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”上司と話が噛み合わない”のは何故か、を客観的に捉えるきっかけになった言葉|【哲学の先生と人生の話をしよう/國分功一郎】の人生と向き合う名言/言葉
一般的で抽象的なものというのは、個別的・具体的なものに比べると、情報や特徴を極限まで削ぎ落とされている。だから単純なんです。
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上司はわかってくれない
上司はわかってくれない。
これを一度も感じたことのない社会人はいないのではないでしょうか。
私も常々感じています。
その理解は 上司→そのまた上司→経営層 と現場から離れていくごとにより一層乖離していきます。
上司は能力が低いのか
ではこれはなぜか?上司や経営層は能力が低いのか?
中には能力の低い上司などもいるかもしれませんが、何かしらの功績があって昇進していくことが多いですよね。そういう前提で考えた時に、「能力が低いからわからない」というのはあまりにも短絡的な回答のように思えます。
伝わる時と伝わらない時
仕事が捗らないので、どうしたら伝わるのか。
また、上司に伝わる時と伝わらない時の差はなんなのか。ということを考えました。
そして、伝わる時というのはおおよそ下記の2パターンです。
上司自身の経験してきた分野で、そもそも問題の事象について解像度が高い
当該事象に巻き込まれるもしくは、具体のレベルを認識させられた時
「1.上司自身の経験してきた分野で、そもそも問題の事象について解像度が高い」について考える
上司も数年以上の現場経験があり、その上で昇進をして上司になっています。すると、上司自身の原体験が根底にあるので、少ない言葉でも簡単に共感できるため、具体的にイメージができるため、容易に伝わり、話が通るのです。
あまりにも長く現場を離れているような上司だと例外はありますが、上司の得意分野を認識しておくこともこういう意味では重要ですね。
「2.当該事象に巻き込まれるもしくは、具体のレベルを認識させられた時」について考える
1に該当しない場合でうまくいくパターンなのですが、「1を擬似体験させる」もしくは「大変な処理が上司にそのままのしかかる」場合です。
上司は通常時、一般論的に判断、解釈をします。
しかし、例外があります。
上司も人間なので、自分が「めっちゃ大変」と共感した場合や、このままだと「自分が大変」になるなど自分の負荷に関しては、当然ながら敏感です。
1は上司の経験領域の話なので、そもそも私たちにはどうにもできません。
要するにこの「2.当該事象に巻き込まれるもしくは、具体のレベルを認識させられた時」をいかにうまくやるかということが、社会人としてのとんでもないスキルな訳です。
改めて、上司はなぜわかってくれないのか?
改めて上司がなぜわかってくれないかという話に戻ろうと思います。
通常上司というのは一般の社員より幅広い領域について考えなければなりません。どんなに領域を絞ったとしても、少なからず通常業務に加えてマネジメントなどが入ってきます。
上司が仮に有能であったとしても、同じ人間ですので、知見を深くしたまま幅広い領域を見るということはどこかで限界がきます。
では、どうするかというと、
一般的で抽象的なものというのは、個別的・具体的なものに比べると、情報や特徴を極限まで削ぎ落とされている。だから単純なんです。
この言葉の通り、一般的であったり抽象的にして情報や特徴を削ぎ落として、自分の容量の範囲におさめて判断をするのです。
「抽象度を上げる」ということは、今の時代、非常にいいことだけのように捉えられていますが、実は個別の情報を削ぎ落としているわけですから、個別事象への理解としては非常に浅くなるわけです。
まとめると
つまり、
幅広いことへ対応しなければいけなくなる
キャパシティに合わせて抽象化して情報を削ぎ落とす
具体的な理解は浅くなる
こういうループが起きるわけです。これは現在の会社の仕組み上、仕方のないことなのです。
上司や会社としての対応方法
上司はまず、この状態をメタ認知することが重要です。
うまくいっていないケースの多くが「自分は現場をよく理解している」という過信から起きています。
「大枠は理解しているが、細部はわからない」こういうメタ認知をすることで、理解していないくせに口出ししてくるやばい上司になることが避けられます。
中長期的には、現場に近いマネジメントレイヤーの部下を置き、現場解像度をその人から情報を得てあげるようなイメージになるのでしょうね。まずは信頼できる人を育てるということが重要になります。
部下としての対応方法
まずは「上司もただの人」と知るべきです。たまに盲信している人もいますが、人間の能力なんてたかが知れています。上司も想像できる範囲のキャパしかありません。
つまり、幅広い領域を見ながら、現場のことを常時深く知っている状態など不可能なのです。
その上で何ができるか?ということですが、
上司に負荷をかける
具体事象を共有しまくって解像度を上げていく
この2つを上司のタイプを見ながら実施していくことです。
前者については、結構現場でいい感じに回してしまう人って多いと思うのですが、実はそれにより上司が問題に気づかないケースって多いと多いんです。なので、問題処理はどのみち現場で行うのですが、一旦認識させ、判断をさせるという負荷を上司にかけるわけです。
本当は自分でそのまま判断した方が早いと思うのですが、長期的に見ると、トータル負担は低くなります。
後者については、上司から「具体的に何が問題なの?」って聞かれたことありませんか?この時うまく共有できなくてモヤついたことありますよね?w
私は何度となくあります。これはとにかく日常で起こった問題をどうにかこうにか貯めておいて、いつでも引っ張り出せるようにしておくことしかないでしょう。あとは事象が起きたタイミングで印象を残すために共有だけ細かくするなどです。回数を重ねていくと、上司の認識も抽象度高めの状態から、徐々に具体的な思考に近づいていきますよ。