事務服の天使 医療クラークと、愛されキャラの搬送ロボットは患者の心も救う
過日の大腸内視鏡検査における追試日程調整のため、先日高松市内の某総合病院を受診しました。
大きな病院ですから、それなりの時間がかかります。本を読んだり人間観察などしながら、診療科の待合でぼんやり待ち続けていました。患者番号の呼び出し音は頻繁に鳴り続けるのですが、看護師さんをあまり見かけません。その代わり、事務員の制服を着た方が、中待合や待合室を頻繁に出入りしたり、高齢の患者さんに声をかけたりしています。
中待合に移動してからは、さらに事務員制服の方ばかり。やはり看護師さんをみかけません。診察室へ出入りし、患者との書類の確認や、受診後の会計の説明、入院手続きの説明、車椅子の患者さんの介助などは、すべてその事務員制服の方々。胸元の名札を見たら「クラーク」とのこと。
医療クラーク、初めて目にしました。
医療クラーク、外来クラークなど呼ばれるこの方々は、医師事務作業補助者です。窓口・会計・レセプト業務を行う、医療事務とはまた別。
調べてみると、医療クラークの仕事はこんな感じ↓
そうそう、まさにコレされてました。
診察室の一角にクラーク専用デスクがあり、そちらで作業されています。
紹介状による初診でしたが、当日看護師さんとの接触は診察前のアナムネ(問診票ベースの看護師さんとの一問一答)のみ。診察時に、医師と追試日程の確定と薬の確認。その後の書類の説明などはすべてクラークさん。
確かに、これは医師や看護師さんの事務作業が減るはずです。しかも、患者としては、忙しそう時々圧高めの看護師さんよりも、事務員制服クラークさんに聞く方が気が楽という特典付き。
人見知りビビり小者に属する身にとっては、事務服の天使です。
2020年12月の調査によると、
医療クラーク(医師事務作業補助者)の配置は、
・400床以上では42.3%
・99床以下では23.3%
病床規模の大きい施設、救急搬送を年間2000件以上受け入れていることなどを要件とする「地域医療体制確保加算」(520点)を算定している施設など、より多忙と思われる施設ほど導入されているようです。(参考:m3.com 医師の負担軽減には医療クラーク配置、医師増員)
多忙・人手不足の代名詞とも言えるような医療業界ですから、医療従事者の事務作業負担が減り、より重要で専門的な業務に注力できるようになるのが望ましいのですが、人件費などお金の問題に直結するため、なかなか難しそうです。
医療関係の働き方改革とえば、トヨタ記念病院での「カイゼン」例もありました。
看護師の仕事の4割にあたる「運ぶ」仕事を改善した搬送ロボット。
日本看護協会の「看護業務の効率化先進事例アワード2022」で特別賞を受賞しました。
顔付き、ハロウィンやクリスマスではコスプレ可能、出かける(搬送)時には「行ってきます」まで言ってくれる。もちろん、曲がる時にはウインカー付き。
日本らしいカワイイと、トヨタらしい安全がたっぷり詰まってる。
看護師さんをサポートし、患者さんにも快適さをもたらし、しかも絶対応援される・愛される搬送ロボット君です。私も、病院で見かけたら、絶対応援するし、通路も譲ります!なんなら、端によって、通り過ぎるのを見送るかも。
なお、導入後は、看護師の満足度も向上、離職率は減少している(2017年度10.3%→2021年5.3%、2022年度7.2%)そうです。
◆ 搬送ロボットを導入した看護師のカイゼン活動
◆ 薬剤関連の看護業務を効率化
関係ありませんが、「トヨタイムズ」の連載は、車に興味ない人にとってもオモシロイです。
少子高齢化・人件費高騰の時代なのですから、人がやった方がいいことと、ロボットくんやAIでもいいことの区別が必要です。そして、「人」に振るとしても、誰か(人)の作業を、より人件費のかからない他の誰か(人)へ振るという考え方は、すでに時代遅れ…なはずなんですけど、日本は思考停止したままですね。