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光っていない、発電機付きライトを愛でる。

これ。という理由があって、誰かを好きになるときは、発電機付きライトのハンドルを回しているみたいだ。

そうあの、ハンドルを回して発電して、回している間だけ灯がともるライト。

きっと、ハンドルを回す手を止めてしまえば、瞬く間に灯りは消えて、魅力がなくなってしまう。

優しいところを好きになったのなら、自分に優しくなくなった瞬間に魅力はなくなるし、夢を追いかけているところを好きになったのなら、その人が夢を諦めて現実を生きると決めた瞬間に気持ちが冷めるかもしれない。

でも、好きな理由だと思っていたものが無くなっても好きなままだったり、むしろ前よりさらに魅力を感じているなんてこともある。

それはきっと、光っている、光っていないに関わらず、そのライト自体に魅力を感じ始めたときだ。

ハンドルを一生懸命回して光っている状態でなくても、ライトはそこにあるだけで、いつでもあかりが灯せるという安心感を私たちにくれる。見た目が可愛いという理由で魅力を感じる人もいるかもしれない。

オードリー・若林さんのエッセイのなかに、「牡蠣の一生」という章がある。ただ岩にへばりついているだけの牡蠣の存在意義を問いたとき、漁師さんはものが存在する、二つの理由を答えた。

・一つは何かをしているから存在していいということ。
・二つ目は生まれてきたら、なんの理由も無くこの世界に存在していいということ。

ハンドルを回し続けるのは大変だし、回し続けなければいけないと思うだけで、プレッシャーに潰されそうだ。

光っていないときも受け入れてくれる人といたいし、誰かがハンドルを回すのに疲れたときは、光っていなくてもそこにいていいんだよと言える人でいたい。

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