マイナ保険証を使うと窓口負担の増加するデジタル後進国の無敵医療DX
マイナンバーとか、マイナカード(マイナンバーカード)とか、マイナ保険証とか、中途半端にキャッチーなカタカナネーミングにしたがために、そもそも不信感だらけのこのシステムを、よりわかりにくくにしていると思っています。
今となっては、変えようもないでしょうから、どうでもいいのですが、政府ゴリ押しマイナ保険証では、本当に便利になっているのか、保険証に関わる問題が解決されるのかも不明なまま、よくわからない窓口負担が増加します。
マイナンバーカードによる保険証(マイナ保険証)の利用によるオンライン資格確認の推進で、2024年6月1日から窓口で追加負担されるようになったのが「医療情報取得加算」。
なお、これは、追加負担金を取るために急遽整備された全く新しい制度ではありません。
・2022年度 診療報酬改定「電子的保健医療情報活用加算」新設
・2022年9月末 「電子的保健医療情報活用加算」廃止
・2022年10月1日 「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」新設
・2023年4月1日から12月31日まで限定的に適用
・2024年度 診療報酬改定「医療情報取得加算」に名称変更、内容見直し
・2024年6月 「医療情報取得加算」が窓口での追加負担開始
・2024年12月1日 マイナ保険証利用患者と従来の紙保険証利用患者とで加算が一本化
デジタル技術の進化に伴い、制度が見直されるのは当然ですが、
ナンデスカ、コレハ?
どうしても、作業を増やしたい、増やし続けたい、わかりにくさを爆増させたい、という執念さえ感じられます。
それはともかく、「医療情報取得加算」の現在地は、こんな感じ↓
ですが、2024年12月1日からは、初診・再診ともに一律3円。
マイナ保険証を利用している人は変わりませんが、現行の紙の保険証を使用している人にとっては、気持ち値下げ。値下げというか、謎の値上げが終了しただけなのですが、ひとまず差別も区別もなくなりました。
東京新聞によると、厚生労働省は「マイナ保険証を使えば、患者に聞かなくても過去の治療歴や処方歴を把握できるため、医師らの手間が減る」との説明しています。言い換えれば、現行の紙の保険証の方が医療機関の手間が増えるため、診療報酬を手厚くするのが、この微妙な差額が発生した理由でした。
でも、2024年12月以降は、一本化されます。厚生労働省によると、「12月以降は、基本的にマイナ保険証を診療に活用する仕組みとなるため」とのこと(東京新聞)
ナンデスカ、コレハ?
言っていることが、よくわかりません。今までは、従来のやり方では医療機関の手間が増えるので、診療報酬を上げるため追加負担が増えた(微々たる金額ですが)けれど、12月からはそんな人は少なくなるから一緒でいいよって、言っていることめちゃくちゃです。医療機関の手間の話はどうなった…
そして、「医療情報取得加算」は平等になったところで、医療DX推進体制整備加算がなぜか増えます。加算です。
※病院、歯科、薬局で率が異なります。
2024年10月以降は、患者がマイナ保険証を利用したかどうかに関わらず、受診した医療機関でのマイナ保険証の利用率によって、医療DX推進体制整備加算額が変わります。しかも、政府推し推しのマイナ保険証を使う患者が多い病院・歯科・薬局ほど、加算額が大きくなる。言い換えれば、利用者(患者)負担増し。
ナンデスカ、コレハ?
患者の利用負担額が増える理由は、医療のデジタル化(医療DX)推進のため。
オンラインで患者の情報を取得した病院や薬局には、見返りとして診療報酬を上乗せされます。医療機関は、オンライン資格確認が増えると、手間は減る(ことになっている)し、診療報酬も増えるので、政府と一緒になって推し推しモードとなるでしょう。
そうして、医療機関が受け取る報酬が増えたので、患者の負担が増えます。
ナンデスカ、コレハ?
しかも、マイナ保険証利用率 は細かく刻んでくるし、数ヶ月単位で加算率・加算額が変わる。負担感なしレベルで細かく刻んで加算してます。めんどくさ〜。
これが、厚生労働省管轄最先端の日本の医療DX。わかりにくさも不親切さも最強レベル。もはや無敵です。
そんな日本最先端の医療DXの主な取り組みには、次のようなものが挙げられています。
オンライン資格確認やマイナポータルの活用 → 一応進んでいる
電子カルテ情報の標準化 → しばらく無理
医療ビッグデータ分析 → サントリーあたりがするんですか?
病院や介護施設での業務やシステムの統一 → 本当にできますか?
診療報酬改定DXによる業務負荷の軽減 → 本当に軽減されますか?
政府が "推し事” をする度に、関係者の手間が増え、利用者にはあまりメリットもなく、税金ばかりが湯水のように使われていきます。結局、政府と一部の取り巻き企業、今後ビッグデータを入手し続ける企業ばかりが恩恵を受けることになります。
一般市民でメリットがあるとしたら、
・手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
・マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできる
と、大きな医療費がかかった時だけのようです。
医療DXは、あくまで手段です。
医療DXの先には、医療機関にとっても、患者側にとっても、わかりやすいメリットがあってこそのもの。どちらを向いているのかわからないDXですから、もうしばらくはカイゼンは期待できそうにもなく、デジタル後進国のままなのかと思うと、悲しい気持ちになります。
日経リサーチによると、医療DXで医療機関が最も導入効果を実感しているのは、「キャッシュレス決済」(39.8%)というのも、何だか泣けてきます。
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