ルート1(4)・カーミラ(Carmilla)/ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ
前回扱いました「ドラキュラ」にも影響を与えたと言われる、レ・ファニュの「カーミラ」を読んでみました。
聞いていたように、「ドラキュラ」とはかなり趣が違いました。なんとなく一種の格調、叙情のようなものを感じたのは、原作のためか訳出のためか、それとも語り手や吸血鬼自身が女性と設定されているためなのでしょうか?
◆カーミラ母を亡くし、父とともに、召使いなどに囲まれて、郊外の邸で生活するローラは、行き来する友達もなく、寂しい毎日を送っていました。
そんな彼女の邸の前で馬車が事故を起