対話は新しい意味が生まれる泉(大澤真美)/ことばの焚き火に掲載されなかったシリーズ③
対話をすると、モヤモヤしたり、ザワザワしたり、違和感を感じたりすることがあります。
普段の「関係性を重視した会話」では出てこない言葉が出されるので「あの人、なんであんなこと言うんだろう」と思ったり、自分の声が反対されていると思ったり、色々な反応が起きます。
でも、それを手にとって味わってみると、そこには自分の大切にしているもの、自分が持っている「前提」や「枠組み」に気づくのです。
例えば、「家族は一丸となって行動するべきだ」とあなたが思っていたとします。すると、対話の場で誰かが「家族であっても、別々の人間だから」という言葉を聞くと、批判したい気持ちになるかもしれません。
そこで反応的に声を出さずに、相手の言葉を手にとってみると、「自分の人生を精一杯生き切りたい」という切実な願いが、聞こえてくるかもしれません。そして、その願いは案外自分も持っているものです。
あなたには家族を大切にしたい思いがあった。でも、同時にその思いが、自分を縛っていることにも気づくかもしれません。
対話の中で生じるモヤモヤは自分の前提や枠組みに気づくチャンス。それを手放したり、新たに握りなおしたり、社会の枠にはめられるのではなく、自分で選び直すことによって、物事の見え方が全く変わったりします。
対話は新しい意味が生まれる泉、いのちのみなもとにつながる場所のようです。
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