🍜ラーメン俳句王決定戦🍜
暖簾や看板を見かけるとついつい食べに寄っていってしまう、悪魔的な食べ物。
『ラーメン🍜』
日常の出来事や風景からの心象をモノに託して、十七音に納める文芸。
『俳句📒🖊』
一見まったく関わり合いのないこの二つですが、実は共通点が多くあります🤔
・愛好家が多く(世界中にも)、奥が深い
・知らない人はまずいない(いくつか有名店や名句を言える)
・現代生活に溶け込んでいる(TVのラーメン企画やプレバトは高視聴率、という事実)
などなど。
そこで、普段俳句を勤しむ私が連休をいただいたことに始まり、人と人とが繋がり合える楽しい企画はないかと思い立ち、
題して、『ラーメン俳句王決定戦』を開催する運びとなりました🎊🎊👏👏
今回の投句者数は62名!
全62杯のラーメン俳句が集まりました!
まずは、
今回の企画に登場した季語たちをざっと紹介します!
数へ日、暮、去年今年、初昔、小正月、淑気、蓬莱、
牡丹雪、春、春光、春めく、春の磯、春の昼、落第、春キャベツ、花曇、
汗、白シャツ、帰省子、冷麺、
夜食、鶺鴒、天の川、秋惜しむ、柚子、
冬、冬の星、冬の灯、冬の夜、冴ゆ、息白し、寒、寒最中、寒夜、寒の月、寒卵、葱、白菜、牡蠣、出稼ぎ、着ぶくれ、小春日、小夜時雨、風花、寒波来る、吹雪倒れ、大寒、悴む、冬深し、雪、雪掻、久女忌、春を待つ、春隣、(鍋)。
※季語・子季語の重複は一つに統一
冬季語ばかりになるかと思っていましたが、
さすがは俳人の皆様。62句でも春夏秋冬、暮・新年まで勢揃いです!今の季節と真逆の、夏の季語をぶち込むツワモノには、読んでいて変な笑い声が出そうになりました笑。
これだけ季語が揃うと、"ラーメン歳時記"たるものが作れそうですよね!(作らないけど)
追加、夏貰句会のとき好評だった、
類想分析を下に書きます。※選者の解釈です。
具材について:19(62句中)
ラーメンを食べる:12
食べ了る:1
こぼした:1
買う:1
スープ:7
ラーメンの種類:6
麺:4
親子:4
地名:4
ラーメン以外のものと比較する:3
雪:3
男女:3
家族:2
家:1
箸:1
鳥:1
容器:1
失恋:1
奢る:1
演歌:1
機械:1
踏切:1
材料:1
出張:1
博愛:1
内省:1
ワクチン:1
ふいに一句詠む力=俳筋力と私は思ってて、
今回の投句にはたった数時間しか詠む時間が無かったと思いますので、俳筋力を大いに使われたのではと思います。
ラーメン俳句王決定戦は、
「俳筋力」+「ラーメン写真」+「句と写真の調和性」
の総合格闘技だと思いました。
俳筋力をラーメン写真でカバーする。その逆もまた然り。
これはこれで、初心〜熟練者までフラットに勝負する工夫とお考えいただき、どうかお許しください😌
それでは、お待たせいたしました。
いよいよ選の発表をいたします!
今回は"ラーメン"に因んで、
並選/秀逸/特選=「並盛」「大盛」「特盛」
としています😆
※ここから先は見るとお腹が絶対に鳴るので、何かツマミながらご覧ください!!
↓↓↓それでは発表〜!↓↓↓
🍜並盛(十三句) ※以下、投句順、敬称略。
この艶はおそらく今朝の寒卵
捨楽
養鶏農家ならわかる、この卵の違い!いや、それに近いほど卵が好きなラーメン通か⁉︎
逢ひ見てののちのラーメン小夜時雨
黴円
男と女の情事ののちは、塩分が欲しくなるもの。雨がラーメン店の戸を叩く。
出汁の香の流れて冬の灯へと帰す
恵勇
動詞の艶やかな喉越しよ。まるでミイラ取りがミイラ、ラーメン通がラーメンになる。
ネクタイを緩め啜りし冬夜かな
背馬
冬の夜は他の季節と比べて「闇の濃度」が違う気がします。このラーメンを知るとあなたはもう家に帰れない。
チャーシューを秘伝のタレで煮込み冬
万里の森
自家製ラーメンたちは光り輝く宝石のよう。「秘伝のタレ」が通を泣かせる。
雪の夜のラーメン嫁に来いと言ふ
ちゃうりん
「娘さん、ラーメン屋にだけは嫁ぐなよ。」そう言われても無理、もう出逢ってしまったのだから。この一杯に!
