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最低賃金1500円や「ルールを守る」は義務教育の敗北

選挙公約がなんの意味もなさなくなってから久しい日本の選挙。
今回も懲りることなく、実現不可能レベルの公約を掲げています。

なお、本来の選挙公約とは↓

選挙の立候補者が当選後に実施すると有権者に約束する事柄。特に公職選挙で候補者や所属政党が実行を有権者に約束する政策。

コトバンク

「当選した暁には◯◯をするって約束するから、ボク/私に投票しておくれ、悪いようにはしないからさ」という約束事のはずですが、最近は、「とりあえず票集めになる文言あげとけ」化し、口約束にも、努力目標にもならないほどに、低レベル化しています。もういらないんじゃない?

今回、2020年代に最低賃金を1500円の目標を掲げた与野党。あくまで、言うだけ言う目標、できなくてもお咎めなしの選挙公約です。

この、最低賃金1500円への賛否両論は各所で繰り広げられているので、そちらを参考にしてください。

ここでは、5年以内の1500円が無理ゲーぶりを再確認しておきます。

2024年10月からの最低賃金(全国加重平均)は1055円。
2029年まで、1500円にするにはこんな感じです。定額であれば89円ずつアップ、定率であれば7.3%アップ。

2024年度の賃金上昇率は33年ぶりの高水準。それをはるかに上回る上昇率を数年繰り返さなければなりません。みんなの大好きな「日本すげー」のレベルです。

ただしこれは、あくまで全国加重平均であり、全都道府県の最低賃金ではありません。各都道府県の最低賃金は、厚生労働省で一覧を出しています。

  • 1055円超:7都府県 〜 東京 1163円、神奈川 1162円…

  • 1000円〜1054円:9道県

  • 〜999円:31県

1055円を超えているのは、たった7都府県ですが、その7都府県+8番目の兵庫県の就業者数を合計すると、適用労働者数の約半数になります。
※ 細かいことを言えば、適用労働者数(最低賃金が適用される労働者数)と就業者数は同じではありません。

2024年度、全国的に前年度より51円程度の値上げでした。値上げ額でみると、あまり開きはありません。ただし、最低賃金950円台の底辺地域では6ポイント以上、徳島はまさかの9.4ポイントアップしているのに、賃金上位の東京・神奈川では4.5ポイント。ちょっと残念な感じです。

なお、全国一律1500円が今すぐ必要など、主張している団体もありました。2029年でも無理ゲー枠を超えているのに、今すぐだと何ゲーになるのか想像もつかないレベルです。

全国の 2/3 の県では、2024年度の最低賃金は1000円を切っています。950円台も少なくありません。仮に1000円として計算しても、2029年度に1500円にするには、定率で8.5%以上。
こんなの本気でできると思っているなら、頭の中がお花畑認定されます。
ただのパフォーマンスにしてもタチが悪い。

3年以内に1500円まで上げたい新浪さんは、どこを向いて話しているのかわかりませんが、いずれにしてもその手の数字には反応しない方が精神衛生上いいでしょう。

収入が増えれば増えるほど、引かれるものも多く、やる気が失せるのも今の日本です。「働いたら負け」と思われるようになったら(すでになり始めてますが)、これは完全に政府の敗北。

できもしない、やる気もないことを並べ、約束を守らないのが平気なのは、道徳教育の敗北。

そして、石破さんは「ルールを守る」と真面目な顔で訴えているのですが、国政選挙で現与党がそれを言い出すとしたら、これは義務教育の敗北です。

敗北だらけなのに、選挙に勝つのは自民党です。
さて、これは、何の敗北になるのでしょうか…





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