しい遊びですからもちろん取り入れていただいていいのですが、もっと簡単な遊び方を紹介します。
それが模倣です。赤ちゃんが出す声を、大人がそのまま真似るのです。
赤ちゃんが「あー」と言ったら、大人も「あー」。
赤ちゃんが「うー」と言ったら、大人も「うー」。
え、それだけ?と思われるかもしれませんが、それだけです。道具も技術もいらない、単純な遊びでしょう?
赤ちゃんは「模倣する力」を持っている
生まれたばかりの赤ちゃんは、なんの力も能力も持っていないと思われがちですが、実はいくつかの能力をすでに備えた状態で生まれてきていることが、様々な乳幼児研究で明らかになっています。
その能力のひとつが「模倣する力」。誰かの真似をすることです。この「誰か」というのもポイントで、生きている生身の人間のことを指します。赤ちゃんにとって最も身近な生きている人間といえばパパとママ。0歳児は、パパやママの真似をしていろんなことを学んでいくのです。真似をしながらいろんなことができるようになっていくと、生きていく力が身につき、生存能力もあがります。
先に説明した音声模倣は、ことばの発達もそうですが、コミュニケーションの能力を育てます。自分のことをいつも快適にしてくれる身近な大人が、自分が声を出したら同じように返してくれる、もう1回やってみよう、また返ってきた! 楽しい! もう1回! 今度は別のも! そんなふうにどんどん模倣が増えていき、コミュニケーション能力が育まれ、やがては発語へとつながっていきます。
発語を支える食事の大切さ
しかるべき月齢になると離乳食が始まりますが、食べることもことばの発達には重要。食べるときには舌や顎をミルクを飲むとき以上に使います。それによってお口周りの発達が促され、しっかりした発音のための土台ができあがっていくのです。離乳食から普通の食事へと移行する中で、お口周りの筋力や機能も変化し、年齢があがるにつれて発音できる音も増えていきます。
英語も模倣できる?
「赤ちゃんが模倣の力を持って生まれるなら、英語の模倣もできるってことよね」と思われるかもしれません。発達界隈ではよく話題になる話ではありますが、残念ながら0歳の時点で英語のCDやDVDを聞かせる効果は、それほど期待できないと言われています。
赤ちゃんが持って生まれる模倣の力については先に述べた通りですが、もうひとつよく知られた能力のひとつに、人間の顔に注目するという能力があります。赤ちゃんは生まれつき、モノではなくヒトに注目する性質があるのです。スーパーなどでよその赤ちゃんに遭遇したとき、よく目が合うと思いませんか? 周りにはカラフルな商品がたくさんあるのに、そちらには見向きもせず、じっとこちらを見てくるのは、この性質があるからです。
誰の模倣をするのかというと、最も身近にいるパパやママだと、先に説明しました。生きていて、動いて、自分に話しかけてくる大人の模倣をする、ということですね。この考え方でいくと、CDやDVDは生きた人間ではありませんから、赤ちゃんがそもそも注目しにくいのです。「いや、うちの子、しょっちゅうテレビやDVDに夢中になります」と言われるかもしれませんが、その画面が楽しいから夢中になるのであって、そこからことばの模倣をするとは限りません。DVDのアニメーションのお姫様が英語を話していても、テレビの中からネイティブのお兄さんが英語で話しかけてきたとしても、画面という機械を通している限り、そこから0歳児がことばを模倣し学習していく効果はあまり高いとは言えないのです。英語を聞かせる効果的な例は、パパやママなど同居家族にネイティブの人がいて、英語で直に話しかけるシーンが日常的にある場合です。
とはいえ、テレビやDVDからまったくことばを学ばないわけではありません。お子さんが1、2歳くらいになってくると、機械からの音声でも理解して真似ることが出てきます。ペンでタッチすると物の名前を教えてくれる音声図鑑がありますが、それらを真似して話すことも増えてくるでしょう。
いずれにせよ、ある程度大きくなってからの話。だからこそ0歳の間は、外国語にこだわらず、コミュニケーションを育むようなパパママの模倣遊びの方を断然オススメします。
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