らあめんの丼に満ちたる春の磯
にゃおっく
磯は「磯海苔」。海の恩恵は具材だけでなく、スープにも。漁師しか知らないラーメンが広まって、皆に愛される一杯に(と想像)。
白シャツてふ自信「羅刹」を喰らいけり
洒落神戸
「羅刹」が何か調べたくなる…!調べることから全ては始まる。俳句もラーメンも。
ラーメン干すこの出羽の雪掻くために
霞山旅
「出羽国」は今の秋田県、山形県。雪っ掻き?せば、身体あっためるこんた一杯を食うべなぁ。(←方言、違ったらすみません)
葱使い切つたと昼のLINEかな
西川由野
葱は白葱。「昼の」を「夫(つま)の」とせず、上五で表現するところが巧みの技!なんだか、ほっとする一杯。
片恋や葱マシマシにやぶれけり
柊月子
恋する対象は、実は"拉麺"になのかも。「葱マシマシ」と、言葉を使い馴れている拉麺俳人の作。
小春日のラーメン龍の卵入り
くま鶉
卵が美味過ぎる。店主、これって何の卵?へえ、「龍の卵」か。おかげで魔法が使えるようになったよ。
数へ日や演歌にまみれ食ふラーメン
このはる紗耶
年末の残りわずかな日々。年忘れに食べるのはやっぱりこの一杯。味の猛々しさを演歌とともにいただく。
↓↓↓続いて、大盛(秀逸)です!↓↓↓
🍜大盛(六句)
まづ山のもやしをくづし春待ちぬ
多喰身
具沢山なつけ麺ですね。お腹いっぱい食べられて幸せ〜、な写真をありがとうございます♪
し、し、の韻が楽しく、山のようなもっさりとした「もやし」が写真を見なくてもありありと見えてきますね!もやしの次はチャーシュー?麺?と読み手が楽しくなる一句です。
落第はいいから黙って食えラーメン
ふるてい
「父さん、俺……。」その先の言葉は出なかった。目の前にあるラーメンは、受験前いつもここで頼むお決まりの品だった。麺の上にはチャーシューが五枚。縁起を担ぐ「ごうかく」の"五"だった。きっとお父さんは掲句のように優しく言ったのだろう。「落第」とハッキリ言うデリカシーの無さもお父さんの人柄。
替へ玉を頼む頃合寒波来ぬ
朝月沙都子
自分のラーメンの向こう側のラーメンをぼかしながら写真に収めるスゴテクニック!一句にもある、寒々しい様子がよく表れていますね。替え玉のプラスイメージと、寒波のマイナスイメージとの落差に奥行きが生まれている、お見事な一句でした。
裏路地の屋台父子は着ぶくれて
池之端モルト
写真はごく普通のラーメン。しかし、角煮のようなチャーシューにしっかりと味わいがあって、父子でよく食べられている一杯なんですよね。「裏」路地、という薄暗い設定が「屋台」「着ぶくれて」と言葉が合わさり、無駄のない美しい情景の一句となっています。
拉麺を蓬莱蓬莱と啜る
藤色葉菜
拉麺は皆んなで食べると美味しいですよね!実際のところアツアツの麺を啜って「ほぉふらぁい」みたいな声が出ていそうで、とてもリアルです。「蓬莱蓬莱」とのリフレインも家族といるのであろう、複数人らしさが表れています!しかし、どうしても551の肉饅を思ってしまうのは私だけ⁉︎
しなちくの歯ごたえ淑気満ちにけり
着流きるお
ラーメン類想にはトップにラーメンの"具材"が上がりました。しかし「しなちくの歯ごたえ」が「淑気」に「満ち」ているだなんて、とんでもない発想力です。そして、言われてみるとそんな気がしてくるのが詩の力と言うもの。不思議な雰囲気に満ちた、面白い一句です。
↓↓↓さあいよいよ、特盛(特選)です!!!↓↓↓
🍜🍜特盛(一句)🍥🍥
野菜だし纏うアボカド春隣
濃厚エッグタルト
緑!緑!緑!美しいですねー!一瞬で目を惹きつけられました。
ラーメンのこの風合いは「アボカド」によるものなんですかね。私はそんなにですが、嫁さんが大好きなんです!これは嫁さんに奢ってあげたくなる一杯。
季語「春隣」はまだ冬なんだけれど、春がもうすぐ来るよというわくわく感が表れます。季語の力を借りて「アボカド」のカタカナの異物感はなく、一句によく溶け込んでいますね〜。「野菜だし纏う」が料理の香りをしっかりと読み手に伝えられている、これはもう至高の一杯ですね!
ラーメン俳句王に認定です〜!👏👏👏
(この他、句は選びたいのに、レンゲがラーメンを邪魔していたり、きちんと完成した一杯の真上からの美しいラーメン円(らーめんえん)が撮られていなかったり、えっ食べさしやん…と思う崩れがあったり、残念ながら写真落ちとなった方は選外にさせていただきました😢
俳句のここをもう少しこうしたい!と私がツッコミを入れたくなった句も同じくしています。)
さて、いかがでしたでしょうか。
選ばれてもそうでなくても、✨ラーメンを愛する気持ち✨をどの句からもひしひしと感じることができました😆
今回企画してみて、実際に自分でも詠んでみて、更には句を選ばせていただいて、役得(?)あふれる楽しい企画でした!
皆様には心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました!
そしてぜひとも第二回を開催しましょう!
その日までラーメン写真を撮って、集めて、温めておいてくださいませね。
それではまた〜👋
登りびと