3万7千人の人生が交差した夜。
言葉の限界と、言葉の力を同時に思い知った週末だった。
土曜日に、君の名はの主題歌「前前前世」などで有名なRADWIMPSのライブに行ったのだ。
RADのライブ会場である海浜幕張のZOZOマリンスタジアムには、3万7千人が集まった。
開演時間ギリギリに会場入りした私は、びっくりした。
目の前に広がる、人、人、人。
それだけの人数が、彼らの音楽を聞くために集まったのだ。
ライブ中、一人きりな私と、その場を俯瞰する私が、交互にやって来る。
ステージ上の洋次郎に釘付けになり、歌詞が歌声が演奏が世界の全てになったと思ったら。
3万7千人が手を挙げ、飛び、一方向に輝く目を向けるその光景を、まるで雑誌をパラパラとめくるかのように眺めていた。
「生きていればいいことがある」と人はいう。
その、「いいこと」が目の前にあった。
ただこの時間のためだけに生きればいい、そう思えた。
ライブ後半の盛り上がりの絶頂で、昔の楽曲の中でも人気が高い「いいんですか」を歌ってくれた。その中にこんな歌詞がある。
あなたといる意味を探したら、明日を生きる答えになったよ。
明日を生きる意味を探したら、あなたといる答えになったよ。
これを、彼らは体現しているのだ。
生きる意味を与えてくれる「あなた」とライブに来ている人もいただろう。生きる目標に向かって頑張っている最中の人もいただろう。
とにかく、3万7千人の人生が一箇所でうごめいていた。
洋次郎が言う「ボク」が3万7千集まって、二時間が終わればまたバラバラになる。
それが、必然的に起こったことが、奇跡ではないだろうか。
そしてその奇跡は、言葉の力だけでは、起こらなかったと思う。
音に乗せて、綺麗な歌声に乗せて、ベースとギターがあって初めて、私たちの心を共鳴させる。
でも、彼が紡いだ言葉が奇跡に一役かっていることも、事実。
言葉の力を再確認しながら、また明日から頑張る力をもらった。最高のライブでした、ありがとう。
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